農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト

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第一章 僕は普通の農民です

呼び出し、そして出立

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「おーい、ロイ、コン!お前らちょっと直ぐに家に帰って着替えてこい!」
 父さんは何故か顔を強張らせてそんなことを言う。
「え、父さんどうし……」
「こ、国王様がお前達を呼んでるからって王都から牛馬車ぎゅうばしゃが来たんだ!いくらなんでも土まみれで乗る訳にはいかんからさっさと帰って着替えてこい!」
 その国王からの呼び出しという信じられない言葉に俺達3人は絶句する。
 牛馬車とはカウホースが牽く乗り物のことである。
「わ、わかった!といっても大した服は……」
「作業着のままよりはマシだろう!今牛馬車は広場でお前を待ってるんだ、急げ!」
 とにかく急げ急げという事で僕は大慌てで家に帰る。

「ただいま!」
「あ、ロイ!ほら服、これ洗濯したから」
「ありがとう母さん!」
「ほら、急ぎなさい」
「うん!」
 お母さんに手渡された服に自分の部屋で急いで着替え、作業着は洗濯かごに畳んで入れて玄関に行く。
「ロイ、国王様に会いに行くんだから、あまり失礼のないようにね」
「わかった!」
「あとこれ少しだけど、王都でちょっとしたお土産、お願いね」
「ありがとう!それじゃあ行って来ます!」
「行ってらっしゃい」

 そうして玄関を出ると、ソフィとミリィが待っていた。
「ロイ君、大丈夫なの?」
「お兄ちゃん本当に行くの?」
 あまりに急な呼び出しに、2人はまだ戸惑っているようだ。
「うん、国王様からの呼び出しだからね」
 不安そうな2人に対して、僕は笑顔でそう答える。
 それでもとまだ不安そうな2人に、ずっと隣りに居たコンが言う。
「そんな不安そうにするでない。この我が居るのだ、例え何があろうと大丈夫だ」
 と、その言葉で僕はようやく気がついた。

 国王様に呼ばれたの、コンを召喚したからか……
「国王様に呼ばれたの、コンを召喚したからか……」

 あ、声に出ちゃった。
「え、まさか気付いてなかったの?」
 不安そうにしていた2人は僕の今の発言に呆れて溜息をつく。
「え、あ、いや、あはは……」
「お兄ちゃん、私もそれくらいはわかってたんだけど……」
「な、なんかゴメン」
 2人にジト目で見られて反射的に謝ると2人はまた溜息をついて、今度は笑顔になる。
「お兄ちゃんはコンちゃんのついでだもんね、大丈夫だよね」
「つ、ついで……」
 確かにそうだけど、そうなんだけどさ。
「コンは強いから、何があっても大丈夫だよね」
「ほらボサッとしてないで、行ってらっしゃい」
「行ってらっしゃい、お兄ちゃん。お土産期待してるからね!」
「うん、行ってきます!」

 急いで村の広場に行くと豪華な牛馬車があり、その御者らしい人と村長が何か立ち話をしていた。
「こんにちは、村長」
「おお、やっと来たか」

「君が混沌竜を従魔にしたというロイ様ですね」

 村長と同じぐらいに見えるが村長よりシャキッとした感じのその御者は、僕に丁寧なお辞儀をする。
「え、ええと、その……」
 こんな経験をしたことのない僕は何て返すべきか戸惑ってしまう。
「ああ、困らせてしまい申し訳ございません」
「あ、いえ、その、すみません」
 なんだかさっきから戸惑ってばかりな気がする。
「では大変失礼ですが、道中今回の経緯などについてもお伝えいたしますので早速王都に向かいましょう、ロイ様」
 御者は豪華な牛馬車の扉を開き、僕が乗る事を促す。
 そして中にはメイドと思われる女性が乗っていた。
「え、ええと……」
「ロイ君、別に罪を裁かれに行くわけではないんだ、胸を張って行くといい。君自身が理由ではないじゃろうが、それでもコンを召喚したのは君なのじゃから」
「は、はい、村長!」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます!」



 そして僕とコンは牛馬車に乗り込むと、御者はすぐに牛馬車を走らせる。
 そうして広場からすぐに村の北門まで駆け抜け村が徐々に遠ざかっていく。
 少し大きな街にすら出かけたことのない少年は、見たこともない豪華な牛馬車に乗って自らの住む国の王都へと向かう。

「ところでロイよ、父には挨拶していなかったようだが、良かったのか?」
「あ、忘れてた……」
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