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第1章
事情を知った主人公
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「魅了のスキルで操られていた!?そんなわけありません!だってアイツらはそんなこと一言も――」
「事実です。彼女らは勇者のスキルで操られていました。勇者が命を落とすまでの間、ずっと」
男が何を言っているのか理解できない。だってそれがもし事実なら、アイツらは俺の事を……なのに、俺は……!
「今アイツらは何処に!?」
俺は身を乗り出して質問する。
「彼女達は今、東のドラゴンの討伐編向かいました。別に今じゃなくてもいずれ時が来れば進軍すると何度も説得はしたのですが、僕達は人類の脅威をぶっ潰すさなきゃ行けないんだ!と言って聞かず、小規模間の軍隊と共にドラゴンの討伐に向かわれました」
俺のせいだ。俺があんなことを言わなければ……
「お願いがあります。彼女らが帰ってき次第、俺を彼女らに合わせてください。お願いします」
俺は男に頭を下げた。洗脳されていたいたと言うのなら、彼女達のあの言葉が本心からでは無いのなら。もしかしたらやり直せるかもしれない。
彼女達はあんなことを言ってしまった俺を許してくれるだろうか?
でも、あの日々を取り戻すためなら、俺はなんだってする。
「……!わかりました。彼女らが帰ってきたらすぐにお知らせしに参ります」
男はそう言うと、俺の家を出ていった。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
あれから3ヶ月程が過ぎた頃、あの男が再び俺の前に現れた。
そう。彼女達が帰って来たのだ。
俺はその男に運んでもらい、王宮に運んでもらった。
久しぶりにみたグレイアとシスタはボロボロだった。
グレイアは片腕がなくなっており、シスタは俺と同じように片目に眼帯をつけている。おそらくは目が……。
何をしているのだろうか。
「次の標的は西のバンパイアです。すぐに準備に取り掛かりましょう」
シスタの声が聞こえてきた。
その体でまだ戦うつもりなのか?
あの時軽はずみにあんなことを言わなければ良かったな。
「グレイア!シスタ!」
俺は二人の名前を叫ぶ。
車椅子で出せる全速力で彼女達に近ずいて行く。
「……アルフ……さん?」
「嘘よ……なんで……」
二人は信じられないと言うような顔を作り、驚きの表情を見せる。
「どうして……。どうして魅了のスキルのことを真っ先に言ってくれなかったんだよ!それがわかってれば……俺は……」
俺は我慢出来ずに涙を流す。
「ごめん……。お前らのことを何も知らずに、あんなこと言って……」
「謝らないで!!全部……全部アタシ達が悪かったの。アルフは何もわるくない!」
「そうです!貴方が謝る必要なんて全くないんです!!」
グレイアとシスタも涙ながらに俺に謝ってくる。
やめろよ。お前らの方こそ、謝ることなんて何もないじゃないか。
三人で散々泣きあったあと、少し落ち着いた俺はもう一人の謝りたい幼なじみのことを二人に聞こうとした。
「ミリスにも、謝らないとな……。なあ、今ミリスは何処にいるんだ?ここで待ってたら来るかな?」
もしかしたら、また四人で楽しく暮らせる日々が戻るかもしれない。
そう思うと、俺はとても幸せな気分になった。こんな感情、長らく感じなかったな。
「……いえ、待っていても来ません。……ついては来て貰ってもいいですか?」
シスタにそう言われて俺は頷く。
幸せな気分に溺れていた俺はその時のシスタの表情は見えていなかった。
「……アルフ、本当にあなたは何も悪くなのよ」
グレイアも俺にそう言ってくれる。
あんなことを言った俺を許すだけではなく、気づかってくれるなんて、俺は本当にいい幼馴染に恵まれた。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
ミリスに早く会いたい!
会って謝りたい!
その一心で俺は二人について行く。
周囲の様子はもう俺の目には入っていない。それどころではないのだ。なんて言って謝ればいい?ほんとうに許してくれるのか?
その考えが頭の中をグルグルと回って気持ち悪くなる。
でも伝えなくては、逃げちゃダメだ。
「着きましたよ」
シスタにそう言われ、俺はハッとする。
「わ、悪い。……えーと、ここは?ミリスはどこに……」
辺りをキョロキョロと見回すがミリスらしき人物は見当たらない。
ここで待ち合わせということだろうか?
「ミリス、アルフが来てくれたわよ」
グレイアの話し声を聞いて、急いでそちらを見るが、彼女は誰もいない場所に話しかけている。
そっか、ミリスは魔法の才能に恵まれて勇者の元へ行ったのだった。
透明化の魔法をかけて、ずっと俺達のそばにいたのか。
良かった、これでやっと伝えられる。
許して貰えるかどうかは別問題だ。
まずは謝らないと何も始まらない。
……そういえばここはどこなんだ?
黒くて大きい箱が辺りを一面に置いてある。
人が一人入りそうな大きさだ。
俺達の目の前にもある。
なんだかまるで――
――棺桶みたいな
「事実です。彼女らは勇者のスキルで操られていました。勇者が命を落とすまでの間、ずっと」
男が何を言っているのか理解できない。だってそれがもし事実なら、アイツらは俺の事を……なのに、俺は……!
「今アイツらは何処に!?」
俺は身を乗り出して質問する。
「彼女達は今、東のドラゴンの討伐編向かいました。別に今じゃなくてもいずれ時が来れば進軍すると何度も説得はしたのですが、僕達は人類の脅威をぶっ潰すさなきゃ行けないんだ!と言って聞かず、小規模間の軍隊と共にドラゴンの討伐に向かわれました」
俺のせいだ。俺があんなことを言わなければ……
「お願いがあります。彼女らが帰ってき次第、俺を彼女らに合わせてください。お願いします」
俺は男に頭を下げた。洗脳されていたいたと言うのなら、彼女達のあの言葉が本心からでは無いのなら。もしかしたらやり直せるかもしれない。
彼女達はあんなことを言ってしまった俺を許してくれるだろうか?
でも、あの日々を取り戻すためなら、俺はなんだってする。
「……!わかりました。彼女らが帰ってきたらすぐにお知らせしに参ります」
男はそう言うと、俺の家を出ていった。
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あれから3ヶ月程が過ぎた頃、あの男が再び俺の前に現れた。
そう。彼女達が帰って来たのだ。
俺はその男に運んでもらい、王宮に運んでもらった。
久しぶりにみたグレイアとシスタはボロボロだった。
グレイアは片腕がなくなっており、シスタは俺と同じように片目に眼帯をつけている。おそらくは目が……。
何をしているのだろうか。
「次の標的は西のバンパイアです。すぐに準備に取り掛かりましょう」
シスタの声が聞こえてきた。
その体でまだ戦うつもりなのか?
あの時軽はずみにあんなことを言わなければ良かったな。
「グレイア!シスタ!」
俺は二人の名前を叫ぶ。
車椅子で出せる全速力で彼女達に近ずいて行く。
「……アルフ……さん?」
「嘘よ……なんで……」
二人は信じられないと言うような顔を作り、驚きの表情を見せる。
「どうして……。どうして魅了のスキルのことを真っ先に言ってくれなかったんだよ!それがわかってれば……俺は……」
俺は我慢出来ずに涙を流す。
「ごめん……。お前らのことを何も知らずに、あんなこと言って……」
「謝らないで!!全部……全部アタシ達が悪かったの。アルフは何もわるくない!」
「そうです!貴方が謝る必要なんて全くないんです!!」
グレイアとシスタも涙ながらに俺に謝ってくる。
やめろよ。お前らの方こそ、謝ることなんて何もないじゃないか。
三人で散々泣きあったあと、少し落ち着いた俺はもう一人の謝りたい幼なじみのことを二人に聞こうとした。
「ミリスにも、謝らないとな……。なあ、今ミリスは何処にいるんだ?ここで待ってたら来るかな?」
もしかしたら、また四人で楽しく暮らせる日々が戻るかもしれない。
そう思うと、俺はとても幸せな気分になった。こんな感情、長らく感じなかったな。
「……いえ、待っていても来ません。……ついては来て貰ってもいいですか?」
シスタにそう言われて俺は頷く。
幸せな気分に溺れていた俺はその時のシスタの表情は見えていなかった。
「……アルフ、本当にあなたは何も悪くなのよ」
グレイアも俺にそう言ってくれる。
あんなことを言った俺を許すだけではなく、気づかってくれるなんて、俺は本当にいい幼馴染に恵まれた。
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ミリスに早く会いたい!
会って謝りたい!
その一心で俺は二人について行く。
周囲の様子はもう俺の目には入っていない。それどころではないのだ。なんて言って謝ればいい?ほんとうに許してくれるのか?
その考えが頭の中をグルグルと回って気持ち悪くなる。
でも伝えなくては、逃げちゃダメだ。
「着きましたよ」
シスタにそう言われ、俺はハッとする。
「わ、悪い。……えーと、ここは?ミリスはどこに……」
辺りをキョロキョロと見回すがミリスらしき人物は見当たらない。
ここで待ち合わせということだろうか?
「ミリス、アルフが来てくれたわよ」
グレイアの話し声を聞いて、急いでそちらを見るが、彼女は誰もいない場所に話しかけている。
そっか、ミリスは魔法の才能に恵まれて勇者の元へ行ったのだった。
透明化の魔法をかけて、ずっと俺達のそばにいたのか。
良かった、これでやっと伝えられる。
許して貰えるかどうかは別問題だ。
まずは謝らないと何も始まらない。
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