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本編
十五話 戦場
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思い出話を語るライナルトに、付き合ってられんって感じに部屋を出たカイルは、左耳のピアスをいじりながらやっぱり遺物ってすげぇと思っていた。
確かにバレないように動いてたし、当時は遺物で別人に姿を変えていたけど、あそこまで気付かないとはね。
でもマァ遺物ってそういうもんだしな。
毒を判別するってなったらマジで毒だけ判別してくれる、酒も薬も魔法も反応しないのに、どういう仕組みなんだろうか、わからんから遺物って言われてみんな求める。
そして、カイルは他者に姿を変える力を持った遺物で、戦場では常に姿を変えていた。
他者に姿を変える、正確には肉体を変えるのではなく、他の人間にそう認識させる力だ。
その為に、魔力の性質が強く出ているため、基本変わることのない瞳の色まで変えることができる。
にしても炎帝か、懐かしい名前を出してくれやがってもう。
カイルはその呼び方があまり好きじゃなかった、そもそも帝ってなんだよ、王国の人間なら王ってつけろよ。
マジなんも考えずに、対抗して呼んでたんだろってのがわかるし、あと普通にダサいので嫌いだった。
とはいえ、ダサいからバレないように動いてるわけじゃない。
普通に、自国の領土と国民を燃やした人間を、人があんまりいい感情を抱かないってことは分かっていたので。
意外に思われるが、カイルは案外人の心理にはちょっと詳しかった、じゃなきゃ効率的に人を怖がらせて顎で使えないし。
なので正体を軽く隠して生活しているわけだが、その国のトップがあの様子なら案外隠す必要なかったんじゃないかと思っていた。
それにしても、とカイルは思う。
ライナルトにとってあの時の事は、記憶に鮮烈に残っているらしい。
勿論だが、カイルもよく覚えていた、瀕死の重症で本気で死を覚悟してたので、忘れたくても忘れられん。
カイルが王国で、ちょっと戦場立ってた頃の話だ。
人というのはいつの世も、好き勝手に戦い争って来たので、戦争なんざ珍しくもない。
戦場、戦争、お偉いさん方にとっちゃ人の命使った陣取りボードゲームだが、使われてる命からすりゃ命のゴミ捨て場。
命が紙切れで支えれるそうな軽さのその場に立って、カイルは温もりっていうのを感じた気がした。
戦場はカイルを故郷のように受け入れてくれたので。
あそこが実家だったかもしれないとまで思っていた、戦いの申し子かな。
流石に最初は人を殺すのか、うーんって感じだったけど、一回やってみたら案外なんともなくて。
人って、命って、こんなに軽かったんだなって感じにスンって感じだった。
初めて人を殺した時はちょっと気分が、優れなかったけど。
人間が燃えた肉って臭いんだよな、雑食だし、あんまり嗅いで気分のいいものじゃない。
でも肉を焼くと反射で腹が減ったので、悪臭に食欲がわかないのに、体は食事を欲している、最悪だな。
なのでそれ以来、干し肉齧りながら風で臭いが自分の方に来ないようにした、創意工夫というのはどんな場だろうと大事だな。
つまり、カイルにとって人を燃やすのも食肉を燃やすのもそこまで変わらないことだったらしい。
なんとなく、自分はそういう人間なんだろうなって察していたカイルは、こんなもんかぁと思いながら受け入れた。
さて、先ほどから燃やしたとか言っているが、炎帝とか呼ばれていたようにカイルは火の魔法を好んで使っていた。
使っていたが、実のところ火の魔法に関する適正はあんまりない、というか相性が悪い部類だった。
カイルの適正は、まず土で、その次に水と木なので。
だってわかりやすいのだ、人間も動物なので、火には本能的に恐怖を感じるし、破壊力も高く破壊痕も目立つ。
空一面に炎で作った槍と矢を広げて、人間に向けて放てば視覚的にも恐ろしく感じる。
勿論、カイルが地震でも起こしたり地面に亀裂を作ったり、あるいは洪水で更地にでもすれば同じくらいの恐怖は与えられるだろう。
だけどそんな大規模な魔法ってのは使う方も大変なのだ、しかもそんな魔法を使った跡地を手に入れたところで、正直あんまり旨みが意味がない。
それと比べて炎と言ったら、小規模かつ簡単な魔法でも大量に展開すれば、大規模で高度な魔法と同じくらいの恐怖を与えられるし、被害は魔法のレベル相応だから抑えれる。最高だね。
勿論だが、そんな馬鹿みたいなことできるのはカイルの魔力量があってこそだ、普通の人間は大量展開までは思いついても消費魔力を考慮してそんなことしないしできない。
だからこそ、敵味方問わずカイルといえば炎って結びついて、誰も本当に得意な、というかそこ絶大なその魔力をもたらしてる大地に目を向けなかったけど。
基本上空の、ちじょうからギリギリ視認できる位置で浮いて攻撃してるし。
自分の長所とその弱点を理解してるからこその行動だ、賢い。
そんな感じで順調に活躍して楽しく暴れていたカイル。
被害は出していたが結果も残したので部下もついたし、その部下にちょっと心も開いたりしていた。
カイルも人間なので、人に心を許すということをしていた。
無防備に背中とか見せて、警戒心をちょっと緩めて、魔法の障壁もなしで。
あぁそうさ、油断していたのだ、自分にあった環境で、ちょっと気を許せる相手の近くにいたんだ、油断もするだろう。
カイルは意外と人間だったらしい。
だから、きっとその所為なのだろう。
刺されたと、背中に違和感を抱くまで気付かなかった
「えっ?」
そんな声をこぼして、後ろを振り返る。
背中にはナイフが生えてるし、すぐ後ろには部下が一人。
なるほど、刺されたのね。
その事実を理解したカイルは勿論その部下をミンチにして、拠点も潰してからすぐにその場から離れた。
一度襲われたのだ、二度目がすぐに来ないとは限らないだろう、なので離れた場所に身を隠そうと思ったのだ。
その行動が正しかったのかは知らないが、結果として生き延びたので間違いではなかったのだろう。
確かにバレないように動いてたし、当時は遺物で別人に姿を変えていたけど、あそこまで気付かないとはね。
でもマァ遺物ってそういうもんだしな。
毒を判別するってなったらマジで毒だけ判別してくれる、酒も薬も魔法も反応しないのに、どういう仕組みなんだろうか、わからんから遺物って言われてみんな求める。
そして、カイルは他者に姿を変える力を持った遺物で、戦場では常に姿を変えていた。
他者に姿を変える、正確には肉体を変えるのではなく、他の人間にそう認識させる力だ。
その為に、魔力の性質が強く出ているため、基本変わることのない瞳の色まで変えることができる。
にしても炎帝か、懐かしい名前を出してくれやがってもう。
カイルはその呼び方があまり好きじゃなかった、そもそも帝ってなんだよ、王国の人間なら王ってつけろよ。
マジなんも考えずに、対抗して呼んでたんだろってのがわかるし、あと普通にダサいので嫌いだった。
とはいえ、ダサいからバレないように動いてるわけじゃない。
普通に、自国の領土と国民を燃やした人間を、人があんまりいい感情を抱かないってことは分かっていたので。
意外に思われるが、カイルは案外人の心理にはちょっと詳しかった、じゃなきゃ効率的に人を怖がらせて顎で使えないし。
なので正体を軽く隠して生活しているわけだが、その国のトップがあの様子なら案外隠す必要なかったんじゃないかと思っていた。
それにしても、とカイルは思う。
ライナルトにとってあの時の事は、記憶に鮮烈に残っているらしい。
勿論だが、カイルもよく覚えていた、瀕死の重症で本気で死を覚悟してたので、忘れたくても忘れられん。
カイルが王国で、ちょっと戦場立ってた頃の話だ。
人というのはいつの世も、好き勝手に戦い争って来たので、戦争なんざ珍しくもない。
戦場、戦争、お偉いさん方にとっちゃ人の命使った陣取りボードゲームだが、使われてる命からすりゃ命のゴミ捨て場。
命が紙切れで支えれるそうな軽さのその場に立って、カイルは温もりっていうのを感じた気がした。
戦場はカイルを故郷のように受け入れてくれたので。
あそこが実家だったかもしれないとまで思っていた、戦いの申し子かな。
流石に最初は人を殺すのか、うーんって感じだったけど、一回やってみたら案外なんともなくて。
人って、命って、こんなに軽かったんだなって感じにスンって感じだった。
初めて人を殺した時はちょっと気分が、優れなかったけど。
人間が燃えた肉って臭いんだよな、雑食だし、あんまり嗅いで気分のいいものじゃない。
でも肉を焼くと反射で腹が減ったので、悪臭に食欲がわかないのに、体は食事を欲している、最悪だな。
なのでそれ以来、干し肉齧りながら風で臭いが自分の方に来ないようにした、創意工夫というのはどんな場だろうと大事だな。
つまり、カイルにとって人を燃やすのも食肉を燃やすのもそこまで変わらないことだったらしい。
なんとなく、自分はそういう人間なんだろうなって察していたカイルは、こんなもんかぁと思いながら受け入れた。
さて、先ほどから燃やしたとか言っているが、炎帝とか呼ばれていたようにカイルは火の魔法を好んで使っていた。
使っていたが、実のところ火の魔法に関する適正はあんまりない、というか相性が悪い部類だった。
カイルの適正は、まず土で、その次に水と木なので。
だってわかりやすいのだ、人間も動物なので、火には本能的に恐怖を感じるし、破壊力も高く破壊痕も目立つ。
空一面に炎で作った槍と矢を広げて、人間に向けて放てば視覚的にも恐ろしく感じる。
勿論、カイルが地震でも起こしたり地面に亀裂を作ったり、あるいは洪水で更地にでもすれば同じくらいの恐怖は与えられるだろう。
だけどそんな大規模な魔法ってのは使う方も大変なのだ、しかもそんな魔法を使った跡地を手に入れたところで、正直あんまり旨みが意味がない。
それと比べて炎と言ったら、小規模かつ簡単な魔法でも大量に展開すれば、大規模で高度な魔法と同じくらいの恐怖を与えられるし、被害は魔法のレベル相応だから抑えれる。最高だね。
勿論だが、そんな馬鹿みたいなことできるのはカイルの魔力量があってこそだ、普通の人間は大量展開までは思いついても消費魔力を考慮してそんなことしないしできない。
だからこそ、敵味方問わずカイルといえば炎って結びついて、誰も本当に得意な、というかそこ絶大なその魔力をもたらしてる大地に目を向けなかったけど。
基本上空の、ちじょうからギリギリ視認できる位置で浮いて攻撃してるし。
自分の長所とその弱点を理解してるからこその行動だ、賢い。
そんな感じで順調に活躍して楽しく暴れていたカイル。
被害は出していたが結果も残したので部下もついたし、その部下にちょっと心も開いたりしていた。
カイルも人間なので、人に心を許すということをしていた。
無防備に背中とか見せて、警戒心をちょっと緩めて、魔法の障壁もなしで。
あぁそうさ、油断していたのだ、自分にあった環境で、ちょっと気を許せる相手の近くにいたんだ、油断もするだろう。
カイルは意外と人間だったらしい。
だから、きっとその所為なのだろう。
刺されたと、背中に違和感を抱くまで気付かなかった
「えっ?」
そんな声をこぼして、後ろを振り返る。
背中にはナイフが生えてるし、すぐ後ろには部下が一人。
なるほど、刺されたのね。
その事実を理解したカイルは勿論その部下をミンチにして、拠点も潰してからすぐにその場から離れた。
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