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19 西の森です
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ロアくんに連れられて、レギオスさんの居るギルド長室にやってきた。
「父さん。新人のリュカを連れてきたよ」
「お邪魔します……」
扉を開けると、目の前のテーブルでレギオスさんが書き物をしていた。
お仕事中みたい。ここがギルド長室かぁ。
暗くて落ち着いた雰囲気のある場所だ。小さなランプの光がぼんやりと部屋を照らしている。
広い筈の部屋のスペースは、隙間なく資料が詰められた棚で埋まっていた。
レギオスさんが私に気付いて声を掛けてくれる。
「昨晩は眠れたか? 整理していない空き室しか用意できなくてすまんな」
「いえ、すっごく寝心地が良かったです!」
低く、重い声が部屋に響く。
レギオスさんは何となくパパと雰囲気が似ていて、迫力がある。威圧感のまったくないロアくんとは正反対だ。
ギルド長っていうくらいだから、レギオスさんもパパと同じくらい強いのかな?
「幾つか質問させてくれ。見た所、俺やロアと同じくエルドラの国の人間の様に見えるが、生まれはどこだ?」
唐突にレギオスさんの質問が始まる。
えっと、生まれは分からないし。私の出身ってどこになるんだろう?
西にある森で暮らしてたから西の森の出身になるのかな。
「えっと……多分、西の森出身だと思います」
「それはどう言う意味だ?」
レギオスさんの表情が曇る。
おかしな事いっちゃったかな。
パパ抜きでニンゲンと話すのはまだ早かったかも。
「西の森……あの森は落とし子の森と呼ばれ、特別な事情で育てられない赤子が捨てられていた場所だ」
そうだったんだ……。
ここ数日、衝撃の連発で忘れかけてたけど、私はパパが言っていた通りニンゲンの街の生まれみたい。
「それが問題となり、今では森への立ち入りは一切禁止されている」
「私、その森に捨てられてたみたいで……パパが拾って育ててくれたんです」
「す、捨てられただとぉ!?」
雷に打たれたみたいに目を見開いて驚くレギオスさん。
大きな手で握られていたペンが、軋む音を立ててヘの字に折れ曲がった。
レギオスさんがすごく怒ってる……ていうか握力すご!
「森に捨てられた赤子が運良く生き残ったという訳か……辛かったろうに……」
「わ、私は別に気にしてないですけどっ」
何だか気まずい空気になってるみたい。
「ロア。用意していた服を持ってきてやれ!」
「ああ! 今すぐにだ!」
ロアくんが勢いよくクローゼットに駆け込む。
な、なんか凄く気を使われてる気がする……。
別に今がそれなりに幸せだから、捨てられた事は気にしてないんだけど。
「リュカ! 服はただでやるよ! 困ってる事があったら俺に言ってくれ!」
「え!? 良いの!?」
ロアくんに甘やかされてる気がする……前払いじゃなくなった。
「父さん。新人のリュカを連れてきたよ」
「お邪魔します……」
扉を開けると、目の前のテーブルでレギオスさんが書き物をしていた。
お仕事中みたい。ここがギルド長室かぁ。
暗くて落ち着いた雰囲気のある場所だ。小さなランプの光がぼんやりと部屋を照らしている。
広い筈の部屋のスペースは、隙間なく資料が詰められた棚で埋まっていた。
レギオスさんが私に気付いて声を掛けてくれる。
「昨晩は眠れたか? 整理していない空き室しか用意できなくてすまんな」
「いえ、すっごく寝心地が良かったです!」
低く、重い声が部屋に響く。
レギオスさんは何となくパパと雰囲気が似ていて、迫力がある。威圧感のまったくないロアくんとは正反対だ。
ギルド長っていうくらいだから、レギオスさんもパパと同じくらい強いのかな?
「幾つか質問させてくれ。見た所、俺やロアと同じくエルドラの国の人間の様に見えるが、生まれはどこだ?」
唐突にレギオスさんの質問が始まる。
えっと、生まれは分からないし。私の出身ってどこになるんだろう?
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「えっと……多分、西の森出身だと思います」
「それはどう言う意味だ?」
レギオスさんの表情が曇る。
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そうだったんだ……。
ここ数日、衝撃の連発で忘れかけてたけど、私はパパが言っていた通りニンゲンの街の生まれみたい。
「それが問題となり、今では森への立ち入りは一切禁止されている」
「私、その森に捨てられてたみたいで……パパが拾って育ててくれたんです」
「す、捨てられただとぉ!?」
雷に打たれたみたいに目を見開いて驚くレギオスさん。
大きな手で握られていたペンが、軋む音を立ててヘの字に折れ曲がった。
レギオスさんがすごく怒ってる……ていうか握力すご!
「森に捨てられた赤子が運良く生き残ったという訳か……辛かったろうに……」
「わ、私は別に気にしてないですけどっ」
何だか気まずい空気になってるみたい。
「ロア。用意していた服を持ってきてやれ!」
「ああ! 今すぐにだ!」
ロアくんが勢いよくクローゼットに駆け込む。
な、なんか凄く気を使われてる気がする……。
別に今がそれなりに幸せだから、捨てられた事は気にしてないんだけど。
「リュカ! 服はただでやるよ! 困ってる事があったら俺に言ってくれ!」
「え!? 良いの!?」
ロアくんに甘やかされてる気がする……前払いじゃなくなった。
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