幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん

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名前も知らない誰かへ                          一人ぼっちの男より

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 俺の名前はアルフ。
 突然だが身の上話をさせてもらいたい。
 俺は人里離れた山奥に暮らしているので話し相手がいないのだ。

 俺には三人の幼なじみが居る。

 一人は名をミリスという。
 銀髪のショートヘアをした少女だ。
 いつか俺と結婚すると言っててくれたが、今は異世界から来た勇者と一緒に幸せな新婚生活を送っている。

 二人目は名をグレイアと言う。
 赤くて長い髪の凛とした少女だ。
 俺とずっと一緒にいると約束してくれたが、今は異世界から来た勇者と一緒に幸せな結婚生活を送っている。

 三人目は名をシスタという。
 緑の髪でロングヘアーのハーフエルフの少女だ。
 俺を必ず惚れさせて見せると宣言してくれたが今は異世界から来た勇者と一緒に幸せな新婚生活を送っている。

 まあ、その、なんだ。
 寝盗られた。少し違うか?
 まあ、要は俺はあいつらに見捨てられたわけだ。

 騒がしかったが幸せな生活を送っていた俺と幼なじみ達の前に、異世界から来たという勇者が現れた。

 俺の幼なじみ達はに恵まれ、その勇者のパーティに誘われた。

 最初は断ってくれたのだ。

 僕にはアルフがいるからと。

 アタシはアルフがいない生活なんて耐えられないと。

 私達はあなたとは一緒に行けないと。

 しかし一度勇者と目を合わせた瞬間、彼女らはを表したのだ。

 僕、実はアルフのことそんなに好きじゃないんだよねと。

 アタシはあんたが一人でいたから可哀想で一緒にいてあげたのよと。

 私はあなたみたいな気持ち悪い人間、最初から虫酸の走るくらい嫌いでしたと。

 当時の俺は彼女らが大好きだった。
 俺は必死に引き止めた。

 一体どうしちゃったんだよ!と。

 すると彼女達は近ずかないでと拒絶された。

 それでも諦めきれなかった俺は勇者に土下座して雑用係兼荷物持ちとしてパーティに入れてもらった。

 彼女らは俺を見る度舌打ちをし、ことある事に理不尽な理由で攻撃してきた。

 ある日、俺が事務的な用事で彼女らに話しかけた時、彼女らは自分たちの視界に入るな!と激怒した。

 ミリスからは魔法で左足を粉々にされた。

 グレイアからはご自慢の剣で右足を切り裂かれた。

 シスタからは弓で右目を射抜かれた。

 この場にうずくまり、悶える俺を見て、彼女らはゲラゲラと笑っていた。

 自分一人で満足にうごけねぇやつにもう要はねぇ。

 そう勇者に言われて、俺はパーティを追放されてしまった。

 それでも俺は諦めなかった。
 きっと勇者に脅されているんだと。
 もしくは何かを事情があるんだと。
 現実から目を逸らし続けた。

✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿

 先程紹介した幼なじみのミリスには妹がいる。

 変わり果てた俺の姿を見てミリスの妹は激しく同様していた。

 事情を話すとミリスの妹は泣きながら、姉がそんなことをするはずありません!と言い続けていた。愚かな俺もまだ希望を捨てていなかった。何か事情があるんだと。

 俺と幼なじみ達が暮らしていた家の前まで行くと、何やらギシギシと音が聞こえる。

 家の中からは三人の幼なじみのいやらしい声が聞こえてくる。

『いいのかよ!?お前らの元彼が泣いてるぞ?』

『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』

『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』

『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』

『ダメー!まだ僕がやって貰ってるんだから!』


 ミリスの妹は膝から崩れ落ちる。
 それから彼女は二度と、姉がそんなことをするはずがありません!とは言わなくなった。

 俺は何かをが壊れていく感じがした。
 そこでこれの意識は消えていく。

 その後俺はなんやかんやあって車椅子と眼帯を用意してもらうと、人里離れた森に引きこもり、人間と関わるのをやめた。

 ここに来てからもう二年が経った。
 今はもう十七歳か。
 時の流れは早いな。
 聞いてくれてありがとう。ちょっとスッキリした。

✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿

 勇者は死んだ。

 魔王との戦いで勇者は相打ちになり彼は名誉な戦死をとげた。

 それと同時に彼のスキル、も解除された。
 勇者に魅了されていた三人の少女は夢から覚める。

 勇者の好意は消えていき、彼女らは正気に戻っていく。

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