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第二章 クロノス
19 恋心
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クロノスはアーリスをゆっくりと地面に置くと、周囲を確認する。
するとすぐに金髪の少女に紫色の髪をした男が無理やり奴隷にするための首輪をはめようとしている様子が目に入る。
「なるほど、少年の言う通り、アイツにも存在する意味はなさそうじゃの」
クロノスは微笑みながら、そうつぶやく。
「アー……リス……」
アフロディーティは朦朧とする意識の中、アーリスの名前を呼び腕を伸ばす。
「アーリス、この少年の名前はアーリスというのか」
クロノスはニコニコとしながらアーリスの名前を何度も呼ぶ。
「ちょうどいい!君、誰かわからないけどアーリスを連れてきてくれてありがとな!これで本来の目的が果たせるぜ」
フェンガーリは爽やかな作り笑いを見せてクロノスに話しかける。
「お主はアーリスの友か?彼には悪いことをしてしまった。なんとお詫びをしたら良いか……」
クロノスは本当に済まなそうに深々と頭を下げる。
「お前が謝る必要はねぇよ。こんなゴミ生かしといてくれてむしろ感謝だぜ。これでようやくこの雑用ゴミ人間モドキを俺達の道具にすることができるぜ」
フェンガーリの言葉を聞いた瞬間、正体のわからないドス黒い感情がクロノスを飲み込む。
「……それはどう言う意味じゃ?」
「あ?」
フェンガーリは、クロノスのつぶやきに思わず顔をしかめる。
「アーリスが人間モドキか、面白いことを言うの。ならばさしずめお前は汚らわしいドブネズミじゃな」
「……なんだと?」
フェンガーリは何を言われているのか分からないという顔をしている。
(……なるほど!コイツ、重度のツンデレだな。そうでもなきゃアーリスなんかのことを庇うわけがねぇ。はぁ~。コイツも俺に惚れちまったか~。……だが待てよ、服こそボロボロのだが、コイツもエルミス達に負けず劣らずの可愛さ、それに合わせて、この世のものとは思えない程の巨乳!……もう、ここまで来たら二人愛するのも三人愛するのも変わらねぇか)
勘違いもいいところだが、フェンガーリは勝手に納得してニヤリと笑う。
「素直じゃねぇなあ。まあ、俺はわかってるから安心しろ」
そう言ったフェンガーリはクロノスに構わずアーリスに近づいていく。そして奴隷の首輪をつけようとしたその瞬間――
「ぐ!?」
強い衝撃と共に、フェンガーリの視界は真っ白になる。
「……ああ、すまん。手加減したつもりだったんじゃが、思ったより弱いのう」
持っていたハンマーをクルクル回しながら、クロノスは適当にフェンガーリに謝る。
「って、ドブネズミに構っている暇などかったのじゃ。アーリス!ああ、顔が青白くなってきておる。……おい、そこの金髪の!」
クロノスは地面に倒れているアフロディーティに声をかける。
「僕の……こと……かな?」
アフロディーティは毒が回りきっており、すごく苦しそうな声で応える。
「お前も死にかけとるのう。どうしたものか……」
腕組みをして考え始めたクロノスにアフロディーティが一つのポーションを指さす。
店内はボロボロだが、かろうじてまだいくつかのポーションは無事だった。
「あれを……アーリス……に……。僕の……ことは……いい。だからせめて……アーリス……だけは……」
それだけ言うと、アフロディーティの意識はなくなり、何も喋らなくなってしまった。
クロノスは言われた通り、アフロディーティに指をさされたポーションを手に取る。
「さて、どうやって飲ませたものか……」
クロノスはしばらく思考した後、顔を真っ赤にする。
そして、ポーションの瓶の蓋を空け、ポーションを口に含む。
そしてゆっくりととアーリスの顔に自分の顔を近づいけていく。
(……わ、悪く思うなよアーリス。こ、これは医療行為じゃ。やましいことなど何も無いぞ、何も……)
そしてクロノスは口移しでアーリスにポーションを飲ませる。
しばらくして、アーリスの体が淡く光を帯て、全身の傷がなくなっていく。
そしてアーリスはゆっくりと目を開ける。
「……クロノス?君が助けてくれたんだ」
「ワシがいなければ、そもそもこんな怪我はしたなかったのじゃがな」
「でも助けてくれたんだよね。ありがとう」
アーリスはクロノスに優しく微笑む。
「……なぜ怒らないのじゃ?ワシはお前を――」
震えた声で言うクロノスをアーリスが抱きしめる。
「君の意識じゃなかったんでしょ?じゃあ君に怒るのはお門違いだ」
「あ……」
クロノスは胸がポカポカした暖かい気持ちで包まれていく。
(……そうか、これが……)
するとすぐに金髪の少女に紫色の髪をした男が無理やり奴隷にするための首輪をはめようとしている様子が目に入る。
「なるほど、少年の言う通り、アイツにも存在する意味はなさそうじゃの」
クロノスは微笑みながら、そうつぶやく。
「アー……リス……」
アフロディーティは朦朧とする意識の中、アーリスの名前を呼び腕を伸ばす。
「アーリス、この少年の名前はアーリスというのか」
クロノスはニコニコとしながらアーリスの名前を何度も呼ぶ。
「ちょうどいい!君、誰かわからないけどアーリスを連れてきてくれてありがとな!これで本来の目的が果たせるぜ」
フェンガーリは爽やかな作り笑いを見せてクロノスに話しかける。
「お主はアーリスの友か?彼には悪いことをしてしまった。なんとお詫びをしたら良いか……」
クロノスは本当に済まなそうに深々と頭を下げる。
「お前が謝る必要はねぇよ。こんなゴミ生かしといてくれてむしろ感謝だぜ。これでようやくこの雑用ゴミ人間モドキを俺達の道具にすることができるぜ」
フェンガーリの言葉を聞いた瞬間、正体のわからないドス黒い感情がクロノスを飲み込む。
「……それはどう言う意味じゃ?」
「あ?」
フェンガーリは、クロノスのつぶやきに思わず顔をしかめる。
「アーリスが人間モドキか、面白いことを言うの。ならばさしずめお前は汚らわしいドブネズミじゃな」
「……なんだと?」
フェンガーリは何を言われているのか分からないという顔をしている。
(……なるほど!コイツ、重度のツンデレだな。そうでもなきゃアーリスなんかのことを庇うわけがねぇ。はぁ~。コイツも俺に惚れちまったか~。……だが待てよ、服こそボロボロのだが、コイツもエルミス達に負けず劣らずの可愛さ、それに合わせて、この世のものとは思えない程の巨乳!……もう、ここまで来たら二人愛するのも三人愛するのも変わらねぇか)
勘違いもいいところだが、フェンガーリは勝手に納得してニヤリと笑う。
「素直じゃねぇなあ。まあ、俺はわかってるから安心しろ」
そう言ったフェンガーリはクロノスに構わずアーリスに近づいていく。そして奴隷の首輪をつけようとしたその瞬間――
「ぐ!?」
強い衝撃と共に、フェンガーリの視界は真っ白になる。
「……ああ、すまん。手加減したつもりだったんじゃが、思ったより弱いのう」
持っていたハンマーをクルクル回しながら、クロノスは適当にフェンガーリに謝る。
「って、ドブネズミに構っている暇などかったのじゃ。アーリス!ああ、顔が青白くなってきておる。……おい、そこの金髪の!」
クロノスは地面に倒れているアフロディーティに声をかける。
「僕の……こと……かな?」
アフロディーティは毒が回りきっており、すごく苦しそうな声で応える。
「お前も死にかけとるのう。どうしたものか……」
腕組みをして考え始めたクロノスにアフロディーティが一つのポーションを指さす。
店内はボロボロだが、かろうじてまだいくつかのポーションは無事だった。
「あれを……アーリス……に……。僕の……ことは……いい。だからせめて……アーリス……だけは……」
それだけ言うと、アフロディーティの意識はなくなり、何も喋らなくなってしまった。
クロノスは言われた通り、アフロディーティに指をさされたポーションを手に取る。
「さて、どうやって飲ませたものか……」
クロノスはしばらく思考した後、顔を真っ赤にする。
そして、ポーションの瓶の蓋を空け、ポーションを口に含む。
そしてゆっくりととアーリスの顔に自分の顔を近づいけていく。
(……わ、悪く思うなよアーリス。こ、これは医療行為じゃ。やましいことなど何も無いぞ、何も……)
そしてクロノスは口移しでアーリスにポーションを飲ませる。
しばらくして、アーリスの体が淡く光を帯て、全身の傷がなくなっていく。
そしてアーリスはゆっくりと目を開ける。
「……クロノス?君が助けてくれたんだ」
「ワシがいなければ、そもそもこんな怪我はしたなかったのじゃがな」
「でも助けてくれたんだよね。ありがとう」
アーリスはクロノスに優しく微笑む。
「……なぜ怒らないのじゃ?ワシはお前を――」
震えた声で言うクロノスをアーリスが抱きしめる。
「君の意識じゃなかったんでしょ?じゃあ君に怒るのはお門違いだ」
「あ……」
クロノスは胸がポカポカした暖かい気持ちで包まれていく。
(……そうか、これが……)
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