いずれ、生（う）まれ出（い）ずるもの

プロローグ 語り手は『私』

　私は、これから生うまれ出いずるものだ。人ひとの胸むねの奥おく、情熱じょうねつと共ともに生せいを受うけるもの。

　こう言いうと大層たいそうな表現ひょうげんだが、なに、私たちは人ひともそ・れ・以外も愛あいと共ともに生うまれているのである。だから私は、とりたてて特別な存在ではない。なので気きにせず、まずは話はなしを聞きいて欲ほしい。

　私の立たち位置いちは語かたり手てであって、積極的せっきょくてきには活躍かつやくしない。何なにしろ、まだ世よの中なかには存在していないので。母親の胎内たいないにいる赤あかちゃんを想像してもらいたい。そんなポジションだ。

　私の生うみの親おやとなるのは二人ふたりの少女だ。どちらも私の親ということになる。まだ高校生で、でも最近は十八才で社会から成人せいじん扱あつかいされるらしいから、その年齢になる日も近ちかい。そもそも年齢など大たいした問題もんだいではないのだ。私を創造そうぞうするのは人ひとの情熱じょうねつなのだから。

　私の一人ひとり語がたりばかりしていても始はじまらない。そろそろ私の、未来の両親となる二人に登場してもらおう。