短編集「熱血!脱力?ジュニアハイ日記」

あおみなみ

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チョココロネ 恋する中二女子はムテキです

愛しのキョー先輩

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本作は、アニメーション『魔法少女まどか☆マギカ』の主人公・鹿目まどかの誕生日である10月3日に、ぼーっと何も考えずに書いたお話です。
生温かく見守っていただけますでしょうか。
なお、二次創作ではございません。

***

 中学生のアイナとユリカは、幼稚園年少組からの仲よしで、家もごく近所だった。
 長い間一緒に行動する中で、価値観や考え方を共有してきた、そろって「ごくフツーの女子中学生」である。
 それでも「自我」というものは芽生えるもので、徐々に小さなずれを感じるようになるのもよくあることだが、それすら楽しめるかどうかで、いつの間にか「過去の幼馴染」になっているか、友情が続くかが決まるが、2人の場合はどちらだろう。

 アイナは同じ中学校の1年上の男子生徒キョウスケを気にかけている様子だが、ユリカには、まだそんな存在はいない。
 交換ノートや雑談の中で、アイナが妄想デートの話を小説仕立てで語ったり、「キョー先輩、部活の最中、水道でびしゃーっと頭から水かぶってたの~。顔を上げたらお日様に照らされてキラキラして、チョーかっこよかった!」と、うっとりした目で話したりするのを、ユリカは時にノリノリで、時には「さよか」という達観した表情で、読んだり聞いたりしていた。

+++

 もちろん、ユリカから話題を振ることもあるが、それを呼び水に「キョー先輩」の話に持っていかれることも多い。
 あまりにもしょっちゅうだと、嫌気がさしてしまいそうだが、自分の少し冷めた性格を、気にするともなしに気にしているユリカは、アイナの無邪気さに憧れもあり、「まーた始まった」と言いつつ、温かく見守るだけだった。

 ある日、2人はともに大好物のチョココロネを行きつけのパン屋さんで買い、近くの公園のあずまやで食べていた。
 ユリカは特に意味も意図もなく、見たばかりのパニック映画について、ざっとアイナに話し始めた。
 アイナはあまりそういう映画を見ないので、ネタバレもあまり気にしない。
 ユリカはそれをいいことに、かなり際どいところまで話した。
 すると、アイナが話の切れ目でこんなことを尋ねた。

「そういうピンチのとき、『今自分と契約したら、この状況を何とかしてやる』ってアクマが出てきたら、ユリちゃんはどうする?」
「えー、急にファンタジーっつうかオカルト展開?そうだなあ…アクマだし、絶対後から悪いこと起こるよね?アイナはどうなの?」
「私は、助かる人の中にキョー先輩がいるなら、絶対契約する!」
「お、おお」
「先輩を助けられて、うまくいけば先輩に感謝されて、好きになってもらって、付き合ったりしちゃえるかもしれないじゃん!」
「…そうだね」

+++

 ユリカが話していたのは、大水害に巻き込まれた街の話だったので、確かに「この状況を何とかする」というのは、同じ状況の人間みんなが助かる可能性も高い。その中に愛しのキョー先輩が含まれているかもしれない。
 そこで唐突に得体のしれないものが現れて、「俺と契約しろ。助けてやるぞ」と言われたとき、人はどう反応するのだろう。
「自分が」とりあえず助かりたいから契約するか、「この状況でふざけんな、すっこんでろ」と余計に腹が立つか、自分以外の誰かのために、喜んで契約するか?

 何となくだが、自分は「すっこんでろ」と追い払い、神に祈りつつ、自力で何とかしようと試みる気がする。
 アイナは「好きになってくれるかも」と打算的なことを言いつつも、少なくとも自分以外の誰かのために契約すると言ってはばからないのだ。

「なんか、恋って無敵なんだね」
「そうだよ!ユリちゃんだって、好きな人ができたらそーなるよ!」

 そう言いつつ、手についたチョコレートをペロッとなめる姿は、大洪水からみんなを救う人間像とはかけ離れている。
 どこまでも自分のことしか考えていない、それでいて憎めない、「まぶしい単細胞」の顔をしていた。

【『チョココロネ 恋する中二女子はムテキです』了】
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