短編集『サイテー彼氏』

純喫茶 点灯夫〈TENTOFU〉

プロローグ

「好きだったはずのところからイヤになる」不思議

嫌いになったというよりも、恋人・ミツエのささいな部分が癇に障り、疎ましく思うようになった「俺」。
きっちり別れないまま疎遠になっていたある日、「結婚します」という知らせが届いた。

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　あと数年で20世紀も終わりという、ある年の1月のこと。
　
　2人の男女が、地方都市の繁華街の片隅にある、しっとり落ち着く雰囲気の喫茶店で待ち合わせをしていました。

　チェーン系のセルフサービスのカフェもそこそこ出店し始めていましたが、ごく普通の純喫茶で人と人が語り合うことが、まだまだしばしばあった時代のお話です。