しるびあのため息

あおみなみ

文字の大きさ
9 / 13

40代愚痴ブロガーしるびあ

しおりを挟む

 私には、家族に知られていない趣味がある。

 それは、古今東西の殺人事件について書かれたページを読むことだ。
 いい年して厨二っぽくて恥ずかしいし、いろいろと誤解を招きそうなので、ちょっと言えない。
 ひとえにライターさんの文章が読みやすくて面白いから、そういう点が勉強になるというのもあるんだけど。

 単なる興味本位で、自分もマネしたいなどと思っているわけではない。人間というのはここまでむごいことができるのだと、感心に近い気持ちになることすらあるが、そういった殺人犯たちを尊敬しているわけではない。

 そんな中、アメリカの片田舎で60年代に起きた少女リンチ事件を知り、新しいブログを開設するとき、その被害者の名前をHNにした。
 不謹慎かもしれないが、一番心情にぴったりだったのだ。

 ただ、響きはいいのだが、カタカナの字面が何となくピンと来なかったので、ひらがなにした。

 …一気に冗談っぽくはなったが、インパクトは大きくなったかもしれない。

▼▼

 暇を見て裏紙にネタを書き出し、それをもとに文章(下書き)をPCで書いた。
 ざっと推敲したり、改行を工夫したりと手を入れ、ブログとしてアップロードした。
 写真や画像は自前のものではなく、参考画像としてフリー素材を使う。

 裏紙は「お焚き上げ」のつもりでシンクで燃やしたり、ビリビリに破いて生ゴミに混ぜたりした。
 PCはパスワード設定できるが、紙はそうはいかないので、徹底的な証拠隠滅が必要だ。

 まどろっこしく見えるが、ちょっとした儀式として楽しんでいるし、PCに直接書こうとすると、どうもうまくいかない。

▼▼

 まずはこの実話ネタネタから、かな。

 一度だけだが、「おかずが気に入らない」という理由で、既に飲酒したにもかかわらず、車に乗って終夜営業のスーパーに行き、豚のロース肉を買ってきて、一人で焼肉を始めたことがある。

 あのときはさすがに、家に帰ってくるまで気が気ではなかった。

 いいネタだと思ったが、ワクチンのときのこともあり、「犯罪自白」「通報」などと突っ込まれる可能性もある。泣く泣くフェイクを入れた。まあそのまま書くのはリスキーだし、仕方がない。

 行ったのは徒歩5分のコンビニ、買ってきたのは焼き魚やコロッケなど、「自分が出した惣菜ものの既製品版」という当てこすりに切り替えた。
 ついでに菜々美にも、「スパゲティがいい」とわがままを言われ、冷凍ボロネーゼを出すという形で「友情出演」してもらった。

 案の定、「メシマズ家族カワイソーw」という揶揄コメントもあったが、同情や共感が集まった。
 モラハラというほどではないが、身勝手な家族からの料理へのダメ出しには、多くの妻や母親が涙しているのだ。

 昔読んだOL漫画の料理学校のエピソードに登場した生徒の話を思い出す。
 料理を習いにきて、「家族にご飯を作る上で一番大事なことは何だと思う?」と問われた女性が、「愛情?」などと答えると、先生はシビアにこう言い放った。

「愛情の冷め切った夫や生意気でワガママな子供たちへの腹立ちを隠して、平常心で淡々と、毎日毎日作ること」だと。

 夫は肉さえ出しておけば満足という人だ。
 豚→鶏→牛の順で食いつきがいいので、ポークジンジャーや豚カツ、鶏カラなどを出しておけばご満悦である。
 菜々美はスパゲティやグラタンなどに目がない。
 だからボロネーゼ、カルボナーラ、それに(あ、牛乳さっさと使い切らないと期限が…という理由で)冷蔵庫のありもので作ったグラタン、残りご飯処理のためのドリアなどを時々作る。

 一応いい反応を見せて食べてはくれるが、ツイッター愚痴垢の件以降、きっと何を出しても「まずっ(嘔吐マーク)」などと思っているんだろうな…と、猜疑心でいっぱいのまま作る。

 もともと料理は嫌いではないが、別に大好きでもなかった。
 しかし最近は、「嫌い寄りの普通」くらいの気持ちになりつつある。

 菜々美のツイッターは、その後も時々覗いていた。
 時々ポジティブなことが含まれていても、「なんで愚痴垢でわざわざ?私が見たことに感づいた?」としか思えないが、鍵をかけていないところを見ると、とりあえず読まれるのは構わないのだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

処理中です...