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第三章 農民が動かす物語
コンの不正、告白
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「ロイよ、眠くはないのか?」
「お昼頃に寝たからかな、あんまり眠くないかな」
「そうか」
なんだかコンの様子が少しだけおかしかった。
どこがどうおかしいのかはわからないけど、尻尾をゆったりと音を立てずに上下させて壁から離したりくっつけたりを繰り返していた。
「ロイよ、本当にすまぬことをした」
「うん?」
コンからの唐突な謝罪に首を傾げる。
「今朝の一件だ。あやつらが来たのは我がここにいるからだろう」
「えっと、たぶんそうだろうけど、なんでコンが謝るの?」
確かにあれはコンが居たから起きたことではあるけど、コンが悪くはないと思う。
だってコンが僕達に迷惑をかけたくてかけたんじゃないんだから。
「そうであろうな、ロイからしてみればそう思えるだろう」
まるで本当はそうではないかのようなことを言う。
コンが望んでしたことなのかと疑うべきなのだろうかと考えてみるものの、やっぱりコンがそんな事をするとは到底思えなかった。
コンはそう言って少しばかり黙り込み、少しばかり俯きがちに呟く。
「本当は、我にロイの従魔となる資格などこれっぽっちもなかったのだ」
「……え?」
一体なんの話だろう?
コンが僕の従魔になる資格がないだなんて、本当になんの冗談だろう?
僕がコンの主である資格ならわかるけど、コンに資格が無いなんてありえない。
「我は手を付けてはならぬ所に手を付け、主の従魔となったのだ。これは決して赦されて良いはずがないのだ」
だがそれが嘘ではないと、心底辛そうに、苦しそうに言葉を続ける。
「従魔召喚の仕組みだが、実はあの神官が使っていた魔法陣単体ではなんの意味を持たないことは知っておるか?」
「そうなの?」
「うむ、従魔召喚の魔法陣の本体はあんな小規模ではない。本来の従魔召喚の魔法陣はあれの10倍程あるのだが、そんなものどこにでも作れるはずがない上、召喚には莫大な魔力を消費するのでまず余程の魔力量……それこそエルフの王族辺りでもなければ使用できないのだ」
なんだか話がよくわからない。
従魔召喚に関する話もあまり要領を得ないけど、それよりもなんで今そんな話をしているのか理解出来無いでいた。
「だがそれを可能にしておるのはとある盟約があるおかげなのだ。今現在従魔召喚および従魔契約の魔法陣本体は東国の『巫女』と呼ばれる者が管理しておってな、巫女は神と話が出来る特別な者なのだ」
「巫女って確か妖国の一番偉い人で、その女性を中心に動いているんだっけ?」
「うむ、そのとおりだ。従魔契約は巫女が神より特別に必要な魔力を借り入れる事により使用可能となっておるのだ。そして本体の魔法陣には実に様々な記号が使われておるのだが」
コンはそう呟くと、空中に魔力で何かよくわからない記号を1つ浮かべた。
「この記号はこれ1つで神との盟約により『我、縁の神ヘンリエッタ・ファルアンス・デゼルの仲介の元契約を行う』という意味を持っておると決められおる」
「へぇぇ」
「今は完全に理解出来んでも良いが、覚えておいて損はないぞ?何かしらの契約を結ぶ際、これを契約書に書き込むだけで破った際神より罰則が与えられるのでな」
「え!そんな事、僕に教えても良かったの?」
「ダメであれば話はせぬ」
そう言って微笑んだコンであったが、すぐに真剣な表情に変わる。
「そしてな、あの時の神官が使った魔法陣には簡潔に言うと『従魔召喚の魔法陣に書かれている事を、この場で行います。必要な魔力も下さい』ということが書かれておってな、本体から必要な魔力と魔法陣に書かれた意味を受け取る事で従魔召喚の儀を可能にしておるのだ」
「その、コンを疑うわけじゃないんだけど、それって本当なの?」
「うむ。だがこれはあまり広く知られるとまずいことも多いのでな、決して他言はしてはならぬぞ?」
「言う気はないけど、もし言っても誰も信じてくれないんじゃないかなぁ?」
コンが話すのであればともかく、僕みたいな一農民が話しても信じてもらえないのは確実だろう。
下手をすれば神へ対する不敬罪として捕らえられる可能性もなくはなかった。
でも、なんでそんな事を話すのだろう?
今そんな事を話す理由がわからなくてコンを見つめていると、コンはゆっくりと噛みしめるように話を続ける。
「我はな、この神との盟約に使われる記号の1つに『但し、混沌竜が望む場合には全ての条件を無視して従魔契約を結ぶ事が出来る』という意味を無理矢理挟み込んだのだ」
「これが、我がロイの従魔でいる資格が無い理由だ」
それは、あまりにも衝撃的な事実であった。
コンが、いや、あの伝説の混沌竜がこんなただの農民の僕と契約したいがためだけに、人間と神様の盟約に割り込みをかけたなんてことがとてもじゃないけど信じられなくて。
「本当はな、我が割り込みを掛けなければお主が望んでおった虹亀か、ユン、もしくはあの森の動物達がロイの従魔になったはずなのだ」
コンの声はこれまでになく真剣で、僕が聞いた中で初めて暗い感情を含む声であった。
「それを我が主であるロイに興味があったからと主の幸せを考えることなく割り込んで、生活を大きく乱し、挙句の果てには今朝のあの一件だ。全て、この我がロイの従魔となったことが原因である事になんの間違いもないだろう?」
「そんなことは無いよ」と言おうとしたけれど、コンはそれを遮って言葉を続ける。
「我の身勝手でこの家の皆を大きく傷付けたのだ、それもこれだけで終わるとは思えぬ。きっと我がここに居るだけで厄介事が多く訪れるであろうな」
コンの諦めと、悔しさと、悲しみが混じった声が静かな部屋に小さく響く。
「我はもうここを出て行こうと思う。ロイよ、契約を解除しよう」
ーーーーーーーーーー
従魔召喚魔法陣は固定電話の「親機(巫女が管理してる魔法陣)」と「子機(神官が使う魔法陣)」と想像していただければわかりやすいと思います。(現在固定電話は減っているらしいですが、これで伝わらない人は居るんでしょうか?)
「お昼頃に寝たからかな、あんまり眠くないかな」
「そうか」
なんだかコンの様子が少しだけおかしかった。
どこがどうおかしいのかはわからないけど、尻尾をゆったりと音を立てずに上下させて壁から離したりくっつけたりを繰り返していた。
「ロイよ、本当にすまぬことをした」
「うん?」
コンからの唐突な謝罪に首を傾げる。
「今朝の一件だ。あやつらが来たのは我がここにいるからだろう」
「えっと、たぶんそうだろうけど、なんでコンが謝るの?」
確かにあれはコンが居たから起きたことではあるけど、コンが悪くはないと思う。
だってコンが僕達に迷惑をかけたくてかけたんじゃないんだから。
「そうであろうな、ロイからしてみればそう思えるだろう」
まるで本当はそうではないかのようなことを言う。
コンが望んでしたことなのかと疑うべきなのだろうかと考えてみるものの、やっぱりコンがそんな事をするとは到底思えなかった。
コンはそう言って少しばかり黙り込み、少しばかり俯きがちに呟く。
「本当は、我にロイの従魔となる資格などこれっぽっちもなかったのだ」
「……え?」
一体なんの話だろう?
コンが僕の従魔になる資格がないだなんて、本当になんの冗談だろう?
僕がコンの主である資格ならわかるけど、コンに資格が無いなんてありえない。
「我は手を付けてはならぬ所に手を付け、主の従魔となったのだ。これは決して赦されて良いはずがないのだ」
だがそれが嘘ではないと、心底辛そうに、苦しそうに言葉を続ける。
「従魔召喚の仕組みだが、実はあの神官が使っていた魔法陣単体ではなんの意味を持たないことは知っておるか?」
「そうなの?」
「うむ、従魔召喚の魔法陣の本体はあんな小規模ではない。本来の従魔召喚の魔法陣はあれの10倍程あるのだが、そんなものどこにでも作れるはずがない上、召喚には莫大な魔力を消費するのでまず余程の魔力量……それこそエルフの王族辺りでもなければ使用できないのだ」
なんだか話がよくわからない。
従魔召喚に関する話もあまり要領を得ないけど、それよりもなんで今そんな話をしているのか理解出来無いでいた。
「だがそれを可能にしておるのはとある盟約があるおかげなのだ。今現在従魔召喚および従魔契約の魔法陣本体は東国の『巫女』と呼ばれる者が管理しておってな、巫女は神と話が出来る特別な者なのだ」
「巫女って確か妖国の一番偉い人で、その女性を中心に動いているんだっけ?」
「うむ、そのとおりだ。従魔契約は巫女が神より特別に必要な魔力を借り入れる事により使用可能となっておるのだ。そして本体の魔法陣には実に様々な記号が使われておるのだが」
コンはそう呟くと、空中に魔力で何かよくわからない記号を1つ浮かべた。
「この記号はこれ1つで神との盟約により『我、縁の神ヘンリエッタ・ファルアンス・デゼルの仲介の元契約を行う』という意味を持っておると決められおる」
「へぇぇ」
「今は完全に理解出来んでも良いが、覚えておいて損はないぞ?何かしらの契約を結ぶ際、これを契約書に書き込むだけで破った際神より罰則が与えられるのでな」
「え!そんな事、僕に教えても良かったの?」
「ダメであれば話はせぬ」
そう言って微笑んだコンであったが、すぐに真剣な表情に変わる。
「そしてな、あの時の神官が使った魔法陣には簡潔に言うと『従魔召喚の魔法陣に書かれている事を、この場で行います。必要な魔力も下さい』ということが書かれておってな、本体から必要な魔力と魔法陣に書かれた意味を受け取る事で従魔召喚の儀を可能にしておるのだ」
「その、コンを疑うわけじゃないんだけど、それって本当なの?」
「うむ。だがこれはあまり広く知られるとまずいことも多いのでな、決して他言はしてはならぬぞ?」
「言う気はないけど、もし言っても誰も信じてくれないんじゃないかなぁ?」
コンが話すのであればともかく、僕みたいな一農民が話しても信じてもらえないのは確実だろう。
下手をすれば神へ対する不敬罪として捕らえられる可能性もなくはなかった。
でも、なんでそんな事を話すのだろう?
今そんな事を話す理由がわからなくてコンを見つめていると、コンはゆっくりと噛みしめるように話を続ける。
「我はな、この神との盟約に使われる記号の1つに『但し、混沌竜が望む場合には全ての条件を無視して従魔契約を結ぶ事が出来る』という意味を無理矢理挟み込んだのだ」
「これが、我がロイの従魔でいる資格が無い理由だ」
それは、あまりにも衝撃的な事実であった。
コンが、いや、あの伝説の混沌竜がこんなただの農民の僕と契約したいがためだけに、人間と神様の盟約に割り込みをかけたなんてことがとてもじゃないけど信じられなくて。
「本当はな、我が割り込みを掛けなければお主が望んでおった虹亀か、ユン、もしくはあの森の動物達がロイの従魔になったはずなのだ」
コンの声はこれまでになく真剣で、僕が聞いた中で初めて暗い感情を含む声であった。
「それを我が主であるロイに興味があったからと主の幸せを考えることなく割り込んで、生活を大きく乱し、挙句の果てには今朝のあの一件だ。全て、この我がロイの従魔となったことが原因である事になんの間違いもないだろう?」
「そんなことは無いよ」と言おうとしたけれど、コンはそれを遮って言葉を続ける。
「我の身勝手でこの家の皆を大きく傷付けたのだ、それもこれだけで終わるとは思えぬ。きっと我がここに居るだけで厄介事が多く訪れるであろうな」
コンの諦めと、悔しさと、悲しみが混じった声が静かな部屋に小さく響く。
「我はもうここを出て行こうと思う。ロイよ、契約を解除しよう」
ーーーーーーーーーー
従魔召喚魔法陣は固定電話の「親機(巫女が管理してる魔法陣)」と「子機(神官が使う魔法陣)」と想像していただければわかりやすいと思います。(現在固定電話は減っているらしいですが、これで伝わらない人は居るんでしょうか?)
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