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あおみなみ

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目立ちたくない

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 写真嫌いの人は、当然のように目立つことも嫌いだ……と思う。
 かくいう私も、「目立ちたくない」一心でいるせいか、目立たないためにはどうすべきかという方面に、むしろ自意識過剰になっていた。
 しかし残念なことに、教師受けの大変いい作文や詩を書いてしまうという一面もあった。

 それでいて、当時14歳、中2。「学校教師みたいな連中に評価される文章を書くなんて、一生の不覚だわ」などとのたまうような、重い厨二病に侵されていたから始末が悪い。

 5月の白い花について書いた詩が国語教師の目にとまり、コンクールに出品されて入選。地元の老舗お菓子屋さんが発行している詩集に掲載された。
 副賞として、小さなデジタル時計がキャップについたボールペンをもらったり、市が主催するクリスマスパーティーに招かれたりという恩恵もあったけれど、そのパーティーというのがまた始末が悪かった。

 どういうツテが、5歳下の弟とその友人数人も、パーティーの招待状を手に入れたのだ。「抽選で当たった」ということだけれど、そもそもそんなパーティー、小学生が出たいもんかね。
 小学生だけでお出かけというわけにいかないので、大人の引率が必要になるが、一応中学生の私は、完全にていのいいジャリ引率係を親御さんに押し付けられた。

 といっても、思ったよりも聞き分けのいい子達だったので、それ自体はそこまで大変でもなかった。
 問題は、パーティーの中で、コンクール入選作の詩を劇団員が朗読するという、公開処刑のようなコーナーがあったことだ。

 ………………。
 
 まあ、どうせ誰も真面目に聞いちゃいないわけで、あまり語りたくないそのときのことは「なかったこと」にできる。

 私としては、そこで打ち止めにしておきたかったのだが、3年生に進級して2、3カ月経った頃、「市の広報に顔写真付きで載せたい」という打診があった。

「写真付きなら辞退します(いや、詩自体もうでって気持ちだけど)」

 今だったらたぶん言えるであろうこのセリフが、当時の私には言えなかった。
 多分言ったところで、「え、どうして嫌なの?」「今までそんなこと言った人はいないよ」とか、なぜか不思議そうに言われることは目に見えていたし、自分には断る選択肢はないとか、その一言は「言ってはいけない」とか、強く思い込んでいたのだ。

 かくして、私は貴重な昼休み時間、学校の観察池の近くに突っ立って、微妙にひきつった笑顔を何とか浮かべた。

 翌々月に広報に載った写真は、半目が下りているようなぼやっとした表情で、しかも北国の子供特有の、赤らんだほっぺたが気になった(そこそこ気温の高い季節なのに)。
 色白ならまだいいが、浅黒い肌に差した赤みは、何ともいえない「垢ぬけなさ」がある。

 平生から自分の身内の、特に外見を褒めるボキャブラリーを持ち合わせていない家族たちには、「田舎者カッペ」「ブス」「目開けろ」とさんざんいじられ、へらへら流そうとしても自然と涙が出てきた。

 学校では自分から「なんかガマガエルみたいな顔だよね」などと言って開き直っても、「いや、さすがにそこまでじゃないけど」とマジレスされ、余計にダメージを受けた。
 この捨て身の自虐、せめて拾ってほしかったよ。

 1学年5クラスあって、真ん中に当たる3組の廊下側掲示板に広報の該当ページが貼られた。
 すると、写真の目や口部分に画鋲を打ち込むというえげつないイタズラをするやつがすぐ現れた。
 そして「すわ犯人捜し!」の事態に発展しかけたが、「いや、はがしてくれればいいですから」と、私はむしろそれを利用して、はがしてもらうことに成功?した。

 今にして思えば結構ないじめ事案だったのだが、当時の私は「これ以上目立ちたくない」という気持ちの方が大きく、スルーしてしまった。
 ただの面白半分だったのか、本当に私のことが嫌いな奴がやらかしたのか、今となってはもうどちらでもいいと思える程度にはなっている。

 いずれにしても、いつまでもそんな話題で盛り上がるほど皆さん暇ではないし、私にそこまでのニュースバリューはない。

 例えるなら、ひざを大きくすりむいたとしよう。
 しばらくは痛むし、傷跡もしばらくは消えないが、気づくと痛みが消え、徐々に傷跡も薄くなっていく。
  そんな感じで「なかったこと」になるのを、私はじっと耐えるしかなかった。

 ま、で終われば、ね。
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