227 / 250
第14巻発売記念SS
家族が出来ました!
しおりを挟む
どれ位時が経ったのだろう。
誰も来ない場所で二匹は過ごしていた。父と母は悪者から自分たちを守るために居なくなってしまった。
(いつになったらおむかえにきてくれるの?くらいよ……さみしいよ……だれか……だれかたすけて)
いくら外に出たいと願っても、自分でこの暗い場所から出ることは叶わない。寂しさは膨れ上がっていく。
唯一救いだったのは隣り合う存在が自分の半身とも言える事だった。自分も寂しくて辛いが、隣り合う存在も同様に感じているのが伝わってくるのだ。
お互いに励まし合うように時を過ごしていた二匹に、突然未来が開ける事となる。そろそろ自分たちが限界な事に恐怖を感じていると、突然自分たちを護ってくれている場所の空気が変わったのだ。
この場所に大きな力を持つ存在が入ってきた事で二匹は恐怖を感じる。自分たちを害する存在だったらと。
しかしその存在からは全く害意を感じない。それどころか内包する力はとても優しく温かく感じる。もしかしたら自分たちを救ってくれるのではないかとすら感じた。
「この岩に何があるんだ?」
困惑の感情を浮かべる存在に「自分たちはここに居る、助けて!」と届かない手を伸ばす。すると自分へと暖かいものが流れ込んでくる。その温かいものは自分たちが求めていたものだと本能が訴える。そして本能のまま温かいものを自分の中へ迎え入れた。
温かいものを大量に受け入れた瞬間、周りにいる存在の敵意が上がっていった。恐怖を感じて受け入れるのを止めようとすると、大きな存在は周りを落ち着かせ上で自分たちを受け入れてくれる。
「俺は大丈夫。唐突に魔力を吸われたから驚いたけど、これに悪意はない。ただ、エネルギーが不足して危険な領域だったからこそ、緊急的に魔力を吸収しているだけだ」
そう言って自分たちへと暖かいものを流してくれた。それが自分の力となっているのが本能で分かる。弱っていた自分が一気に回復しているのが心地良い。すると真っ暗だった空間に明るさが生まれた。まだ外に出ることはできないが光を感じることが出来たのだ。その時に確信する。目の前にいる存在は自分たちを救ってくれると。
暖かい存在は更に力を分けてくれた。どんどんと自分の力になっていくのが分かる。
そしてついにその時が来る。閉じ込められていた空間に亀裂が入った。亀裂からは一段と眩い光が指し、力を込めて手を伸ばし亀裂を広げた。
(はやく!はやくそとに!)
力いっぱい亀裂を広げると自分の目の前には優し気な人間がいる。すぐに分かった。人間にアピールした。目の前の人間は困惑を浮かべながら他の存在と色々話していて不安になるがすぐに自分たちを優しく受け入れてくれた。
人間はタクマと名乗り、自分や自分の半身に名前をくれた。
「クレナイ」それが自分の名前だという。そして半身は「ヨイヤミ」と名付けられた。名付けられた時にタクマと名乗った人間と確固たるつながりが出来た事を悟る。タクマが自分の主であり、これから自分を護ってくれる親であると。それと同時に自分たちがタクマを護るのだという気持ちも芽生えていた。
タクマはとても優しい。自分たちを優しく撫でてくれる。他の存在もとても暖かい。
受け入れて貰えたあと色々とあったが、タクマは自分たちの願い迄叶えてくれた。自分の敵である存在を倒してくれたのだ。自分たちだけでは出来なかったことを手助けしてくれた。更には父と母にも会えた。一緒に居る事は叶わないと分かると寂しさと悲しさが湧くが、父と母はタクマといれば大丈夫と笑っていた。
「クレナイ、ヨイヤミ。さっきも言ったが俺たちはやる事があってここに来ているんだ。この場所は結界で護られているし安心して良い。だからそろそろ用事を済ませるために移動をしても良いか?」
主は父と母の眠る場所を結界で覆ってくれた。それがとても嬉しいと同時に、自分たちが外へと歩み出す事を理解し大きく頷く。
((またくるね。ばいばい!))
大好きになったタクマ達と共にクレナイとヨイヤミは旅立つのだった……
誰も来ない場所で二匹は過ごしていた。父と母は悪者から自分たちを守るために居なくなってしまった。
(いつになったらおむかえにきてくれるの?くらいよ……さみしいよ……だれか……だれかたすけて)
いくら外に出たいと願っても、自分でこの暗い場所から出ることは叶わない。寂しさは膨れ上がっていく。
唯一救いだったのは隣り合う存在が自分の半身とも言える事だった。自分も寂しくて辛いが、隣り合う存在も同様に感じているのが伝わってくるのだ。
お互いに励まし合うように時を過ごしていた二匹に、突然未来が開ける事となる。そろそろ自分たちが限界な事に恐怖を感じていると、突然自分たちを護ってくれている場所の空気が変わったのだ。
この場所に大きな力を持つ存在が入ってきた事で二匹は恐怖を感じる。自分たちを害する存在だったらと。
しかしその存在からは全く害意を感じない。それどころか内包する力はとても優しく温かく感じる。もしかしたら自分たちを救ってくれるのではないかとすら感じた。
「この岩に何があるんだ?」
困惑の感情を浮かべる存在に「自分たちはここに居る、助けて!」と届かない手を伸ばす。すると自分へと暖かいものが流れ込んでくる。その温かいものは自分たちが求めていたものだと本能が訴える。そして本能のまま温かいものを自分の中へ迎え入れた。
温かいものを大量に受け入れた瞬間、周りにいる存在の敵意が上がっていった。恐怖を感じて受け入れるのを止めようとすると、大きな存在は周りを落ち着かせ上で自分たちを受け入れてくれる。
「俺は大丈夫。唐突に魔力を吸われたから驚いたけど、これに悪意はない。ただ、エネルギーが不足して危険な領域だったからこそ、緊急的に魔力を吸収しているだけだ」
そう言って自分たちへと暖かいものを流してくれた。それが自分の力となっているのが本能で分かる。弱っていた自分が一気に回復しているのが心地良い。すると真っ暗だった空間に明るさが生まれた。まだ外に出ることはできないが光を感じることが出来たのだ。その時に確信する。目の前にいる存在は自分たちを救ってくれると。
暖かい存在は更に力を分けてくれた。どんどんと自分の力になっていくのが分かる。
そしてついにその時が来る。閉じ込められていた空間に亀裂が入った。亀裂からは一段と眩い光が指し、力を込めて手を伸ばし亀裂を広げた。
(はやく!はやくそとに!)
力いっぱい亀裂を広げると自分の目の前には優し気な人間がいる。すぐに分かった。人間にアピールした。目の前の人間は困惑を浮かべながら他の存在と色々話していて不安になるがすぐに自分たちを優しく受け入れてくれた。
人間はタクマと名乗り、自分や自分の半身に名前をくれた。
「クレナイ」それが自分の名前だという。そして半身は「ヨイヤミ」と名付けられた。名付けられた時にタクマと名乗った人間と確固たるつながりが出来た事を悟る。タクマが自分の主であり、これから自分を護ってくれる親であると。それと同時に自分たちがタクマを護るのだという気持ちも芽生えていた。
タクマはとても優しい。自分たちを優しく撫でてくれる。他の存在もとても暖かい。
受け入れて貰えたあと色々とあったが、タクマは自分たちの願い迄叶えてくれた。自分の敵である存在を倒してくれたのだ。自分たちだけでは出来なかったことを手助けしてくれた。更には父と母にも会えた。一緒に居る事は叶わないと分かると寂しさと悲しさが湧くが、父と母はタクマといれば大丈夫と笑っていた。
「クレナイ、ヨイヤミ。さっきも言ったが俺たちはやる事があってここに来ているんだ。この場所は結界で護られているし安心して良い。だからそろそろ用事を済ませるために移動をしても良いか?」
主は父と母の眠る場所を結界で覆ってくれた。それがとても嬉しいと同時に、自分たちが外へと歩み出す事を理解し大きく頷く。
((またくるね。ばいばい!))
大好きになったタクマ達と共にクレナイとヨイヤミは旅立つのだった……
145
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化!
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
霜月雹花
ファンタジー
神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。