僕の飲精女神様 ~ 失恋の痛手を癒やしてくれる元カノのママの赤い唇 ~

糺ノ杜 胡瓜堂

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第三話 「元カノ・瑠璃の自宅へ」~傷心の潤の憂鬱~

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 「・・・瑠璃るりのマンション・・・入りづらいなぁ・・・入りづらいよなぁ・・・なんか、このまま帰りたいなぁ」

 潤は、400戸はあろうかというピカピカのタワーマンションのエントラスで、ふと躊躇する。


 皆藤かいとう じゅん、◯◯歳・・・彼は、この春の文化祭の実行委員に選ばれ、同じ実行委員のメンバーとなっている児玉瑠璃るりが、委員の打ち合わせが行われた視聴覚室に忘れていったサブバックを届けにやってきたのだ。

 副教材や、明日使うかも知れない宿題のプリント等も入っていたサブバック。
 これがないと、瑠璃が明日困るだろうと思い、わざわざ学校の帰り道に彼女のマンションまで届けに来たのである。

 ・・・・豪華なエントランスの呼び出しインターフォンの前でしばし固まる潤。
 後から入ってきたこのマンションの住人が怪訝な顔で眺めている視線が痛い。

 ・・・・潤には瑠璃のマンションに入りづらい深刻かつ重大な理由があった。


 彼は先日、瑠璃にフラれたばかりなのである。

 クラスは別だが同じ図書委員でよく顔を合わせていた潤と瑠璃・・・・◯◯歳ともなると、「付き合っている異性がいないのはダサくて恥ずかしい」という、この世代特有の「空気」に押され、3ヶ月前からなんとなく付き合い始めた二人。

 しかし、小柄で身長も瑠璃より少し低い155センチ、父が大学教授で学校の成績はすこぶる良いが、運動はからっきしダメな気弱でインドア派の潤。

 一方の瑠璃はプラスバンド部に所属し、友達も多くクラスの人気者、明るくて活動的な瑠璃はどこかナヨッとした潤に物足りなさを感じたのであろう。

 つい先日、潤を切って学校一の人気者、サッカー部の主将を務めるスポーツ万能のイケメン、岡崎勇斗に乗り換えたのだった。
 女子の間でも憧れの的で、ガールフレンドにして欲しいと思っている女子も多い、スクールカーストの最上位に位置する学校の人気者「ジョック」である勇斗が、瑠璃と付き合い始めたことは、学校のちょっとした話題となった。

 
 この世代の女子は、「優しい」とか「頭がいい」男子よりは、身体能力が高い・・・スポーツが出来る男子に魅力を感じるものである。
 それは、まだ人類が狩猟採集生活をしていた時代の名残なのかもしれない。

 運動能力が優れている男は「狩り」も上手・・・狩猟と採集が唯一の生活の糧だったその当時、女性がパートナーとして選ぶ男性の身体能力は種の生存を左右する重要な資質だったのである。

 ・・・・そんな考察はともあれ、潤は瑠璃に見事にフラれたのであった。


 「・・・・でも、これを届けてすぐ帰れば・・・・あんまり瑠璃と顔を合わせたくないけど・・・」

 潤は、意を決してロビーのインターフォンのボタンを押す。


 ・・・・ピ~ンポ~ン!・・・


 「は~い!どなたでしょう?」

 「えっ、ええと・・・皆藤です・・・・児玉さんが学校に忘れていったカバンを届けに来ました」

 「あっ!潤くんっ?・・・わざわざ瑠璃の忘れ物を届けに来てくれたのねっ?ゴメンねえっ!入って、入って!」

 瑠璃の母親、春美の明るい声だった。

 潤が瑠璃のマンションにおじゃまするのはこれが初めてではない、付き合っていた三ヶ月の間に、4回ほど遊びに来たことがある。

 瑠璃は誇らしげに、母の春美に向かって潤のことを「カレシ」と紹介し、瑠璃の部屋でジュースを飲みながら他愛もないお喋りをして帰った程度であるが、潤は彼女の母親、春美の年齢よりずっと若く見える可愛らしい表情、ヒマワリのように明るい雰囲気をよく憶えていた。

 身長は153センチほどであろう、37歳の春美はややポッチャリとした、昔風に言うと「トランジスタ・グラマー」で、明るいミルクティーベージュに染めた長い髪をゆったりと編んだ可愛い系の熟女である。
 クリクリとよく動く表情豊かな大きな目がとてもチャーミングだ。

 ◯◯歳の潤がどうしても視線を送ってしまう、メロンのような大きな胸、ムッチリと張った日本女性らしい大きな逆ハート型の巨尻・・・・文字通り、親子ほども歳の離れた「カノジョの母親」、37歳の春美のオトナの魅力溢れる肢体を見ると、潤はなぜかドギマギしてしまうのであった。

 ・・・・要するに、潤は「オンナ」として成熟した美しさをたたえた37歳の美熟女の豊満な肉体を、ちょっぴりエッチな目で見ていたのである。

 ・・・無理もない、彼は性欲真っ盛りの◯◯歳なのだ。

 豊かな乳房と巨尻、そしてムッチリと柔らかそうな太腿・・・それは同年代のガールフレンド、瑠璃では得られない魅力だった。

 ・・・・もっとも、「恋に恋する」年頃の潤と瑠璃・・・3ヶ月で破局を迎えた二人の「お付き合い」は◯◯歳らしい清く正しいプラトニックな関係だった、当然ながら潤もバリバリの童貞である。

 ・・・あれっ、春美さんだ・・・瑠璃はまだ学校から帰って来てないのかなぁ・・・・。

 エレベータでタワーマンションの35階にある瑠璃の家の玄関の前に着いた潤は、彼女の忘れ物を母親の春美に渡し、すぐに帰ろうと思った。

 「まあっ潤くん、久しぶりっ!瑠璃ったらこんな大事なもの忘れていったのね・・・まったく慌てんぼうなんだからぁ・・・潤くん、わざわざ届けてくれて本当にありがとうねっ!さあ、入って!」

 「・・・い、いえっ・・・僕はこれでっ・・・」

 「あらっ?・・・この後、なにか塾とか習い事でもあるの?」

 「・・・えっ、ええっと・・・それは無いですけどっ・・・」

 「じゃあ、ちょっと休んでいって!・・・瑠璃はまだ帰ってきていないけど、わざわざあのコの忘れ物をここまで届けてくれたんですものっ、ジュースでも飲んでいってちょうだい♥」

 「・・・・いっ、いえっ!・・・ダイジョウブですっ」

 先日フラれたばかりの「元カノ」の自宅・・・潤はなるべくなら遠慮したかった・・・。

 「・・・んんっ?・・・・ウフフッ、瑠璃から聞いたわよっアノ事っ♥・・・それについても色々お話したいから・・・ねっ?遠慮しないで!オネガイっ!」

 ・・・・母親の春美は、娘の瑠璃と潤が「破局」したことを既に知っていたのだ!

 ニコニコとヒマワリのような笑顔で春美に促されると、潤もこれ以上断るわけにはいかなくなった。

 「・・・・そ、それじゃ・・・・オジャマします・・・」

 自分をフッた瑠璃と気まずい再開をせずに済むことが判り、ほんの少しホッしながら母親の春美の好意に甘え、玄関に上がる潤・・・。


 
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