農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト

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第二章 混沌竜の契約者

イツキの仲間達

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「ほんじゃ着くまで暇だしお互い簡単に自己紹介しようか」
 武器屋、ではなく杖を専門とした杖屋が王都にはあるらしく、それは現在地から見て城の向こう側、王都の北の方にあるらしいので皆で移動していた。
「俺はイツキだ。一応そこそこの実力で冒険者やってる。こいつら共々よろしくな」
 そしてイツキさんが改めて軽く自己紹介をする。
「僕はロイって言います。その、ちょっと色々あって冒険者登録しました」
「私はソフィです。私はロイ君の付き添いで登録しました」
 そう僕達もイツキさんの仲間の方を向いて言う。

「じゃ、今度は俺の仲間を紹介するな。俺の隣に居る性悪エルフがメイ、メイの後ろに居るへっぴり腰なドワーフがフール、そんで俺の後ろに居る無駄に元気で騒がしい兎の獣人がスー」
 適当に全員の紹介をしたイツキは、その仲間全員から叩かれた。
「何すんだよ!」
 それに抗議の声をあげるイツキに3人が同時に言う。

「「「イツキの紹介が悪いから(よ、だ、です)!!」」」

 そう言って、エルフの女性であるメイさんがこちらを見る。
「それじゃあ改めて、私はエルフのメイと言います。この非常識でバカで考え無しなイツキのお目付け役をしています。魔法が得意なので必要なら教えますよ?」
 身長は約170センチで真っ白い肌に少し尖った長い耳は、昔村長が読み聞かせしてくれた本で聞いた事のあるエルフそのままだった。
 魔法使いという事で黒いフード付きローブを着ていたけど、自己紹介にあたり外していたフードを被り直した。

「僕はドワーフのフールって言います。その、戦闘は得意じゃ無いですけど、鍛冶なら得意です」
 140センチちょっとの小柄で、でもガッシリとした筋肉が付いている彼は薄茶色のツナギを着て腰には戦闘用のハンマーが吊るされていた。
 ただ鍛冶が得意と言っていたので、たぶん鍛冶用のハンマーは闇魔法で収納しているのだろう。

「私は兎族の次期族長候補だったスーでーす!近接格闘専門です!よろしくね!」
 この兎の獣人であるスーさんはその特徴的な長い耳を隠すことなく、むしろ短い尻尾を出す穴のある短パンに、上は近接戦用なのか胸の所だけは薄い金属プレートを着けていたが、それ以外はお臍を出していたりと肌の露出が多い服装だった。

「ま、個性の塊みたいな仲間達だけど仲良くしてやってくれ」
 イツキさんがそう言うと、仲間の皆が叫んだ。



「「「イツキにだけは言われたくない!!この『漆黒の王』!!」」」



「そ、その中二病チックな2つ名を呼ぶなあああぁぁぁぁぁ!!」
 それを聞いたイツキさんは耳を塞いで絶叫する。
「え、漆黒の王!」
「イツキさん2つ名あるんですか!」
 それに僕とソフィは目を輝かせる。

「「カッコいい!!」」

「ああああああ!!やめろおおおぉぉぉぉぉ!!」

 この世界で2つ名を持つという事、それは強者の証。
 特に2つ名持ちの冒険者というのは凄い功績を立てた者のみが持ち、更に2つ名を持った冒険者は様々な方面から狙われる事も多いため、勝手に自称することは自らの命を脅かす可能性があるのでまずしないのだ。

「2つ名持ちの冒険者だったなんて、尊敬します!」
「私もそんな凄い人に会えるなんて思わなかった!」
 そしてそんな有名人にこんな南の端の国の王都で会うとは思ってもみなかった僕とソフィは大興奮である。
 北の冒険者の村には結構居たりするのだが、王都まで足を運ぶものは少ない。
「ねぇ2人とも、漆黒の王の2つ名の由来を知りたくない?」
「「知りたいです!!」」
 僕とソフィはそれにすぐに食いつく。
「あ、おいちょっ……」
「フール、スー、イツキを抑えといて」
 メイさんがそう言うと、2人はすぐにイツキさんの口を塞いで近づけないよう抑える。



「2つ名の由来はね、1年と半年前に北国のルーケンっていう国の王都が山程の魔物の群れに襲われた事があったの。イツキはね、その万を超えるその魔物の群れの前に一人で立つと魔法で全部潰したの。その様子がまるで『黒の衣装をその身に纏う王、その前に平伏す魔物の群れ』みたいに見えたって事で漆黒の王なの」



 そこでようやく2人を振り払ったイツキさんは絶望したように地面に膝をつく。
「何で言うんだよぉぉぉぉぉ……」
「カッコいいです!」
「イツキさんってそんなに凄い冒険者だったんですね!」
「それ以上やめてマジで恥ずかし過ぎて死ぬからぁぁぁぁぁ!!」
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