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第十ニ話 30人のヒト族の少年達の最重要任務! ~セリオンとシセラの二人っきりの時間~

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 「さっ、セリオン君っ、入って・・・」

 ・・・ギギッ・・・シセラが厚い木製の扉を開けセリオンを促す。

 シセラの居室は質素ではあったが小奇麗な部屋だった。
 壁際にかかっている剣や弓などのものものしい武具と、シセラが森で摘んできて飾ったのだろう、小さなテーブルの上の一輪挿しに飾られた可愛らしい白い花がややアンバランスな感じがする。

 「ふうっ、やっぱり自分の部屋は落ち着くわ!・・・今日も一日お疲れ様、セリオン君っ!いつもみんなのリーダーとして頑張ってくれて本当にありがとうねっ♥」

 シセラはいつもの優しい声でそう言うと、セリオンと並んでベッドに腰を掛ける。
 例のエルフ族特有の床から低く造られている、2、3人が一緒に寝られるような広さのベッドだ。

 「・・・いえ、シセラさん達こそ、僕達30人が突然押しかけてきて、本当にご迷惑じゃないですか?・・・なにか申し訳なくて・・・」

 「ウフフフッ、セリオン君は優しいのねぇ・・・そんな心配しなくていいのよ♥」

 「でも・・・食べ物にしても、僕達の分が余計に必要になるだろうし・・・」

 「そんな事を心配しなくてもいいのよ、この豊かな森では皆が暮らしてゆくだけの食べ物は簡単に手に入るんだから・・・」

 「・・・でもやっぱり、村の人達には負担をかけているようで申し訳ないんです・・・なにか僕達に出来ることがあれば、是非言ってください・・・僕達、この村の人達の為になること、お礼がしたいんです!」

 セリオンが真面目な顔でそう言うと、なぜかシセラはクスリと笑って謎めいた答えを返す。


 「ウフフッ・・・私達エルフ族へのお礼はね・・・今夜皆がしてくれるの・・・」

 「えっ?・・・こ、今夜・・・ですか?それはどういう意味・・・」

 セリオンはシセラの言っていることが理解出来ず頭を捻っていると、シセラはほんのりと顔を赤らめてセリオンの可愛らしい顔を見つめる。


 「セリオン君・・・実はね、私達エルフ族は今大変な苦難に陥っているの・・・」

 「それは・・・ボランド三世が仕掛けた戦争の為・・・ですよね?」

 「ええ、もちろんそれも遠因ではあるけど・・・もっと、エルフ族特有の問題なの・・・」

 「エルフ族特有の?」

 「ええ・・・今、エルフ族は人口減少に悩んでいるの・・・元々エルフ族には女性が生まれやすくて、男性のエルフは貴重な存在なのは知っているかしら?」

 「・・・ええ、それは知っています!僕達ヒト族は男女の出生率はほぼ半々ですけど、エルフ族の人達は女の子が生まれる率の方がずっと高いんですよね?」

「まあっ、良く知っているわね・・・その通りよ、元々男性が少ないところにこの戦争で、貴重なエルフの男達がたくさん戦死してしまって・・・このままじゃ私達エルフ族は絶滅してしまうかもしれない」

 「・・・・絶滅・・・・」

 セリオンは絶句する・・・やはり自分達ヒト族のしかけた戦争がエルフ族に甚大なダメージを与えているのだ。
 シセラはセリオンに気を使い、核心をオブラートに包んで言ってくれたが、彼らの存亡にかかわる問題の「元凶」は自分達ヒト族がおこした戦争なのである。


 「ええ・・・それでね、君達に「協力」して欲しいの・・・」

 シセラはそこまで言うと急に真っ赤な顔で恥じらう、美しいエルフ熟女ミルフの恥じらい。

 「・・・協力って・・・・あの、僕達は・・・何に協力をっ・・・」

 「あのね、セリオン君・・・子・作・り・・・よっ♥」

 「えっ?ええ~っ!アワワワッ!・・こ、子作りって・・・な、なんでしょうねっ?アハハハッ!」

 思わず笑ってごまかそうとするセリオンにグラマーな肢体を預けるようにしなだれかかると、シセラは甘い吐息と共にこんなことを言い出すのだった。

 「・・・・今、エルフ族の男が少なくなっているうえに、元々私達エルフ族は長命だけど、その分とっても妊娠しにくい種族なの・・・このまま戦争が長引けば、私達エルフ族は本当に絶滅しかねないの・・・・だからねっ、村の女達に生命いのちの種をプレゼントして欲しいの・・・」

 「・・・あっ、あのっ・・・それじゃ僕達と・・・村の人達が・・・」

 「ええ、エルフとヒト族は互いに交配が可能なのは・・・知っているでしょう?」

 「・・・は、はい、知っています・・・で、でも、それでは生まれてくるのはハーフエルフで、純粋なエルフでは?」

 「もちろんそうなるわね、でもハーフエルフだって立派なエルフよ!私達はそんな事にこだわらないわ、同じ仲間ですもの・・・・それにね、ハーフエルフはとって生物的に不安定な種族で、4世代もすればヒト族の血筋が消えて純粋なエルフに戻ってしまうのよ、同じハーフエルフ同士で交配しない限りはね・・・今は一人でもエルフの人口を増やしたいの!ねっ、セリオン君っ、協力してくれるかしら?」

 「・・・で、でもどうして僕達なんかと・・・」

 「実はね。エルフ同士の交配では赤ちゃんがなかなか出来ないのだけど、ヒト族の男の人の種を貰うとね、すっごく妊娠する確率が高いの!不思議な事だけど・・・・それに、同じ生命の種をプレゼントしてもらうなら、君達みたいな可愛い男のコ達の方が・・・・えっ、えっと・・・とっても情熱的で「元気いっぱい」でしょう?・・・だから、ねっ?」

 ・・・いつもは凛とした美貌を少女のように赤らめて、シセラは恥ずかしそうにそう言うのだ。
 そして体を密着させ、ベッドで隣に腰を掛けているセリオンに大きな胸を押し付けるようにして彼の顔を上目遣いに見つめる。

 ヒト族で言えば30代半ばのシセラのとびきり妖艶な目に見つめられ、セリオンは完全に固まってしまう・・・・。

 「・・・ねっ、セリオン君・・・こんなオバサンとじゃ・・・イヤかな?」

 「・・・・ははははははははいっ!嫌じゃないですっ・・・ぼぼぼぼ僕もっ、シセラの事がっ・・・」

 「嬉しいっ!・・・じゃあセリオン君、私がイチから全部・・・教えてア・ゲ・ル・・・ハジメテなんでしょう?」

 「・・・あっ・・・」

 シセラはそのままセリオンに全体重を預け、重なってベッドに倒れ込む。

 ・・・窓の外には美しい十六夜いざよいの月が輝いていた。




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