農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト

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第三章 農民が動かす物語

タームとユン

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「それじゃあまた来てね、ソフィちゃん」
「はい!レミィさん」
 あれから少しの間話していたソフィと王妃様の2人はかなり仲良くなったみたいだった。
 僕はその間ただひたすら話しているのを聞いていたけど、だいぶん時間が過ぎていたためそろそろ帰ることにしたのだ。
「ロイ君にコン様ともまたお話ししたいわ」
「また報告を聞きに来ますので、またその時に」
 一瞬よければクルク村に遊びに来てもと言いそうになったけど、そうなったらきっとメルクさんも多少の無理をしても遊びに来そうなのでやめておいた。
「我に様など付けなくて良いのだぞ?」
 今は僕の頭の上に乗っているコンが言う。
 これが地味に重くて首が辛いけど、この後転移する際には降りるからいいかと放置している。
「そんな失礼な事なんて絶対出来ません!」
 王妃様はそれに手と首を左右に振ってとんでもないと言う。
「ふむ、まあよいか」
 コンは少しばかり残念そうにそう呟く。

「ではそろそろ帰るぞ、ロイ、ソフィよ」
「うん、お願いコン」
「また来てくださいね」
「その時は私もまた来ます!」
 コンが僕の頭から降りて魔法陣を描く。
 本当は魔法陣を描く必要は無いらしいけど、急に目の前から消えたら驚くだろうという理由でコンが毎回描いている。

「ああそうだ、前メルクに我と直接話せる魔水晶を渡しているので何かあればメルクに使い方を聞いて連絡してくるといい」

「そんなものを渡していたんですか!……後でちょっと問いつめないと」
「ほ、程々にしてあげてください……」



「ただいま~」
「おかえりお兄ちゃん」
「ワン!」
「おかえりなさい」
 ソフィと別れて家に帰ると服に白い毛が付いているミリィとその持ち主だろうユン、お母さんが家に居た。
「お父さんは作業場?」
「そうよ。服、洗濯するから着替えたら何時ものとこに入れといて」
「わかった」

 何時もお城に居た時間はゆっくりと過ごしている時間だったけど、今の時間からは家畜小屋の掃除をしてタームの寝床になる藁を替えたり餌の準備などをする必要があるのだ。
 なので僕は自分の部屋へ行って着替えてから作業着に着替え、裏口近くに置いてある籠に服を入れてから家畜小屋へと向かう。



 作業を始めてから2時間と少し、小屋の掃除と餌の準備をした後少し困ったことになった。

「ねー、そろそろ小屋に戻ろー」

 小屋の隣にある放牧のための柵の中、なかなか小屋に戻らないタームを前に必死に呼び掛けるがガンとして動かない。
「そろそろお腹空いたでしょ?餌の準備も出来てるよ」
「モー」
 ようやく鳴いて返事はしたものの、一切動く気配すらない。
「全く、仕方が無いなぁ」
 僕はそう呟いて最終手段を取ることにした。

「ユンー!」
 家に居るユンを大声で呼ぶ。

「ワン!」
 それから少ししてユンが走ってきた。

「ユン、あれお願い」
「ワフン!」
 その最終手段のために呼んだユンが僕の前でクルクルとまわる。
「わかったわかった、この後遊んであげるから」
「ワフ」
 そう言うとユンは満足そうに笑い、そしてザッと音をたててその場で踏ん張る姿勢をとる。



「ワォォォオオオオオ!!」



 そしてユンが吠えた。

 流石に力一杯吠えたら他の家に迷惑なため声量は抑えられているけど、それでもなかなかの迫力のある吠え声だ。

「モー」
 すると先程まで全く動く気配すらなかったタームがスタスタと小屋へと歩き始め、中に入った所で門を閉める。

「ありがとうユン」
「ワン!」
 そう言ってユンを撫で回していると、ずっと隣にいたコンが半ば呆れたように言った。



「まさかユンの『王令』をこのような事に使うとはな」
「だって、便利なんだもん」
「ワン!」
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