誰にも言えないあなたへ

天海月

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夜勤明けの朝、騎士服のまま私室のソファに転がったマリオンは一連の騒動について、思いをめぐらせていた。

あの日、クリスティーナがかつての思い人だという、オリバーという男のところへ行ったのは明白だった。

クラークとマクレーンの家の間を隈なく探したにも関わらず、彼女を見つけ出せなかったマリオンは、もしやと思い、人づてに聞いた事のあるオリバーの家の方角に向かったところ、彼女に出会う事が出来たのだった。

やはり、彼女は今でもその男の事を思っているのだろうか。

実際に会った事は無いが、あのクリスティーナが思い続けているような男なら、偶々貴族では無かったと言うだけで、彼女に相応しい素晴らしい男に違いないだろう。

そうであれば、私などとは早々に縁を切って、彼女とその男が二人で幸せになれるように何とかしてやりたい。

自分のせいで、彼女の大切な時間を何年も無駄にさせてしまったのだから・・・。

いつの間にか彼女に対して、当初の憧れのような気持ちとは別の、妹に対するような親愛を抱いていたマリオンはそんな事を思った。





オリバーは、先日起きた突然の出来事を振り返っていた。

クリスティーナが自分を訪ねて来た時は驚いたが、何より嬉しかった。

まだ、自分を忘れずに居てくれたのだと。

このままここに留め置いて、自分のものにしてしまいたいと思わなくもなかった。

けれど、それは寸でのところで思いとどまった。

なぜなら、彼女はクラーク家に嫁いだ伯爵夫人だったから。

彼女はもしかしたら自分の『兄』かもしれない人の妻なのだから・・・。

はっきり言って、自分を『オリー』と呼んでよく遊んでくれた姉はともかく、兄の顔など全く覚えてもいない。

けれど、それを奪うなんて恥知らずな事は出来ないし、そんなことをすればクリスティーナの事も傷つけてしまうだろう・・・。

それにしても、姉さんは今どこにいるのだろう・・・。

彼はクリスティーナに託したボタンに思いを馳せた。
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