20 / 20
20.エピローグ
しおりを挟む
「・・・どうして、泣いているんですか?」
彼女はそこに聞こえるはずが無い声が聞こえたような気がした。
そして、はっとしてその声の方に目をやった。
彼女の愛しい青空は、その色を取り戻していた。
彼女は驚きで息が止まるかと思った。
「・・・アーロン・・・どうして・・・」
彼は穏やかに微笑んで、彼女を見つめた。
「あなたが呼んでくれさえすれば、いつだって戻ってきます・・・迎えに来てくれたでしょう?」
そして、その確かな存在をもって彼女を抱きしめ返した。
◇
ロザリアとアーロンは、洞窟を出た。
「あなたが一度、命を落とした時に『王女の私』も死んだわ。これからはただのロザリアとして生きる。あなたも、もう騎士でなくてただのアーロンでいい。だから、もう二度と私の傍から離れないで・・・」
ロザリアの言葉に、彼は静かに頷いた。
そして、二人は朝霧が深い森の奥へと消えていった。
◇
それから、洞窟の災厄が甦ることは二度となかった。
人々は生贄になった王女のお陰だと口々に言い、ロザリアは悲劇の王女として後世まで語り継がれたという。
だが、彼女にその後があった事と、その陰に一人の騎士の献身があった事は誰にも知られていない。
fin.
****************************
<あとがき>
これにて、完結となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
彼女はそこに聞こえるはずが無い声が聞こえたような気がした。
そして、はっとしてその声の方に目をやった。
彼女の愛しい青空は、その色を取り戻していた。
彼女は驚きで息が止まるかと思った。
「・・・アーロン・・・どうして・・・」
彼は穏やかに微笑んで、彼女を見つめた。
「あなたが呼んでくれさえすれば、いつだって戻ってきます・・・迎えに来てくれたでしょう?」
そして、その確かな存在をもって彼女を抱きしめ返した。
◇
ロザリアとアーロンは、洞窟を出た。
「あなたが一度、命を落とした時に『王女の私』も死んだわ。これからはただのロザリアとして生きる。あなたも、もう騎士でなくてただのアーロンでいい。だから、もう二度と私の傍から離れないで・・・」
ロザリアの言葉に、彼は静かに頷いた。
そして、二人は朝霧が深い森の奥へと消えていった。
◇
それから、洞窟の災厄が甦ることは二度となかった。
人々は生贄になった王女のお陰だと口々に言い、ロザリアは悲劇の王女として後世まで語り継がれたという。
だが、彼女にその後があった事と、その陰に一人の騎士の献身があった事は誰にも知られていない。
fin.
****************************
<あとがき>
これにて、完結となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
54
この作品の感想を投稿する
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる