【番外編集】てんどん 天辺でもどん底でもない中学生日記

あおみなみ

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【後日談】自転車に乗って【エンディングα】

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 約束の土曜日は、気持ちよく晴れ上がってくれた。
 3月だから風は少し冷たいけれど、手袋が要るほどでもない感じ。
 寒いのよりは涼しいの、暑いのよりは暖かいのが気持ちいいという、よくいる人間にとっては、すごく過ごしやすい日だと思う。

「おはよう、レイ。今日はどこに行くの?」
「おはよう。着いてのお楽しみだよ。オレの後ろについてきて」
「うん」
「あ、でも疲れたらすぐに言ってね。すぐ止まるから」
「…うん?」

 レイはまず、国道n号のパイパスの側道に出た。
 そこは私たちの家があるあたりから何百メートルか東に行ったところだ。

 「ちょっと遠回りになるけど、自転車で走りやすい道を通りたいから」ということなので、目指す場所は東ではなく西ということなのかな?

 側道を南に300メートルくらい行った後、通称“高速インター線”と呼ばれる道路と交差したところで西に折れた。ここから1.5キロくらい行ったところに、春休みになったらみんなで行こうと言っているカルランがあって、さらに1キロ弱で高速の片山南インターチェンジだ――とレイが説明してくれたけど、どちらも素通りした。
 カルランはともかく、そもそも自転車だから、それで高速に乗るわけにも行かないんだけどね。

「まつりちゃん、疲れてない?大丈夫?」
「うん、まだそんなに走っていないでしょ?平気だよ」

 遠回りとはいえ、自歩道がたっぷりとってあって、走りやすい道を選んでくれているし、極端な坂道もないので、快適に走れている。

「ならよかったけど…この先、ちょっときつくなるかも。疲れたらいつでも言ってね」
「うん、ありがとう」

 カレカノ関係になっても――というか、「なったからこそ」なのかもしれないけれど、レイは本当に私の顔色ばかりうかがっている。っていうと言い方悪いけれど、何をするにしても、私の快不快コンディションを細かく確認するのだ。
 優しくて、気が利いて――というよりも、「わがまま一つ言ってくれない」なんて愚痴りたくなるほど、私のことばかり考えている。
 そのレイが「一緒に遊びにいこう」と選んでくれたところなんだから、付き合いましょうとも!

◇◇◇

 「この先きつくなる」の意味が少しわかったのは、広い通りから離れ、細い生活道路に差し掛かったときだ。

 住宅街といっていいところなんだと思うけれど、家と家の間隔が、レイや私の家がある街区とは違ってやたら広いし、畑や田んぼも目立つ。家の敷地内に蔵のある家も多い。

 そして、道路に意外なほどアップダウンがあるのだ。

 細い木の板を何段も少しずつ斜めに傾けて組んで、一番上から車やボールを滑り落とさせるおもちゃがあるでしょ?アレに感じ。
 そのせいでさすがに少し疲れたけど、黙々とレイについていったら、橋を渡った。

「あれ?この下って高速道路?」
「そう。いわゆる跨線橋こせんきょうってやつだね」
「へえ…こんなところまで来ちゃったんだ」

 土曜日で学校が休みなので、お友達同士らしい男の子たちが連れ立って歩いている。
 小学校低学年か中学年って感じ。私とレイが一時的にあまり遊ばなくなった年頃だ。
 コンビニや駄菓子屋が近くにあるわけでもなく、かといって、のびのび遊べる大自然の中ってわけでもない。こういうところの子たちって、どこで遊ぶんだろう?

「誰かの家に集まってゲームとかかな?」

 レイが私の心を読んだみたいにそう言った。

「オレもあれくらいの年頃ってそんな感じだったよ。それか学校のグラウンドでサッカーしたり」
「ああ…なるほどね」

 走っている間、車に一度も出くわさなかった。
 もちろんというか、信号も一つもない。ついでにいうと、目印になりそうな施設もお店もない。
 目的地が分からないけれど、よく道を覚えてるなあ――と思ったら、公民館らしき場所の前でレイが携帯を開いた。
 携帯といっても、私が持っているようなガラケーではなく、いわゆるスマートフォンだ。
 去年の夏、レイのお母さんがレイから携帯を取り上げたことがあったけど、あれを機にお父さんが「いっそのことスマホにするか?」と言って買ってくれたらしい。

 慣れた様子でディスプレーに目を落として地図を確認し、「うん、間違いない。もう少し…あと4、500メートルで着く、かな」と言った。
 その後、またちょっと入り組んだところに入り込んだので、私はちょっとだけ不安になったけれど、「あ、ここここ」と、車が数台停められる小さな駐車場に入り、その片隅の駐輪場に自転車を停めた。

「はーい、おつかれさま。到着だよ」
「え、ここって…」
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