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 翔の車に乗って帰路につく二人はしばし無言になっていた。
 
 翔さん、怒っているかしら。
 怒ってるわよね……

 私も鈍感過ぎるわ。

 仲嶋にその気がある等とはこれっぽっちも考えていなかった真菜。
 翔は最初っから仲嶋にはその気が有るのだから二人で合うのは良くないと言っていたのだ。
 結局その通りになっているわけである。

 翔さんにとっては、これって私が浮気とたと捉えられる様な事よね。

 しかも、不可抗力と言え、また服を汚してしまって……
 カレールーはかけられるわ、ミルクティーはぶちまけられるわ、この女と居ると良い事が無いなと、百年の愛も冷めそうなものである。
 と、言うか、翔さんが私を好きなのも変だし、いつ冷めてもおかしくは無いわ。
 そう思うと、怖くて真菜からは口を開けないし、目も合わせられず、ただただ視線を下げて反省しているしか無かった。

 でも、助けに来てくれたんだし、お礼は言っても良いよね?



 翔は翔で、真菜が怒っていると感じていた。
 仲嶋が言った事にも一理ある。
 俺は真菜にストーカーであると思われても仕方ない行動をした訳である。
 家で飯も作ってないし、俺が勢いよく抱きしめたりしたからミルクティーが零れた訳だし。
 ミルクティーは家に帰れば俺が入れ直してやれるけど。
 いや、気持ち悪いよな。
 婚約者だって言ったって、真菜にとっては都合の良い相手ってのを売って行かないといけないのに。
 重いと思われたよな。
 勝手に好かれてストーカーされて、俺の婚約者だ! とか言われてもな。 

 一緒に居て疲れるとか言われるかもな……

 翔はもうマイナスな事しか考えられず、真菜を見られないでいた。
 いつ『こんなつもりじゃなかった。貴方重すぎて気持ち悪いので、同棲は無かった事にしましょう』と、言われるか。
 真菜にそんな事を言われたら、俺は立ち直れないぞ。
 仕事だって辞めなきゃだし。
 そうなったら兄の誘いに乗って兄の会社で雇って貰うしか……
 いや、でも真菜は『私に翔さんが居る』そう言ってくれたはずだ。
 俺の聞き間違いで無ければ。
 仲嶋をあしらう為だとしても、そう言ってくれた。
 まだ俺と一緒に居てくれる気が有るのかも知れない。
 まだ俺に希望を持たせてくれるかも知れない。

「翔さん、あの、ごめんなさい…… 私」
「えっ…… 俺こそ、ストーカーしちゃってごめんなさい」
「えっ…… いえ、助けに来てくれて嬉しかったです」
「よ、良かった……」

 急に口を開いて謝罪した真菜に、翔は別れ話しだと身構えた。
 しかし、真菜は謝っただけである。
 そして、助けに来てくれて嬉しかったと言っている。

 え? 怒ってない?

「俺の事、気持ち悪いとか重いとか思ってないか?」
「いえ、私、翔さんの事が好きです」
「真菜って許容範囲が本当に広いんだな」

 どうやら許してくれるらしい。
 これだと、どんな男でも結局は一緒に居て苦でも無く、誰とでも結婚条件が合ってしまうのではなかろうか。
 きっと先に結婚の話を仲嶋に持ちかけられていたら仲嶋と結婚しただろうな。

 先に俺がアプローチ出来た事を神に感謝しなければいけないな。

「翔さん以外にされたら気持ち悪いでしょうね」

 真菜は翔に言われて考えたのだ。

 他の男が翔さんの様に急に結婚を申し込んで来たり、勘違いでキスしてきたり、押し倒したり、体を抱きしめて来たり、指輪を渡して来たり、それこそ友達と遊びに行くだけのつもりなのに後をつけられたりしたらと考えると、普通に気持ち悪い。
 さすがの私だって抵抗もするだろう。
 なんなら警察に相談する。

「どういう意味だ?」

 翔はよく解らなかったらしく、真菜に聞き返してくる。

「翔さんだから嬉しいって事です。私、鈍感で気づくのが遅くてごめんなさい」

 フフっと苦笑してしまう真菜。

「でも、初恋なんです」

 だから許して下さいね? と、真菜はもう恥ずかしくて顔を両手で隠して前屈みになりながら言うのだった。

「え!?」

 翔はビックリして、兎に角近くに有った公園に車を止めた。

「真菜は俺に初恋をしてるの?」
「初めてで解らないんですけど、きっとこれが恋なんだと思ってるんですが、違いますか?」
「いや、違わないよ!」

 違ったとしても、そう勘違いしてくれたのならそれは恋だよね!

 翔は真菜を抱きしめてると、顔を上げさせる。

「キスしたい。いい?」
「うん」

 頷く真菜にキスをする翔だ。


 それから翔は直ぐに自宅に戻ると、真菜の手を引いてベッドに向かう。
 我ながら我慢の利かない男だとは思うし、ガッツキ過ぎだと思う。
 紳士の欠片も無い男であるが、真菜と両想いなんだと思ったら我慢出来る訳が無い。
 
「翔さん、服を洗濯に……」
「この服は記念品として部屋に飾るからいい」
「何言ってんの?」

 真菜は本当に意味が解らなそうだ。
 だけど、カレールーの服もそのまま部屋に飾りたかったくらいである。
 思い出としてちゃんと畳んで大事にしまってある。

 翔は自分の部屋に真菜を連れ込むと、ベッドに押し倒すのだった。

 暗い部屋にベッドサイドランプだけを灯した。
 
「君を今すぐ俺のものにしたい。良いかな?」

 既に押し倒しておいて何を言っているのかと思うが、焦る気持ちを押さえて真菜に許可を取る。
 真菜はコクッと頷いてくれた。
 ボタンを外して服を脱がせていく。
 真菜の素肌は艶かしく、どんな女性よりも美しいと感じる翔。
 手触りもスベスベで、最高である。
 
「真菜はどんな芸術作品よりも綺麗だな」

 今日、美術館に行っても思った事だった。
 どんに素晴らしく高価な作品だろうと、翔の目には入らなかった。
 ずっと真菜しか見えなかった。

「翔さんも、素敵ですよ」

 そう、服を脱いだ翔の肌に触れる真菜。
 腹筋が割れていて、結構男らしい体をしている。
 いつもこの腹筋に見惚れてしまう真菜だ。

「真菜の方が素敵だよ」

 翔も真菜の胸をやわやわと揉む。
 柔らかくハリが有って、先にはピンクの可愛らしい蕾が有るのだ。
 それをキュッと摘む。

「あっ、んん……」

 ここは敏感で、真菜は声を上げてしまうのだ。
 
「本当に可愛い俺の真菜」

 翔は真菜を抱き寄せ、胸元に痕を残す。

「私の翔さんも本当に可愛い」

 真菜は翔を抱きしめてフフっと笑うのだ。

「お願いだから寝ないでくれよ? 最後までしたい」
「それはフラグを立てるって言うやつじゃない?」
「やめてくれ~」

 目を合わせて二人で笑い合うのだった。


 翔は真菜の足を開くと、指で中を解す。

「あっ…や、翔さん……」
「真菜のここは熱くて情熱的に俺を誘っているよ」

 いつも大人しい真菜が、俺に弄られて大事な所を濡らして準備してくれていると思うと、翔の鼻息も荒くなる。

「いちいち言わないでください」
「真菜が顔を赤くしてくれて可愛いから」

 恥ずかしい事を言うと、真菜は素直に恥ずかしがってそれる。
 可愛くて、ついついイヤラシイ事を言って恥ずかしがらせてしまう翔だ。

「ねぇ、もう良いのではないですかね?」
「もしかして入れてほしいの?」
「ヤるなら早くヤって欲しいです」
「言い方……」

 真菜も乗り気だと思ったのは俺の都合の良い勘違いだったかな。

「嫌ならヤらない」
「どうしてですか? 入れたいんでしょ?」
「真菜を大事にしたいから。嫌なら真菜の太腿で我慢する……」

 翔はショボーンとなってしまっている。
 でも翔の翔はまだビンビンだ。

「ごめんなさい。私が早く翔さんと一つになりたいって思ったんです。ずっと、焦らされてるみたいで……」

 真菜は恥ずかしそうに翔から視線を外した。
 だって初めてなのに、自分から欲しいなんて言えない。
 でも、もう早く翔さんと一つになりたかったのだ。
 また寝ちゃったら嫌だし。

「俺こそ、真菜がそんなに俺を欲しがっていたなんて気づかなかった。ごめんね?」
「本当ですよ! 次は気をつけて下さいね!」
「有難う」

 次も有るんだ!
 翔はエヘヘっと柄になく変な笑い方をしてしまう。

「痛かったら言ってくれ」

 そう、言って真菜の秘所に己を充てがう。
 痛いと言っても止めてあげられる自信は正直無い、でも絶対止めてあげるからね!
 そんな事を強く思いながらゆっくり腰を進める翔だった。

「あっ…ひうっ…」
「痛い?」

 耐える様に眉間に皺を寄せる真菜。
 翔は動きを止める。

「苦しいだけです。進めてください」

 少し痛いけど、やめてほしくない真菜。
 
「いいの?」
「早く進めてください」
「すごい大胆な事言ってるよ」

 真菜が早くと言うので、腰を進める翔。

「んあっ、まだですか? ねぇ、何処まで有るの?」
「うー、今、半分」
「はぁ? どうなんてんの?」

 信じられないと、真菜らしくもない声が出てしまっている。

「もう半分はまた今度にしよっか」
「嫌です。もう、早くしてって言っているのに!」

 人思いに一気にやって欲しい真菜。
 体を起こして翔を押し倒す。

「まって、真菜、落ち着こう」

 おおよそ初めての女性がするような体制ではない。
 真菜が翔に跨り、自分で腰を下ろそうとしているのだ。
 一気に貫いてしまわぬように、真菜の腰を支える翔。
 
「あっ、んん…あうっ、おっきい……」
「すごい、絶景ではある」

 もう、鼻血が出そうなんだが。

「ふっ、ん、あっ、入ったよ」

 奥まで入れられて、ホッとした表情を見せる真菜。
 
「痛くない?」
「ちょっと、痛かった」
「抜く?」
「頑張って入れたから、このままが良い」
「このまま?」

 え? 動くのもだめ?
 真菜はの胸に顔を埋める。

「翔さん、大好き」

 そう、翔に愛を伝える。

「俺も、真菜が大好き」

 幸せすぎる。
 ここは楽園か。

「真菜、ねぇ、もう、動いて良いかなぁ? ねぇ、真菜?」

 待って、何かスースー聞こえてくる。

「真菜?」

 肩を抱き上げて様子を確かめる翔。
 見事に寝ている。

「真菜ーー!!」

 流石にこの状態はきつい。
 真菜を揺さぶってみるが、熟睡モードである。
 だめだ。こうなったら真菜は起きない。
 だって、太腿つかって自慰させてもらっても起きたこと無いんだ。
 翔は泣く泣く真菜から己を引き抜いて、やっぱり太腿を使わせて貰う事にするしか無いのだった。
 ああ、これがフラグを回収するってやつか。
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