小手先の作業　再び

あおみなみ

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「みんなもそう思うでしょ？」「そうでもないけど…」

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［※本文は全く同じものをブログにも転載予定です］

　匿名掲示板の一番いいところは、匿名であることでしょう。

　開幕一番、小泉進次郎シンジロー構文で申しわけございません。

　You Tubeで匿名掲示板の書き込みをまとめた（あるいはそういういう体ていでやっているけれど、出所でどころのあやしい世間の意見まとめ）動画がよくあります。
　何しろが匿名なので、何の忖度もなく、時には人を煽りたい、攻撃したいという欲丸出しの意見も散見されます。
ついさっき「見ている方が恥ずかしくなるダサいもの」についてのまとめ動画を見ました。
モトネタは「ガルちゃん」の略称で知られる「ガールズちゃんねる」のようです。

　余談ですが、とあるインタビュー音声を聞いていたら、聞き手がガルちゃんについての話題が出したものの、話者がピンと来ていなかったので、「きったねえ女の2ちゃん（5ちゃん）です」と説明しているのを聞いて大笑いしたことがあります。

　話題を戻しましょう。

　この手のものは、自分の意見や感想を率直に書けば書くほど共感と反感の両方を集め、場を盛り上げますし、自分が反感を覚えた意見ほど共感の声が寄せられていて、ああ、自分は少数派だったかと悟ったりすることもあります。

　例えば「信号を守らないやつってダサい」という意見があったとして、逆に私が「渡る（発進する）タイミングを自分でも決められないなんてw」と思っていたとしましょう。
　当然「基本的なルールも守れないのは引く」「社会の迷惑」ということで、共感を得る意見ですし、そうあるべきです。
　仮にの話なので、私も当然「歩行者（車）がいなくても、信号を守り、安全確認すべきだ」と考えていますよ、念のため。

　交通法規も守れない人は、単に社会の迷惑ですから、アウトローや逆張りっぽい意見を格好いいと思っている人に対しては、「思っててもいいけど、実行はしないでね」と願うのみです。

　問題は、個人の感想というかセンスによるところの多いものをダサいかダサくないかの基準でぶった切り、「私の感覚がスタンダードだ！」とばかりに、自分がダサいと思うものをあしざまに語る人です。

◇◇◇

　ここからはガルちゃんの話題からは外れ、リアルでの経験談です。

　キャラクターを金融機関通帳の表紙に印刷されることがあります。
　７、8人の出身地がばらばらの人と雑談していたとき、ある人の地元地銀で「ミッキーマウス」と「トムとジェリー」をそれぞれ起用していたという話題になりました。
　私だったら（しいて言えば）トムとジェリーかな…と思いつつ、特に口を挟まず聞いていたら、話はこんなふうに流れていきました。

「その2つだったら絶対ミッキーだよね」
「うんうん」
「トムとジェリーってww」

　…えー？そうなの？
　私はそういう場で「私はトムジェリ派！」と宣言するにはヘタレ過ぎたので、何も言わずに黙っていましたが、昔からディズニーやミッキーマウスのよさが分からないタイプなので、今その２つを差し出されても、やはりトムジェリを選ぶでしょう。

　ただ、当時は「ミッキーなんて、どこがかわいいの？」と割と火力強めに思っていたけれど、最近は「好きな人が多いのだから、私には分からない魅力があるのだろう」と考えられる程度には柔軟テキトーになりました。

　キャラクター、ファッション、芸能人、食べ物、どれに置き換えても成り立ちます。
　自分が少数派になることも、多数派に与くみすることもあるでしょう。

　一方、実は少数派なのに自分の感覚が一般的であると信じて疑わないのも危険です。

　私はある大物芸能人（お笑い出身で司会ポジションで大人気）が大嫌いでした。
　そして、それは多数派ではないだろうけれど、あくの強い方なので、そういう人もそれなりにいるはずと思っていました。

　20年ほど前、あるメーリングリスト（＊＊下記注）に参加していたときです。
　その芸能人が嫌いだと深く考えずに書いたら、主宰者さんの「〇〇さんが嫌いな日本人っているんですね！」という一言を皮切りに、「私は大好き。すごく頭がよくて才能のある人だと思う」「嫌いって意味が分からない」という意見が集まりました。
　今にして思うと、結構攻撃的に「あり得ない！」と言う人もいたので、嫌いでもそう言えない人、ひたすらROM傍観状態の人も少しはいたのではと思います。参加者100人を超える、それなりの大所帯でしたし。

　と書いて思ったのですが、これはこれで「多数派の自覚がある人の傲慢さ」って話に思えてきました。

　ちなみにその芸能人は、伏せるまでもない気がしてきました。明石家さんまさんです。
　今は好きでも嫌いでもありませんが、好きだという人の気持ちも分からないでもありません。
　「好き（嫌い）という人の気持ちは分かるが、自分は好き（嫌い）ではない」という“感情”があることが理解できるようになっただけでも、それなりに年取ってよかったなあと思います。

　

＊＊
メーリングリスト【ML】
電子メールで複数の人に同じメールを送信できる仕組み
ここでは、その仕組みを利用し、コミュニティーをつくって共通の趣味について語り合ったり、連絡網をつくったりすることを指しています。
今でいうSlackやLINEのグループチャットなどがイメージが近いでしょうか。

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