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第6話 花ざかりの少年少女たち
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その日はまつりと優香の参入もあり、いつもより若々しい笑い声が際立った。
ほかの常連も何かと話しかけてくるし、わずかながらいた新規の参加者も、つられて饒舌になった。
その前年に、あまりにも大きな震災や豪雨の被害を受けた土地柄だけに、年頭に抱く「今年はいい年になりますように」という思いは皆かなり強い。定例のお茶会というだけでなく新春一回目らしい会合になったが、和やかなうちにお開きとなった。
***
まつりと優香が「来月も絶対来ようね!」と相談しながら階段を下りる後ろに咲良がついた。
店の前の歩道に降り立つと、「まつりちゃん、南原さん!」と呼びかけながら、背の高い少年が近づいてきた。待ち合わせをしていたのだろう。
優香の説明によると、「まつりのカレシとその他2名」とのことだ。
咲良にも、真っ先に声をかけてきた少年が“カレシ”だとすぐ分かった。びっくりするような美少年。
うらやましいとか、こんなカレシが欲しいというより、ただ見とれてしまうような独特の雰囲気があった。
「その他2人」も、割と女子に人気のありそうなタイプだ。
「南原、まとめ方雑過ぎだろ!」
と、優香と同じぐらいの身長の目つきの鋭い少年が軽く抗議したが、その様子から、グループ特有の仲のよさがうかがわれた。
「全員、部活仲間なんだけど、ご飯の後にみんなで映画に行くんだ。
そうだ、咲良ちゃんもどう?」
「え…あ…今日はちょっと…」
咲良も行ってみたい気はしたが、さすがに厚かましいかと思って辞退した。
「そっかー、残念。でも、連絡先交換してもらえる?
来月のお茶会も参加させてもらいたいけど、その前に友達になりたい。ダメ?」
「いいんですか?」
とんちんかんな返事をしてまった、と反省する咲良。
学校でも特定の友人と細々と付き合うタイプで、私“なんか”と友達になってくれるのか?という気持ちが先走ってしまった。
優香はそれを全く気にせず、
「これ、私とまつりのケー番とアドレス。電話でもメールでもちょうだい」
と言いながら、いつの間に書いたのか分からないメモ片を渡し、去っていった。
適度な固まりになって、駅方面に歩いていく5人を見送って、咲良は優香とまつりとの会話を思い出す。
(あの人たち、私に一度もタメぐちを強要しなかった!)
今まで「ラフに話してほしい」と言われたものの、結局丁寧語が取れないまま、あまり口を聞かなくなった同級生も山ほどいた。
たとえ1年でも先輩――だからこそ「敬語禁止!」みたいに言う人は、同じ学校にも時々いる。
咲良はそういうフレンドリー風な上級生より、「後輩のくせに生意気」的なことを言う人の方が、まだ付き合いやすいと思っている節があった。
(そのどちらでもない上級生っているんだな…)
あの人たちとなら本当に友達になれそうだなという、ほのかな予感を覚えた。
ほかの常連も何かと話しかけてくるし、わずかながらいた新規の参加者も、つられて饒舌になった。
その前年に、あまりにも大きな震災や豪雨の被害を受けた土地柄だけに、年頭に抱く「今年はいい年になりますように」という思いは皆かなり強い。定例のお茶会というだけでなく新春一回目らしい会合になったが、和やかなうちにお開きとなった。
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まつりと優香が「来月も絶対来ようね!」と相談しながら階段を下りる後ろに咲良がついた。
店の前の歩道に降り立つと、「まつりちゃん、南原さん!」と呼びかけながら、背の高い少年が近づいてきた。待ち合わせをしていたのだろう。
優香の説明によると、「まつりのカレシとその他2名」とのことだ。
咲良にも、真っ先に声をかけてきた少年が“カレシ”だとすぐ分かった。びっくりするような美少年。
うらやましいとか、こんなカレシが欲しいというより、ただ見とれてしまうような独特の雰囲気があった。
「その他2人」も、割と女子に人気のありそうなタイプだ。
「南原、まとめ方雑過ぎだろ!」
と、優香と同じぐらいの身長の目つきの鋭い少年が軽く抗議したが、その様子から、グループ特有の仲のよさがうかがわれた。
「全員、部活仲間なんだけど、ご飯の後にみんなで映画に行くんだ。
そうだ、咲良ちゃんもどう?」
「え…あ…今日はちょっと…」
咲良も行ってみたい気はしたが、さすがに厚かましいかと思って辞退した。
「そっかー、残念。でも、連絡先交換してもらえる?
来月のお茶会も参加させてもらいたいけど、その前に友達になりたい。ダメ?」
「いいんですか?」
とんちんかんな返事をしてまった、と反省する咲良。
学校でも特定の友人と細々と付き合うタイプで、私“なんか”と友達になってくれるのか?という気持ちが先走ってしまった。
優香はそれを全く気にせず、
「これ、私とまつりのケー番とアドレス。電話でもメールでもちょうだい」
と言いながら、いつの間に書いたのか分からないメモ片を渡し、去っていった。
適度な固まりになって、駅方面に歩いていく5人を見送って、咲良は優香とまつりとの会話を思い出す。
(あの人たち、私に一度もタメぐちを強要しなかった!)
今まで「ラフに話してほしい」と言われたものの、結局丁寧語が取れないまま、あまり口を聞かなくなった同級生も山ほどいた。
たとえ1年でも先輩――だからこそ「敬語禁止!」みたいに言う人は、同じ学校にも時々いる。
咲良はそういうフレンドリー風な上級生より、「後輩のくせに生意気」的なことを言う人の方が、まだ付き合いやすいと思っている節があった。
(そのどちらでもない上級生っているんだな…)
あの人たちとなら本当に友達になれそうだなという、ほのかな予感を覚えた。
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