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ゴブリンを束ねる者
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※ ※ ※ 注意 ※ ※ ※
ここから数回、重くて厳しい回になります。スラちゃんのほのぼのプヨプヨ感だけ楽しみたい方はご注意ください。
※※※※※※※※※※
進んだ先は、修羅場だった。
人間よりも一回り大きい、屈強そうな、もうゴブリンなのかも分からない死体がゴロゴロしてる。そこら中は青い血の海で、その只中に青い血で染まったBランクさんが佇んでいた。
さすがにBランクさんも結構なケガをしたんだろう、赤い血も混ざり合ってBランクさんの体はもうドロドロの不気味な色なんだけど。
ただ、Bランクさんにはケガも血にまみれている事もどうでもいいことのようで、強烈な殺気を孕んだその瞳は、まっすぐにただ一点を見つめていた。
そこに居るのはさっきのゴブリンウォーリアよりもさらに一回り、鬼みたいに大っきくって強そうなゴブリン。
……ううん、Bランクさんが見てるのは、その奥だ。
「まさか、ゴブリンクイーン……?」
「その、まさかだ」
誰かの呟きに、Bランクさんが苦々しい顔で答える。
ゴブリンクイーンって、あたしもうっすらと聞いた事があるよ。
ゴブリンって異種交配で強い個体を生み出そうとする特性があるんだって。そうすると魔法が使えたり体格や筋力がずば抜けて強かったり、とにかく親よりも強い子供が生まれやすいらしいんだけど。
そんな中でごく稀にすごくすごく強い個体が生まれる事があるって。強力な統率力と知恵、そして力を宿した個体はゴブリンキングとか、ゴブリンクイーンって呼ばれて……。
その、ゴブリンクイーンだよね?
「なんて事だ」
誰かが小さく呟いた。見渡せば、アルマさんもリーナさんも他の皆も、誰もが痛いみたいな顔をしている。
「ああ、クイーンの母体は確実に人間だ」
Bランクさんの声に、激しい憎しみがこもっていた。
確かに、スラリと長い手足、綺麗な顔立ち、均整のとれたプロポーション。肌の青さや耳のトンガリ方とか人間とは明らかに違う部分もあるけど、母体がどの種かなんて一目瞭然だ。
「どけ」
たった一言。
Bランクさんがそう言葉を発した瞬間、ゴブリンクイーンを守っていた二体が頽れる。
「ガッ!?」
「グ……ガフッ」
一瞬の間にBランクさんの剣が二体の喉笛を捉えていたらしい。首から青い鮮血を上げながら、二体は抵抗すらする間もなく息絶えた。
「よぐ、も」
……え?
くぐもった声、今クイーンから聞こえなかった?
「よぐ、も、ごろ、した、な……!」
憎しみに燃える目で、Bランクさんを睨みつけるクイーンからは、流暢とは言えないけれど、確かに人間の言葉が発されていた。
「話せるのか、なるほど知能が高い」
さらに青い血を浴びて、もうなんか真っ青になっちゃってるBランクさんが、血まみれの剣を真っ直ぐにクイーンに向ける。もう殺気しか感じない、冷酷な表情だった。
「……言え、お前を生んだ女はどこだ」
Bランクさんの抑えた声が、何故かものすごく重く重く響いた。
怖い。
体中の水分が干上がるかと思うほど、その声はあたしを震えあがらせた。
ここから数回、重くて厳しい回になります。スラちゃんのほのぼのプヨプヨ感だけ楽しみたい方はご注意ください。
※※※※※※※※※※
進んだ先は、修羅場だった。
人間よりも一回り大きい、屈強そうな、もうゴブリンなのかも分からない死体がゴロゴロしてる。そこら中は青い血の海で、その只中に青い血で染まったBランクさんが佇んでいた。
さすがにBランクさんも結構なケガをしたんだろう、赤い血も混ざり合ってBランクさんの体はもうドロドロの不気味な色なんだけど。
ただ、Bランクさんにはケガも血にまみれている事もどうでもいいことのようで、強烈な殺気を孕んだその瞳は、まっすぐにただ一点を見つめていた。
そこに居るのはさっきのゴブリンウォーリアよりもさらに一回り、鬼みたいに大っきくって強そうなゴブリン。
……ううん、Bランクさんが見てるのは、その奥だ。
「まさか、ゴブリンクイーン……?」
「その、まさかだ」
誰かの呟きに、Bランクさんが苦々しい顔で答える。
ゴブリンクイーンって、あたしもうっすらと聞いた事があるよ。
ゴブリンって異種交配で強い個体を生み出そうとする特性があるんだって。そうすると魔法が使えたり体格や筋力がずば抜けて強かったり、とにかく親よりも強い子供が生まれやすいらしいんだけど。
そんな中でごく稀にすごくすごく強い個体が生まれる事があるって。強力な統率力と知恵、そして力を宿した個体はゴブリンキングとか、ゴブリンクイーンって呼ばれて……。
その、ゴブリンクイーンだよね?
「なんて事だ」
誰かが小さく呟いた。見渡せば、アルマさんもリーナさんも他の皆も、誰もが痛いみたいな顔をしている。
「ああ、クイーンの母体は確実に人間だ」
Bランクさんの声に、激しい憎しみがこもっていた。
確かに、スラリと長い手足、綺麗な顔立ち、均整のとれたプロポーション。肌の青さや耳のトンガリ方とか人間とは明らかに違う部分もあるけど、母体がどの種かなんて一目瞭然だ。
「どけ」
たった一言。
Bランクさんがそう言葉を発した瞬間、ゴブリンクイーンを守っていた二体が頽れる。
「ガッ!?」
「グ……ガフッ」
一瞬の間にBランクさんの剣が二体の喉笛を捉えていたらしい。首から青い鮮血を上げながら、二体は抵抗すらする間もなく息絶えた。
「よぐ、も」
……え?
くぐもった声、今クイーンから聞こえなかった?
「よぐ、も、ごろ、した、な……!」
憎しみに燃える目で、Bランクさんを睨みつけるクイーンからは、流暢とは言えないけれど、確かに人間の言葉が発されていた。
「話せるのか、なるほど知能が高い」
さらに青い血を浴びて、もうなんか真っ青になっちゃってるBランクさんが、血まみれの剣を真っ直ぐにクイーンに向ける。もう殺気しか感じない、冷酷な表情だった。
「……言え、お前を生んだ女はどこだ」
Bランクさんの抑えた声が、何故かものすごく重く重く響いた。
怖い。
体中の水分が干上がるかと思うほど、その声はあたしを震えあがらせた。
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