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第三章 農民が動かす物語
ロイの気持ち
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コンが僕との従魔契約を取り消したいと言いだした。
それ自体は考えたことは無くはなかったのだ、何故なら僕はどこにでもいるようなただの農民で、コンはあの伝説の混沌竜なのだから。
コンが僕に呆れ果てて出て行くのなら、それは理解できる事だった。
でも、まさかコンが僕に迷惑を掛けたからと罪悪感からそんな事を言い出すとは全く持って考えたことがなかった。
正直なところ、今日の事をコンのせいだなんて考えた事は一度もなかった。
今コンが我のせいだと言ったのを聞いて、ようやくああそうかもと納得した感じだった。
だからといってコンを責めるつもりは微塵もないし、それよりも彼等を追い返してくれた事に感謝をするばかりで。
なぜだろう、無性に腹が立ってきた。
なんでコンに対して怒りを覚えるのか理解出来無いけど、今朝知った感情なので今の感情を間違えることは無い。
腹が立って、イライラして、ムシャクシャして、どうしようもない。
パチンッ!
部屋に小さな音が響く。
「痛い!」
そして僕は堪らず小さく声を上げる。
コンはとても驚いたようで、目の前の肉が奪われた狼のように唖然としていた。
「何をしておるのだ?」
「えっとね、なんだか腹が立ったから」
僕は右手をプラプラと振りながら答える。
「メイさんに教えてもらった『デコピン』って言うのをやってみたんだ」
それはコンが杖のお店に来た時の話しだ。
店内で中でメイさんが「後でデコピンしてやらなきゃ」と言っていたのを聞いて、僕が「デコピンってなに?」と聞いたら教えてくれたのだ。
これはちょっとしたお仕置きなんかに使うもので、あんまり痛くはないけど結構効果的なんだと。
「デコピンとな?」
「うん、なんだかすっごく腹が立っちゃって」
でも結局コンの鱗が硬過ぎて僕の指が痛かっただけだけど、でもこの驚きように少しだけスッキリしていた。
「だってコンが迷惑かけるからなんて、あんまりにもバカみたいなこと言うんだもん」
なんで怒ったのか自分でも理解していないけど、とにかく思った事を全部口に出してみる。
そうしたら理由がわかるかもしれないから。
「コンが僕に迷惑をかけたなんて、全く考えた事なかったのに」
「だがしかし事実であろう?」
「確かにそうだけど、だからってなんで出て行こうとするの?」
「それはこれ以上ロイに迷惑を」
「なんで迷惑をかけることを嫌がるの?」
「なぜと問われても、迷惑をかけることは我の本意ではなく、誰からしてみても嫌な」
「僕は嫌じゃないよ、だってそもそも迷惑だなんて考えてないから」
「だとしても」
「それだったら僕もコンに朝の水やりとか頼んだりしてるし、今朝の彼らの話で困ってたら助けてくれたんだから、僕もコンに迷惑をかけてるよ」
「それは我がロイのお願いを受けたのであり、今朝の事は元々我が原因であるのでな」
「でも、助けてくれたのは嘘じゃないよね?」
「それはそうだが」
「それなら今朝の事を起こした分は助けてくれたから、迷惑した分は無くなるよね?」
「いやだが、しかし」
お互いに考えてる事をそのまま包み隠さずに話し続ける。
コンは「迷惑をかけた」と、僕は「迷惑じゃなかった」と。
「ねぇ、コンは僕の事をどう思ってるの?」
「どう、とは」
「例えば大切な友達とか、嫌いな人だとか、人間関係って言うのかな?そういうの」
「それは勿論我が従魔として支えるべき主人であると考えておるが」
何を当たり前な事をと言わんばかりのコンに、僕はちょっとだけ落胆して溜息をつく。
「そっかぁ、僕はコンの事を『家族』だって思ってたんだけどなぁ」
「家族、だと?」
なぜそうなるのかと首を傾げるコンに、僕は落胆したままの声で呟く。
「そう家族。だっておんなじ家で寝て、おんなじ食事を食べて、おんなじ仕事をして、おんなじ時を過ごして、これって血の繋がりとかはないけど、やっぱりおんなじ家族であるってことなんじゃないかなあって思ってたの」
だからこそ、コンが迷惑がどうのこうのと話すのがどうしても嫌で。
「おんなじ家族なんだから、そんな迷惑なんて言われるのが腹立つの」
それが、僕の怒った理由。
ここまで話してようやく理解出来たのは遅かったと思うべきか、わかってよかったと思うべきか。
「家族……家族、家族か……」
今度はコンが小さく呟く。
その言葉を何度か呟岐ながら、また尻尾を上下に上げ下げを繰り返す
これはたぶん、何か考え事をしている時に出るコンの癖なんだろうか。
「フフ、そうか、家族か」
そう、少しだけ笑ってコンが言う。
「コンは僕がコンの家族なんて嫌かな?」
「嫌なはずがない。我はロイも、ロイの家族も、村の皆もこの我にとても良くしてくれるのだ、嫌になどなるはずがなかろう」
「それじゃあコンも僕の家族!」
「うむ」
コンは大きく頷いて、尻尾を何時もより若干激しく左右に揺らす。
「コン、もう迷惑をかけるとか言わないでね」
「ふむ、それは命令か?」
「それは、その……お願い、かな?」
「ふむ?今回は歯切れが悪くないか?」
「だって、本当に嫌だったんだから。コンが僕に迷惑をかけたとか、もう迷惑をかけたくないから出て行くなんて」
「それは、済まなかった」
「これからもずっと一緒に居てくれる?コンが僕と一緒に居るのが嫌になるまで」
「ロイが我を嫌うまで共に過ごすと、縁の神ヘンリエッタに誓おう」
「あ、コンだけズルい。僕もコンが嫌になるまでずっと一緒に居るってヘンリエッタ様に誓うよ」
綺麗な月の光が降り注ぐ窓辺で、僕とコンは誓う。
農民と混沌竜、その誰も考えた事のない組み合わせの2人。
まだまだ出会って間もないけれど、これからもずっと先まで関係が続けばいいな。
ーーーーーーーーーー
ようやく3章完結です!
な、長かった……
だけどそれなりに満足行く物にはなったと思います。
私自身書いていて最終回かそれに近く感じましたけど、、実はまだ書きたいものの1、2割しか進んでないんですよね。
ですのでこれからも読んで下さると嬉しいです!
あと「目の前の肉が奪われた狼のように」は「鳩が豆鉄砲をくらったよう」を異世界風にアレンジしたものです。
それ自体は考えたことは無くはなかったのだ、何故なら僕はどこにでもいるようなただの農民で、コンはあの伝説の混沌竜なのだから。
コンが僕に呆れ果てて出て行くのなら、それは理解できる事だった。
でも、まさかコンが僕に迷惑を掛けたからと罪悪感からそんな事を言い出すとは全く持って考えたことがなかった。
正直なところ、今日の事をコンのせいだなんて考えた事は一度もなかった。
今コンが我のせいだと言ったのを聞いて、ようやくああそうかもと納得した感じだった。
だからといってコンを責めるつもりは微塵もないし、それよりも彼等を追い返してくれた事に感謝をするばかりで。
なぜだろう、無性に腹が立ってきた。
なんでコンに対して怒りを覚えるのか理解出来無いけど、今朝知った感情なので今の感情を間違えることは無い。
腹が立って、イライラして、ムシャクシャして、どうしようもない。
パチンッ!
部屋に小さな音が響く。
「痛い!」
そして僕は堪らず小さく声を上げる。
コンはとても驚いたようで、目の前の肉が奪われた狼のように唖然としていた。
「何をしておるのだ?」
「えっとね、なんだか腹が立ったから」
僕は右手をプラプラと振りながら答える。
「メイさんに教えてもらった『デコピン』って言うのをやってみたんだ」
それはコンが杖のお店に来た時の話しだ。
店内で中でメイさんが「後でデコピンしてやらなきゃ」と言っていたのを聞いて、僕が「デコピンってなに?」と聞いたら教えてくれたのだ。
これはちょっとしたお仕置きなんかに使うもので、あんまり痛くはないけど結構効果的なんだと。
「デコピンとな?」
「うん、なんだかすっごく腹が立っちゃって」
でも結局コンの鱗が硬過ぎて僕の指が痛かっただけだけど、でもこの驚きように少しだけスッキリしていた。
「だってコンが迷惑かけるからなんて、あんまりにもバカみたいなこと言うんだもん」
なんで怒ったのか自分でも理解していないけど、とにかく思った事を全部口に出してみる。
そうしたら理由がわかるかもしれないから。
「コンが僕に迷惑をかけたなんて、全く考えた事なかったのに」
「だがしかし事実であろう?」
「確かにそうだけど、だからってなんで出て行こうとするの?」
「それはこれ以上ロイに迷惑を」
「なんで迷惑をかけることを嫌がるの?」
「なぜと問われても、迷惑をかけることは我の本意ではなく、誰からしてみても嫌な」
「僕は嫌じゃないよ、だってそもそも迷惑だなんて考えてないから」
「だとしても」
「それだったら僕もコンに朝の水やりとか頼んだりしてるし、今朝の彼らの話で困ってたら助けてくれたんだから、僕もコンに迷惑をかけてるよ」
「それは我がロイのお願いを受けたのであり、今朝の事は元々我が原因であるのでな」
「でも、助けてくれたのは嘘じゃないよね?」
「それはそうだが」
「それなら今朝の事を起こした分は助けてくれたから、迷惑した分は無くなるよね?」
「いやだが、しかし」
お互いに考えてる事をそのまま包み隠さずに話し続ける。
コンは「迷惑をかけた」と、僕は「迷惑じゃなかった」と。
「ねぇ、コンは僕の事をどう思ってるの?」
「どう、とは」
「例えば大切な友達とか、嫌いな人だとか、人間関係って言うのかな?そういうの」
「それは勿論我が従魔として支えるべき主人であると考えておるが」
何を当たり前な事をと言わんばかりのコンに、僕はちょっとだけ落胆して溜息をつく。
「そっかぁ、僕はコンの事を『家族』だって思ってたんだけどなぁ」
「家族、だと?」
なぜそうなるのかと首を傾げるコンに、僕は落胆したままの声で呟く。
「そう家族。だっておんなじ家で寝て、おんなじ食事を食べて、おんなじ仕事をして、おんなじ時を過ごして、これって血の繋がりとかはないけど、やっぱりおんなじ家族であるってことなんじゃないかなあって思ってたの」
だからこそ、コンが迷惑がどうのこうのと話すのがどうしても嫌で。
「おんなじ家族なんだから、そんな迷惑なんて言われるのが腹立つの」
それが、僕の怒った理由。
ここまで話してようやく理解出来たのは遅かったと思うべきか、わかってよかったと思うべきか。
「家族……家族、家族か……」
今度はコンが小さく呟く。
その言葉を何度か呟岐ながら、また尻尾を上下に上げ下げを繰り返す
これはたぶん、何か考え事をしている時に出るコンの癖なんだろうか。
「フフ、そうか、家族か」
そう、少しだけ笑ってコンが言う。
「コンは僕がコンの家族なんて嫌かな?」
「嫌なはずがない。我はロイも、ロイの家族も、村の皆もこの我にとても良くしてくれるのだ、嫌になどなるはずがなかろう」
「それじゃあコンも僕の家族!」
「うむ」
コンは大きく頷いて、尻尾を何時もより若干激しく左右に揺らす。
「コン、もう迷惑をかけるとか言わないでね」
「ふむ、それは命令か?」
「それは、その……お願い、かな?」
「ふむ?今回は歯切れが悪くないか?」
「だって、本当に嫌だったんだから。コンが僕に迷惑をかけたとか、もう迷惑をかけたくないから出て行くなんて」
「それは、済まなかった」
「これからもずっと一緒に居てくれる?コンが僕と一緒に居るのが嫌になるまで」
「ロイが我を嫌うまで共に過ごすと、縁の神ヘンリエッタに誓おう」
「あ、コンだけズルい。僕もコンが嫌になるまでずっと一緒に居るってヘンリエッタ様に誓うよ」
綺麗な月の光が降り注ぐ窓辺で、僕とコンは誓う。
農民と混沌竜、その誰も考えた事のない組み合わせの2人。
まだまだ出会って間もないけれど、これからもずっと先まで関係が続けばいいな。
ーーーーーーーーーー
ようやく3章完結です!
な、長かった……
だけどそれなりに満足行く物にはなったと思います。
私自身書いていて最終回かそれに近く感じましたけど、、実はまだ書きたいものの1、2割しか進んでないんですよね。
ですのでこれからも読んで下さると嬉しいです!
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