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好きなものは好きと言えるキモチ
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最近あまり積極的に映画というものを見ていないので、どうしても古いものの話になりますが、監督でいえばヒッチコックよりビリー・ワイルダーが好きです。
並べてみて、この対比が適切かどうか分かりませんが、要するに「ハラハラ、ドキドキするものより、とにかく笑えるものが好き」ということです。
かといって、チャップリンやバスター・キートンの「笑い」はまた違うし…。
ワイルダーにこだわると、『昼下がりの情事』で、ゲイリー・クーパー扮する大富豪フラナガン(ヘプバーンが演じたアリアーヌの恋のお相手)が、お抱え楽団をどこにでも引き連れて歩くさまとか、『麗しのサブリナ』で、ライナス(ハンフリー・ボガード)がパーティーの真っ最中に、別室で新素材のプレゼンをしているシーンとか、そういうのがツボです。
ツボそのものについては意外と言語化が難しいので、自分を比較的よく知る人に「こういうの好きそう」と勧められたものが、残念ながら全く刺さらない――なんてこともよくあります。
わざわざそうして勧めてきてくれるほどの間柄だから、打率的には悪くないのですが。
自分でも何でそれを好きになったのか分からないけれど、気付いたら好きになっていて、何なら沼にはまっていたということすらあります。
◇◇◇
このように、好きなものについて好き放題語るのは楽しいものです。
いつだったかそういう感じの(暴走気味の)内容の文章を書いたら、読んだ方から「書いてある内容はよく理解できなかったが、犬がおいしそうにえさを食べている様子を見ているみたいに楽しんだ」だという感想をいただいたことがありました。
ひょっとして、若干ディスられている…?と思いつつ、そのように思っていただけるほどの熱情が私にもあったのだと、少しうれしくなりました。
◇◇◇
長崎・五島を舞台にしたヨシノサツキさんの人気コミック『ばらかもん』は、2014年にアニメ化され、大好評を博しました。私も原作もアニメも大好きです。
同様に好評だったオープニング主題歌、SUPER BEAVER『らしさ』の中に――ええと、このまま使っていいのか分からないのですが、「人から分かってもらえない宝物/分かってもらえる建前」的な表現がありました。
冒頭で出した映画について言うと、「本当は好きな作品」と「人様に聞かれたときに好きと答える作品」を使い分かることってないでしょうか。
またこれが厄介なんですが、本当に好きな作品だったら、たとえそれがどんなに評判の悪いB級であっても、開き直って熱く語るかもしれませんが、「いろいろある好きなものの一つで、でもまあ結構な熱量で好きで、だけど自分の年齢やら属性を考えると奇異に思われたり、バカにされたりしそうなので言いづらい、いわば“隠れファン”である」的なコンテンツの場合、好き嫌い以前に「何それシラネ」という態度を取ってしまったり、それでいて、本当は好きで大事なはずのものを、日陰の花扱いすることに罪悪感を覚えたり…。
◇◇◇
ここまで読んで、煮え切らねえことをダラダラ書くな暇人!と思われた方、ごめんなさい。そして、それでも読んでくださったありがとう。
中途半端に若い30代の頃、「どちらかというと子供向けだけど、子供よりむしろ自分が興味津々で…」的なコンテンツについて友人に話したら、「子供ちゃんに便乗して楽しんじゃえば?」と言われたことがあります。
いや、そういうんじゃないのよ。そもそも子供が興味全くなかったら、それって自分の趣味に子供をつき合わせてるだけだし。
仮に子供もファンだったとしても、「子供につき合って」みたいなポーズを取るのが嫌だという話をしたつもりだったのだけど。
面倒になって「そうだね」とだけ答えましたが、この手の話を伝わるようにするのは本当に難しいと実感しました。
だって、この友人は全く悪くないのです(多分)。私が勝手に伝わらないストレスをためているだけです(実は根に持っている)。
◇◇◇
そして(落ち着きのない恥ずかしい)50代になった今、私は『テニスの王子様』が好きだーっ!とか高らかに宣言し、日々関連コンテンツを楽しんでいることを、心から喜んでおります。
何しろ『テニプリ』原作が世に出たとき、私は既に30代でした。
中学生の娘が陸上部に入部して初めての保護者会で、とある部員君のお母さんが、「中学校に入るまではテニプリテニプリうるさかったので、絶対テニス部に入ると思っていたんですけど…」とおっしゃっているのを聞いたときは、「ああ、あの漫画?聞いたことあるわ(**)」程度にしか思っていなかったものに、ここまでどハマリするとは思っておりませんでした。
**
これが2003年春の出来事で、原作開始が1999年、アニメ放送は2001年でした。
当地ではアニメ放送がなかったので(テレ東アニメあるある)、地方で見ようと思ったら、VHSかDVDのレンタル・購入、またはCS視聴だったでしょうか。
それでも頑張ってキャッチアップした方もいるでしょうが、そこそこお金かかっちゃいます。
動画サブスクのわずかな負担で大抵のアニメが視聴できるようになった現代は、当時からしたら夢の時代です。
並べてみて、この対比が適切かどうか分かりませんが、要するに「ハラハラ、ドキドキするものより、とにかく笑えるものが好き」ということです。
かといって、チャップリンやバスター・キートンの「笑い」はまた違うし…。
ワイルダーにこだわると、『昼下がりの情事』で、ゲイリー・クーパー扮する大富豪フラナガン(ヘプバーンが演じたアリアーヌの恋のお相手)が、お抱え楽団をどこにでも引き連れて歩くさまとか、『麗しのサブリナ』で、ライナス(ハンフリー・ボガード)がパーティーの真っ最中に、別室で新素材のプレゼンをしているシーンとか、そういうのがツボです。
ツボそのものについては意外と言語化が難しいので、自分を比較的よく知る人に「こういうの好きそう」と勧められたものが、残念ながら全く刺さらない――なんてこともよくあります。
わざわざそうして勧めてきてくれるほどの間柄だから、打率的には悪くないのですが。
自分でも何でそれを好きになったのか分からないけれど、気付いたら好きになっていて、何なら沼にはまっていたということすらあります。
◇◇◇
このように、好きなものについて好き放題語るのは楽しいものです。
いつだったかそういう感じの(暴走気味の)内容の文章を書いたら、読んだ方から「書いてある内容はよく理解できなかったが、犬がおいしそうにえさを食べている様子を見ているみたいに楽しんだ」だという感想をいただいたことがありました。
ひょっとして、若干ディスられている…?と思いつつ、そのように思っていただけるほどの熱情が私にもあったのだと、少しうれしくなりました。
◇◇◇
長崎・五島を舞台にしたヨシノサツキさんの人気コミック『ばらかもん』は、2014年にアニメ化され、大好評を博しました。私も原作もアニメも大好きです。
同様に好評だったオープニング主題歌、SUPER BEAVER『らしさ』の中に――ええと、このまま使っていいのか分からないのですが、「人から分かってもらえない宝物/分かってもらえる建前」的な表現がありました。
冒頭で出した映画について言うと、「本当は好きな作品」と「人様に聞かれたときに好きと答える作品」を使い分かることってないでしょうか。
またこれが厄介なんですが、本当に好きな作品だったら、たとえそれがどんなに評判の悪いB級であっても、開き直って熱く語るかもしれませんが、「いろいろある好きなものの一つで、でもまあ結構な熱量で好きで、だけど自分の年齢やら属性を考えると奇異に思われたり、バカにされたりしそうなので言いづらい、いわば“隠れファン”である」的なコンテンツの場合、好き嫌い以前に「何それシラネ」という態度を取ってしまったり、それでいて、本当は好きで大事なはずのものを、日陰の花扱いすることに罪悪感を覚えたり…。
◇◇◇
ここまで読んで、煮え切らねえことをダラダラ書くな暇人!と思われた方、ごめんなさい。そして、それでも読んでくださったありがとう。
中途半端に若い30代の頃、「どちらかというと子供向けだけど、子供よりむしろ自分が興味津々で…」的なコンテンツについて友人に話したら、「子供ちゃんに便乗して楽しんじゃえば?」と言われたことがあります。
いや、そういうんじゃないのよ。そもそも子供が興味全くなかったら、それって自分の趣味に子供をつき合わせてるだけだし。
仮に子供もファンだったとしても、「子供につき合って」みたいなポーズを取るのが嫌だという話をしたつもりだったのだけど。
面倒になって「そうだね」とだけ答えましたが、この手の話を伝わるようにするのは本当に難しいと実感しました。
だって、この友人は全く悪くないのです(多分)。私が勝手に伝わらないストレスをためているだけです(実は根に持っている)。
◇◇◇
そして(落ち着きのない恥ずかしい)50代になった今、私は『テニスの王子様』が好きだーっ!とか高らかに宣言し、日々関連コンテンツを楽しんでいることを、心から喜んでおります。
何しろ『テニプリ』原作が世に出たとき、私は既に30代でした。
中学生の娘が陸上部に入部して初めての保護者会で、とある部員君のお母さんが、「中学校に入るまではテニプリテニプリうるさかったので、絶対テニス部に入ると思っていたんですけど…」とおっしゃっているのを聞いたときは、「ああ、あの漫画?聞いたことあるわ(**)」程度にしか思っていなかったものに、ここまでどハマリするとは思っておりませんでした。
**
これが2003年春の出来事で、原作開始が1999年、アニメ放送は2001年でした。
当地ではアニメ放送がなかったので(テレ東アニメあるある)、地方で見ようと思ったら、VHSかDVDのレンタル・購入、またはCS視聴だったでしょうか。
それでも頑張ってキャッチアップした方もいるでしょうが、そこそこお金かかっちゃいます。
動画サブスクのわずかな負担で大抵のアニメが視聴できるようになった現代は、当時からしたら夢の時代です。
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