農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト

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番外編

年越し

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 クルク村で何時も通り家でお昼を食べた後クルク川近くの平原でユンと遊んでいると、変化を解いて元の大きさに戻っているコンが言う。

「ロイよ、イツキから連絡が来たぞ」
「ん、なになに?」
「向こうの様子と声を反映させるぞ」
 コンがそう言うと空中にイツキの姿が浮かび上がった。



【お、繋がってる?なあロイちょっと気になったんだけどさ、お前のとこって年越しって毎年どうしてんの?】



 そして、声が聞こえてきた。

「うわ!?」
「落ち着けロイ。我が魔法で声と向こうの様子を写しているだけだ」
「だけって……ほんとコンって凄いことするよね」



【で、答えてくれんの?】
「うん、わかったからちょっとだけ考える時間ちょうだい」
【おう】

 それから2回ほど深呼吸をして、僕は簡単に何から話すのかをまとめる。

「僕の村での話だから他と同じかはわからないけど、まず12月30日になったら全部の家が大掃除を始めるね」
【30日なのか?】
「うん。31日は村の皆で村長の家に行って丸1日ワイワイお酒とジュースを飲みながら美味しいご飯を食べるんだ」
【あー、だから前日に掃除を終わらすんだな】
「そうだよ。あ、でも村長の家は大きいけど全員は入り切らないから、大人達が中で子供が外や廊下で過ごしてるかな?」
【うっわ、それ絶対寒いだろ】
「そうだけど、今赤ちゃんも含めて103人も人が居るからね。去年村長が次から場所を考えないとって言ってた」

【なるほどねぇ】
「あ、でも夏に摘んだ発火草を使って暖をとるからそんなに文句はないよ。それに『雪投げ』をしてたら暑くなるし、雪だるまっていうのを作ってたら結構夢中になって寒さなんて忘れるから」
【雪投げ……ああ、雪合戦の事か】
「雪合戦?たぶんそうじゃないかな?呼び方が違うだけだと思うよ」
【へぇ、ま、楽しいなら何よりだろうな】
「うん、凄く楽しいよ」

【それで、食べた後はどうすんだ?】
「食べた後は皆で今年もこんなことがあったねーなんて話したりするんだけど、だいたい夕方頃には一回家に帰る人が多いかな?」
【へぇ、そりゃまたなんで?】
「僕の家だとタームを飼ってるからその世話のためだね。幾ら年越しだからって放置して病気とかさせちゃったらダメだからね」
【あーなるほどな】
「そんな感じで用事を済ませてからまた皆でワイワイ騒いで、遅くとも10時頃には解散して寝ちゃうかな」
【早くねーのそれ?】
「何時もは9時ぐらいには寝るよ。いくら年越しだからって長いこと起きてると明日の作業に障るもん」
【ああそうか】

 そしてイツキさんは腕を組んで何かを考える仕草をして、それから顔を上げて言った。



【それじゃ年越した後は何かやんのか?】



 確かに年越し前の話をするなら年を越した後も気になるよねと、毎年やっている事を思い出す。
「年を越してからなら、まずは朝起きたら今年もよろしくお願いしますって家族で挨拶をして、朝ごはんの時には弾丸兎が中心の料理を何処の家も食べるかな」
【は、何で弾丸兎なんだ?】
「それはね、弾丸兎の足腰はとても発達してるから足腰が丈夫になりますようにって願いを込めて食べるんだ。勿論この辺りに弾丸兎が多くて農村地域だからそうなだけだから、場所や地位が変われば食べる物も変わるけどね」
【なるほどなぁ、確かに農業とか体力要るもんな】
「うん。それに後ろ足だけ食べて他の部位を捨てるのはその兎さんに失礼だから食べられる所は内臓も全部調理して食べるよ」
【内臓もかよ】
「勿論全部が全部食べられるわけじゃないから捨てる所はあるけどね。一匹の弾丸兎を4人で分けて食べるから僕の村ではだいたい一家に一匹かな」
【他はなんかすんのか?】
「う~ん、特にはないかな?あ、でも新年の挨拶なら村のみんなに行商人さんにもするかな」

【ふーん、そんなもんか】
 イツキさんはどこか釈然としないといった感じだった。
「それじゃあイツキさんの住んでた国ではどんな年越しをしてたの?」
【あ、俺のとこ?俺の所はテレビっつうもん見ながら年越して、年越したら近くの神社に初詣して、それからばあちゃんの家に親族全員集まって近況報告やらなんやらすんな】
「て、てれ、はつも……?なんか凄いんだね」
 全くもって理解できなかったので、考えるのをやめた。



【イツキ、そろそろ休憩終わりにして行くよ】
 と、突然向こうからメイさんの声が聞こえてきた。
【おう今行く!……んじゃもう切るわ、教えてくれてあんがとな!】

 そうイツキさんが言った時、空中に浮かんでいた映像が消えた。



「いったい何だったんだろうね?」
「我にもわからぬ」
「ワフー!」
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