14 / 125
第一章 僕は普通の農民です
王都へ
しおりを挟む
村を出て数分、ずっと窓の外を見ていた僕に一緒に乗っていた若いメイドさんが話しかけてくる。
「この度は急なお呼び出しになってしまい、誠に申し訳ございませんロイ様、コン様」
「あ、いえ、コンが来た時からこうなるかもって話は聞いてたから……」
敬語で話すべきだとは思うのだけど、僕はこの人生ずっと農業ばかりするものだとばかり思っていたから全くと言っていい程身につけていない。
「では、この度お呼び出しの目的等をお話してもよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
「まずはロイ様が呼ばれたのは予想されていますように、ロイ様の従魔でいらっしゃる混沌竜のコン様がこの世で最も力を持つ生物として名を馳せているからでございます」
「うむ、自慢ではないが我に敵う者はこの世には居らぬだろうな」
「ですので、そのようなコン様を従魔になされたロイ様がどのような人物であるのか見極める必要があると、国王様は判断なされたのでございます」
「えっと、もしかしてなにかやらかすかもしれないって考えてるの?」
「いえ、あくまで今のはもしも、のお話でございます」
そう言われても、力を使って何をすればいいのかなんて全く思い浮かばない。
それから暫く国王様に会うにあたっての礼儀作法などをメイドさんに教えてもらった。
「ふむ、随分と遅いな」
村を出て約1時間、急にコンがそんな事を言い出した。
「遅い……ですか?」
メイドさんは首を傾げる。
「すまないが、一度戸を開けて外に出てもよいか?」
「どうなさいましたコン様?」
いきなり訳のわからないことを言い始めたコンに、僕とメイドさんは困惑する。
「なに、少しそこのカウホースの主とお話したいだけだ」
そうして何を話すのかはわからないけれど、僕は走りながらではあるが戸を開けてコンを出してやる。
一応この牛馬車かなりの速度で走ってはいるはずなのだが、コンは真っ直ぐ御者の元に向かう。
そしてそれに驚いた御者に何か話しかけると御者は首を傾げ、もう一度何かを話すと驚いたように目を見開く。
そしてコンはカウホースと牛馬車に何かしらの魔法を使ってから戻って来た。
「何を話してたの?」
コンを僕の足に座らせて質問する。
「ちょっとだけカウホースに補助魔法を掛けてやり、この牛馬車の重さを0にして来た」
「……えっと、どういうこと?」
「ロイとそこの女性よ、ちょっとばかりしっかりと座っておいた方がよいぞ」
僕とメイドさんが首を傾げながらも言われた通りしっかりと座り直す。
すると、突然牛馬車は先程の約10倍もの速さで走りはじめた。
「うわ、凄い!」
「きゃあ!な、何ですかこれ!?」
急な加速に驚きつつもちょっとだけ興奮する僕に対し、メイドさんは悲鳴をあげる。
「カウホースがより速く走れるようにしたのだ。今はまだ少し力に戸惑っているようだが、もう少しすれば力に慣れもっと速く走るだろう」
今でも充分過ぎるほど速いのに!?
それから少しして更に更にと早くなり幾つかの街の外をまわって一切止まることなく走り続け、村を出て約5時間で王都に着いた。
これは後から御者さんに教えてもらったことなのだが、本来僕の居た村は全力で走らせて片道2日の行程だったそう。
「コン、お願いだから次からは先に相談してくれないかな?」
「うむ、わかった」
「この度は急なお呼び出しになってしまい、誠に申し訳ございませんロイ様、コン様」
「あ、いえ、コンが来た時からこうなるかもって話は聞いてたから……」
敬語で話すべきだとは思うのだけど、僕はこの人生ずっと農業ばかりするものだとばかり思っていたから全くと言っていい程身につけていない。
「では、この度お呼び出しの目的等をお話してもよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
「まずはロイ様が呼ばれたのは予想されていますように、ロイ様の従魔でいらっしゃる混沌竜のコン様がこの世で最も力を持つ生物として名を馳せているからでございます」
「うむ、自慢ではないが我に敵う者はこの世には居らぬだろうな」
「ですので、そのようなコン様を従魔になされたロイ様がどのような人物であるのか見極める必要があると、国王様は判断なされたのでございます」
「えっと、もしかしてなにかやらかすかもしれないって考えてるの?」
「いえ、あくまで今のはもしも、のお話でございます」
そう言われても、力を使って何をすればいいのかなんて全く思い浮かばない。
それから暫く国王様に会うにあたっての礼儀作法などをメイドさんに教えてもらった。
「ふむ、随分と遅いな」
村を出て約1時間、急にコンがそんな事を言い出した。
「遅い……ですか?」
メイドさんは首を傾げる。
「すまないが、一度戸を開けて外に出てもよいか?」
「どうなさいましたコン様?」
いきなり訳のわからないことを言い始めたコンに、僕とメイドさんは困惑する。
「なに、少しそこのカウホースの主とお話したいだけだ」
そうして何を話すのかはわからないけれど、僕は走りながらではあるが戸を開けてコンを出してやる。
一応この牛馬車かなりの速度で走ってはいるはずなのだが、コンは真っ直ぐ御者の元に向かう。
そしてそれに驚いた御者に何か話しかけると御者は首を傾げ、もう一度何かを話すと驚いたように目を見開く。
そしてコンはカウホースと牛馬車に何かしらの魔法を使ってから戻って来た。
「何を話してたの?」
コンを僕の足に座らせて質問する。
「ちょっとだけカウホースに補助魔法を掛けてやり、この牛馬車の重さを0にして来た」
「……えっと、どういうこと?」
「ロイとそこの女性よ、ちょっとばかりしっかりと座っておいた方がよいぞ」
僕とメイドさんが首を傾げながらも言われた通りしっかりと座り直す。
すると、突然牛馬車は先程の約10倍もの速さで走りはじめた。
「うわ、凄い!」
「きゃあ!な、何ですかこれ!?」
急な加速に驚きつつもちょっとだけ興奮する僕に対し、メイドさんは悲鳴をあげる。
「カウホースがより速く走れるようにしたのだ。今はまだ少し力に戸惑っているようだが、もう少しすれば力に慣れもっと速く走るだろう」
今でも充分過ぎるほど速いのに!?
それから少しして更に更にと早くなり幾つかの街の外をまわって一切止まることなく走り続け、村を出て約5時間で王都に着いた。
これは後から御者さんに教えてもらったことなのだが、本来僕の居た村は全力で走らせて片道2日の行程だったそう。
「コン、お願いだから次からは先に相談してくれないかな?」
「うむ、わかった」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4,085
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる