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第16章 「俺――あの時計で5時までここにいていいですか?」【千弦と聡二】
まさか「用は済んだからもう帰って」とも言えない。【千弦】
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食事の後、気を利かせたつもりの芽久美がカイ君を連れて外出した。
6時に帰ると念を押したいうことは、「それまでは2人きりでどうぞ」ということだろう。
聡二君は、普段は家の手伝いをする方ではないと言っていたが、指示を出せば的確にこなしてくれるので、本当にあっという間に終わってしまった。
「ありがとう。結構量があったのに捗ったわ」
「食洗器は使わないんですか?」
「2人家族だから、手でぱぱっとやっちゃった方が早いし」
さて、早く片付けが済んだのはいいが、まさか「用は済んだからもう帰って」とも言えない。
かといって――引き留めるようなことを言うのもどうかとは思う。
どうしたものかと思いつつハンドクリームを塗り、聡二君にも勧めた。
聡二君は部屋の時計をちらっと見た後、
「俺――あの時計で5時までここにいていいですか?」
と言った。
「え?もちろん構わないけど…」
「あと3時間程度あります。映画を見て、それから少しお話しませんか?」
「いいわね。何にしましょうか?趣味に合うのがあればいいけど…」
「そう、あの映画がいいです。千弦さんが以前、一番好きだと言っていた」
「そうか。2時間弱だし、ちょうどいいわ」
「いいですね」
見終わった後も少しお話できるし、本当におあつらえ向きだ。
「ところで、どうしてこの部屋の時計で5時までって?」
「それは――俺の腕時計は電波式なので、自動的に時間が合うんですが、あの時計は少し遅れているようです」
「あら、気づかなかった!」
「だから、あの時計の言うことを聞いた方が、5分長く千弦さんといられるんです」
6時に帰ると念を押したいうことは、「それまでは2人きりでどうぞ」ということだろう。
聡二君は、普段は家の手伝いをする方ではないと言っていたが、指示を出せば的確にこなしてくれるので、本当にあっという間に終わってしまった。
「ありがとう。結構量があったのに捗ったわ」
「食洗器は使わないんですか?」
「2人家族だから、手でぱぱっとやっちゃった方が早いし」
さて、早く片付けが済んだのはいいが、まさか「用は済んだからもう帰って」とも言えない。
かといって――引き留めるようなことを言うのもどうかとは思う。
どうしたものかと思いつつハンドクリームを塗り、聡二君にも勧めた。
聡二君は部屋の時計をちらっと見た後、
「俺――あの時計で5時までここにいていいですか?」
と言った。
「え?もちろん構わないけど…」
「あと3時間程度あります。映画を見て、それから少しお話しませんか?」
「いいわね。何にしましょうか?趣味に合うのがあればいいけど…」
「そう、あの映画がいいです。千弦さんが以前、一番好きだと言っていた」
「そうか。2時間弱だし、ちょうどいいわ」
「いいですね」
見終わった後も少しお話できるし、本当におあつらえ向きだ。
「ところで、どうしてこの部屋の時計で5時までって?」
「それは――俺の腕時計は電波式なので、自動的に時間が合うんですが、あの時計は少し遅れているようです」
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