ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜

コアラ太

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何をするにも道具から

魔力を覚えるために3

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 苦労した甲斐もあって、魔力ポーションを得ることができた。
 あとは実践して効果があるかどうか。

「今日もお願いします!」

「はい。では、始めましょうか」

 神官様に見守られている中、ポーションを飲んだら開始だ。
 ごくり。

「クリエイトストーン!」

 ひたすら連呼。
 右手から溢れる石には目もくれず、MPバーを眺めながら叫び続ける。
 側から見たら以上な光景だろう。
 肌着のハーフドワーフが、天井を見ながら叫び続けている。さらに右手から石が溢れているという。

「ふぅ」

 MPバーが一瞬空になったが、すぐに回復しバッドステータスは回避できた。

「ポーションとは、なかなか考えましたね」

「そのために、薬屋の試練を超えないといけませんでした」

「いずれやることですから、先になっただけですよ。1つ良いことを教えてあげましょう」

 神官様が俺の横に座り、両手を合わせると青白く輝き出した。

「これはメディテーションです。これでも魔力は回復出来るんですよ」

「おぉ! それは覚えられますか?」

「まだまだ先ですね」

 期待した分、ガックリきた。
 でも、一応覚えておこう。
 メディテーションね。

「ちなみに覚え方とかありますか?」

「魔力のスキルレベルを、5まで上げたら覚えられますよ」

 メモメモ。
 まだ1にすらなってないから先は長いけど、便利そうだから覚えて損は無さそうだ。

「そろそろ回復したのではありませんか?」

「ん?回復してます。クリエイトストーン!」

 ひたすら連呼の繰り返し。
 持続回復だけど、2回も繰り返せば効果は切れるし、財布に優しくない。
 帰りに鉱石いっぱい取ってこないと、赤字で何も出来なくなっちゃう。

 …今日の成果は0.4か。

「やっと半分かぁ」

「早い方ですよ。ポーションが無ければその半分でしょう」

 確かにポーションが無ければ、さらに時間がかかっていた。
 今日持ってきた4本も無くなったし、ここまでだな。

「そういえば、この階層は危ない魔物とかいますか?」

「何が危ないかに寄りますが、1層より2種類魔物が増えてます」

「その魔物は…」

 ニコニコしてるだけで返事も無いや。
 聞いても答えないってことかな。
 前回の採掘時は、新種なんて出なかったけど、警戒だけはしておいた方が良いか。

 鉈をすぐ取り出せるようにして、いざ採掘!

 新しくなったツルハシは、当たり心地が良く、良い音を聞かせてくれる。
 カンカンコンコン。
 コンコンゴロリ。
【鉄鉱石】
 ほとんどマイナスは出なくなった。やっぱり1層までは楽な分、使い勝手の良い鉱石が出難いようにしてるのかな?

 コンコンゴロリ。
【石炭-】
 石炭も出るようになってきた。

 ヂュー!ヂュー!
 ネズミも2体に増えて、対処も大変になった。

「これは…親方達の防具が無いと死にかねないぞ」

 結構噛みつかれたのに、HPはまだ8割以上残っている。見た目にも傷は少なく、良く出来ているおかげだろう。
 修理しつつ大事に使わないと、替えが作れず泣くことになりそうだ。

 剥ぎ取りナイフも使いやすくなってるし…。
 そういえば、ツールの性能アップについて聞いてなかったな。
 まぁ、良いか!

 採掘を継続していると、面白い鉱石が出てきた。
【??鉱石】
 これは帰って親方に見せた方が良いかな?
 そう思ってたら、シャカシャカ鳴る音が近づいてくる。
 鉈を構えて臨戦態勢を整えていたが、それを見た瞬間動けなくなってしまった。

「キシキシキシキシ」

 時々カチカチ鳴らしながら節を軋ませる存在。
 人間のハーフサイズと言えどムカデは予想以上に恐ろしく、持っていた謎鉱石を落としてしまった。
 たまたま運が良かったのか、その鉱石を咥《くわ》えると、そのままどこかえ去って行った。

「鳥肌がおさまらない…。今日は帰ろう」

 帰り道も何度か敵に遭遇したが、ネズミばかり。さっきのムカデが新種なら、もう1匹はどんな生物なのか。考えるだけでも気が滅入る。
 0層に到着すると、未成年を連れた監督に出会った。

「そうか。監督に聞けば良いのか」

「呼んだか?」

「監督!2層の魔物について聞きたいんですけど」

「…近くで聞かせろ」

 謎鉱石とムカデについて尋ねてみると、監督は一瞬ニヤリと笑った後、情報料の催促と手紙を渡してきた。

「これは良い話だ。500Gいただくぜ!」

 ポーション代で減った上にこれ以上とは。また、残り50Gになってしまった。
 村に着いて、一休みしながら手紙を開けてみる。

《”ドワーフ鉱山に住むケイブセンチピード:2層から出現し、時折に遭遇することがある。彼らは鉄鉱石より上位の鉱物を好み、採掘時に現れることが多い。小型ゆえ力は弱く、比較的倒しやすい部類。ケイブセンチピードの外殻は、軽装防具に加工可能。”》

「くっそ!レアの良品ドロップする奴じゃないか!」

 広場の砂は温かかった。
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