【R18】Jasmine 俺のカノジョはとびきり魅力的で――飛び抜けてインランらしい

あおみなみ

文字の大きさ
4 / 52

第3話 友人カップル【私】

しおりを挟む
 最低ヒロインのお節介

◇◇◇

 一緒に旅行に行った友達が、帰りの電車の中で元気がなかった。

 友達のカレシはターミナル駅から電車で二つのところに帰るし、私のカレシは駅の近くに住んでいたから、私たちは「寄り道してくね」って言って、そこで男子組と別れた。

 「ハンバーガー屋さんでシェークでも飲もうか?」って言ったら、「人がいないところで話を聞いてほしい」と言われて、駅前のデパートの裏のポケットパークで話した。

「私――エッチできなかったんだ…」
「そうなの?」
「うん。彼はちゃんと避妊具コンドーサン用意してくれたし、私もそのつもりだったのに、土壇場で怖くなっちゃって…」
「2晩とも?」
「…うん」
「そっか…」
「どうしよう?私のこと嫌いになったりしないかな?呆れてないかな?」

 眉を八の字にする勢いで困った顔をして、目は半泣きになってる。
 何だかかわいそうになって、無責任なことを言った。

「そんなことで嫌いになる人には見えないけど」
「そう、かな」
「うん(根拠は全くないけど、まあいいか…)誠実そうだし」
「ありがと、話聞いてくれて」

 大事な友達に元気を出してほしい、そのときは、ただそれだけ思った。

◇◇◇

 私のカレシの方は、案の定、友達のカレシから悩みを打ち明けられたらしい。
 「俺に経験がないから、カノジョをリラックスさせてやれなかった」って言ったんだって。いいカレシじゃん。

 私はそこでお節介心とスケベ心が湧いて、「友達のカレシ」とこっそり会うことにした。
 電話して、「カノジョから、あなたに嫌われたんじゃないかと相談を受けたんだけど」と言いつつ、「カノジョには内緒だよ」と何度も言った。
 翌日は家に誰もいなくて、カノジョと会う約束もないというから、「じゃ、私、お邪魔してもいいかな?」ってのこのこ出向いていった。

 多分だけど、友達のカレシ、その段階でかなりしたと思う。
 いや、電話の段階で、かな。「家族いない」「カノジョとの約束もない」なんて、言う必要ないじゃん。相談に乗るにしても、外で会えばいいんだから。

 最寄り駅まで迎えに来てもらって、30分後には友達のカレの部屋で裸になっていた。
 お兄ちゃんが「させて」くれないから、私には実はフェラチオの経験がないけど、調子に乗った友達のカレシは「ちんこ…なめて」とか言った。私がよほど経験豊富に見えたのだろう。

「ほら、そういうのを性急せっかちに頼むのは、嫌われる原因だよ!」
「そ、そうか?」
「うん、女の子をどれだけ喜ばせられるかだけ、とりあえず考えなよ」

 全ての青少年は、本命カノジョとの初体験の前に年上の女性の手ほどきとか受けるべきだと、私は本気で思うわ。
 兄のとんでもない元カテキョの例もあるし、需給のバランスは結構取れている気がするんだけど。
 (セックスの場合、需要と供給の関係がよく分かんないけどね)

 友達のカレシを受け入れるとき、私は念を押した。
「私のことは今日別れる予定のセックスフレンドぐらいに思って。好きになっちゃダメだよ」
「分かってる…よ…」
 カレは目を閉じて、友達の名前を連呼しながら私を抱いたけど、そのうち私の名前に切り替えて、「好き…だ…」と言いやがった。

「アウト!私もう帰るわ!」
「え、そんな…」
「カノジョとセックスできるように練習台になってるのに、私の名前呼んじゃダメじゃん」
「だって…」
 どちらかというと、いつも自信たっぷりなタイプなのに、えらく気弱な表情を見せるじゃない。
「私にもカレシいるし、そういうの困る。約束守ってくれないなら帰る」
「分かったよ…だから、続き…」
「もおっ」

 私のカレシより大柄で、ベッドに組み敷かれたときはちょっとドキッとした。
 セックス自体もカレシより筋がよさそう。
 友達は本当に怖かっただけなんだろう。初めてじゃ仕方ないか。

 私に深いキスをして(これも許可した覚えはないのに勝手にされた)、また体中を愛撫して、コンドームをつけ直して、ぐっと入ってきた。
 これは好感触。今までシた中では、兄の次に気持ちいいかも。
 回復が早いから、短いスパンで3回やった。

 服を着ながら、「すごくよかったから自信持ちなよ。カノジョもいつか受け入れてくれると思うよ」と言って、駅までの見送りは辞退して帰宅した。

◇◇◇

 それからしばらくして、2人は別れた。
 私と友達の間にも、私のカレシと友達のカレシの間にも、特に変化はなかったので、私とは無関係に別れたと思いたいんだけど、「ほかに好きな人ができたんだって。私も会うたびアレばっかりでちょっと嫌になってたし、まあいいかなって」と言っていたのが気がかりだ。

「カレシは具体的に誰が好きって言わなかったんだね?」
「うん。聞いたけど、君の知らない子だからって」
「そうか。縁もいろいろだしね。きっとまたいい人見つかるよ」
「そう、だよね。あんなスケベはもう嫌だなあ~」

 私は多分悪くない。別れるべくして別れる2人だったんだ…と、自分に都合のいい材料だけ取り上げて、無理やり思い込んだ。
 実際、具体的にアプローチされたわけでもないから、寝取ったとか言われたら心外だよ。

 もし2人が別れた原因が私だったとしても、私なんかを好きになった「友達の元カレ」が悪い。それだけだ。

 体と心は一致することがあるってだけで、バラバラに動くことも多いと思う。
 私は優しいカレシが好きで、セックスが相変わらず下手なのにも「やれやれ」って感じて慣れてきた。一方で、兄との関係にはそこそこのめり込んでいる。

 心は(一応)カレシの、体は兄を初めとする「セックスする可能性」のある男性のもの。
 テニスとか柔道とか、個人で取り組むスポーツで、「強そうな相手とやってみたい」って思うのと同じような気持ちだ。普通、対戦相手に心までは捧げないでしょ?知らないけど。

 3回セックスしたぐらいで、軽々しく好きにならないでほしい。
 ――気持ちよかったのは認めるけど。
 こういうことがあるから、兄以外の人との関係もやめられないのよ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

処理中です...