農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト

文字の大きさ
58 / 125
第二章 混沌竜の契約者

魔力水晶

しおりを挟む
 《コンside》

「は、そんな事でいいのかよ?」

 その条件を聞いたイツキは驚く。
「そうだ。それが何時になるのか我にもわからぬが、いずれお主にお願いしたい」
 そのお願いは元の世界と行き来可能にすることの交換条件ではあるが、彼にしかお願い出来ない事なので頭を下げる。
「いやさ、いいけどさ……こんな時もっとなんかすっげえ事を要求するもんじゃねぇの?」
「良いのか!では頼むぞ」
「あ、ああ……」
 我が言った条件が余程理解できなかったのか、イツキは首を捻りながらではあるが了承した。

「そんじゃそろそろ戻ろうぜ、混沌竜」
「イツキよ、我が名はコンだ」
 先程から鳥とかお前とか混沌竜とか言われてたのがずっと気になっていたのだ。
「は、それもしかして混沌竜だからコンとか付けたのか?」
「そのとおりだ」
 それを肯定するとイツキが笑い出す。
「うっわすっげぇ安易だな」
「そうであろう、そうであろう」
 我は嬉しくなってつられて笑う。
「なんで今ので得意気になるんだよ」
「我からしてみれば必死に悩んで考えた名などより、この安易な名の方が余程特別なのだ」
「変わってんな」
「そうであろうか?」
「ああ」

「そうだイツキよ、これを受取りなさい」
 我は少し前にメルクにも渡した我の魔力で作成した水晶球を渡す。
「何だこれ?」
「これは魔力水晶と言ってな、自らの魔力を固めて作ることが出来るのだ」
「へー、そんなもんあるんだ。で、どんな事が出来るんだ?」
「そうだな、魔力水晶は基本的に魔石と似たような働きをする。ただ魔石と違うのはどれほど魔力を込めようとも強力な魔石のように魔力の自動再補填がされない所だろう」
「ふーん。で、わざわざそんなもん渡すんなら他にも効果あるんじゃねぇの?」
「そうだ、もう一つの特徴は自らの魔力で作成する点にある。イツキは魔道具の作成はしたことはあるか?」
「あー、一応ある。確か魔法陣とか使ってて魔力を流すと初めに設定した魔法が発生するってやつだろ?」 

「そうだ。魔力水晶の最大の特徴でもあるのだが、思い通りの魔法を好きな形、大きさの魔力水晶に好きなだけ魔法を詰め込む事が出来るのだ」

 そう言うとイツキは驚きで目を丸くする。
「な、1つの魔道具に幾つかの魔法を詰め込むには魔力の干渉を防ぐ為の機構を組み込む為に大型化しないといけないはずだろ!?」
「魔力水晶は魔法同士の干渉を起こすことがないのでな。だがこれにも勿論欠点はあるがな」
「あ、やっぱ欠点はあんのね」
「そうだ。内部に刻む魔法が数多く、またそれが複雑であればあるほど作成に必要な魔力量が跳ね上がるのだ。そもそも魔力水晶を作るには今のお主の半分の魔力だ。それでは精々発光と着火の単一工程の魔法2種を詰め込むのが精々だろう」
 それを聞いたイツキは早速作ってみようかと手に魔力を集めて居たのだが、それが驚きで霧散してしまっていた。

「はぁ!?俺の魔力の半分って、魔法特化のランクA冒険者程にまでなるんだぞ!?」
「また魔力を回復してからまた追加すればいいと思うだろうが、魔法水晶の作成後に新たに魔法を加える為にはまずその魔法水晶の倍の魔力を注いでから追加魔法分の魔力を消費する必要がある」
 そう言うと、イツキは手元にある魔法水晶を見る。
「どんだけ馬鹿げた魔力が要るんだよこれ1つ作るの……」

「その魔力水晶には『音声送受信』『映像送受信』『転移魔法』を組み込んである。転移魔法には特定の場所を指定した物であれば比較的必要魔力量は少なくなるが、それには使用の度に地点を指定するものであるから作成に必要な魔力量は軽くお主の百倍以上はいるだろうな」
「は、はぁ!?百っておま……規格外にも程があるだろ……」
 そして驚き疲れたのかイツキは深くため息をついて、渡した魔力水晶を闇魔法で収納した。



「では戻ろうと思うのだが、イツキよ自分が何故あんなに慌てたのか何か言い訳は考えておるな?」
「あ、やっべ忘れてた……」
「まさか名前だけであれ程までに慌てるとは思わなんだわ。お主も隠してたんならもう少し上手くやりなさい」
「そりゃ俺はこれまでこの世界に来た時からたったの一度も口にしたことすら無いんだから知られる筈がなかったんだよ!」
「だからこそここに誘うのに名前を選んだのだが」
「うっわ、なんか嵌められたみたいでムカつくな」
 顰め面をするイツキを見て少しだけ笑い、我は戻る為の魔法陣を用意する。



「では戻るぞ」
「りょーかい」
 そして我とイツキは余計な騒ぎを起こさないために店近くの路地に跳んだ。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処理中です...