お前以外には触らせてないんだよ!

くるむ

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作戦決行の結果

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頭上で腕をプルプルと振るわせて押しあう二人。
だけど、どうやら力の差は歴然としているようで、歯を食いしばって力を籠める和基と違い、羽瀬川の方は涼しい表情だ。
……まあ、それもそのはずなんだけどな。羽瀬川は、空手の有段者だから。

「八神、すまなかったな。和基にはちゃんと説明しておくから、もう行ってもいいよ。飯、まだだろ?」
「あ、はい。すみません」

俺に声を掛けられて、ハッと我に返った表情になった八神は、ぺこりと俺らに挨拶をした後食堂に向かって走って行った。

「あ、おい待てよ!! ……つ、てっ!」

意識が八神に向いた途端、和基の腕の力が抜けたようだ。押し合いっこをしていた拳が離れた途端、羽瀬川に軽く小突かれた。

「もう―! なんなんですか、羽瀬川先輩! 八神逃げちまったじゃないですか!」
「いいんだよ、それで。八神は俺らに頼まれて芝居をしてくれただけだ」
「……え? 芝居? え、な? なに? どういうこと?」

1人だけ話の見えていない和基が、忙しなく俺らの顔を交互に見る。

「ま、青葉に教えてもらえ。青葉、シノと約束してるから先行くぞ」
「え? ちょ、ちょっと待て。は……!?」

慌てて羽瀬川を呼び止めようとして手を伸ばした瞬間、和基にグイッとその手を取られた。

あー……。

チラリと仰ぎ見る和基の表情は、……すごく、怒りに満ちているように見える。
いや、見えるじゃなくて恐らくそうだ。凄い怒りに満ちている。

「青葉さん」
「……なんだ」

和基は捕った俺の腕をグイッと引っ張って、ギラギラした目で俺を見ている。

……ちょっと待て。お前はワンコだよな? 捕食者でもないし、ましてや軍用犬じゃ無いだろう!!
何でそんな目で俺を見るかな?
だいたいもとはと言えば、誰彼構わず愛想を振りまき一年坊主を撫で捲っていたお前が悪いんだろう?

そうだよ!

「元はと言えば、お前が悪いんだろう! どんだけかわいいマネージャーなのか知らないが、笑顔の大安売りで頭撫で繰り回しやがって! だいたいお前は……っ!?」

いろいろ思い出してしまったせいで怒りに火が点いた俺は、鬱憤を晴らさんとばかりに和基にがなり立てていた。その俺の体が、突然宙に浮いてびっくりする。しかも、和基との顔の位置が異常に近い。

「ちょっ、何? お前っ!」
「飯は後です。俺の部屋に走りますから、しっかり掴まっててください」

「はあっ!? ちょっと待て、どういうつもりだ!」

抵抗しようにも力の差は歴然だ。
和基は俺をお姫様抱っこしたまま、凄いスピードで寮へと走った。
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