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第五章

欲しがってる 3

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脱力し、気怠く放心状態の僕をロベールがギュッと抱きしめている。
その安ど感と気持ちの良さでうつらうつらとし始めて、瞼を下ろしかけた。……んだけど。

「ふ……、ああっ。ロ……、ロベール! ちょっ……」

信じらんない!
だって、ロベールったらまだ僕の中に入ったままなんだよ!

「……あ、ん……、ヤッ!」
「気づいてないのか」
「何が……、っ! んん……っ」

ゆっくりと腰を回されて、イったばかりだからなのかやけに僕は敏感に反応させられている。

「お前の甘くて濃いフェロモンが、一向に治まらない。私をもっと欲しがっているのかと思ったんだが」
「バ、バカ! 知らないよ、そんな……、あっ……、んっ! ロベール……!」

ゆるゆると緩慢に動くその刺激に、治まったと思っていた甘い熱がまた簡単にぶり返し始める。

「バカ……、ロベール……、っん……」

怖いくらいに溺れてる。
溺れて……、このままじゃ息も出来なくなるんじゃないかと思うくらい、自分を見失ってしまうんじゃないかと思うくらいに溺れてる。

「……あっ、……うんっ……!」

突き上げられて反射的に高い声が出た。恥ずかしくて閉じていた瞼を開けると、こっちをじっと見ているロベールと目が合った。

真剣な顔、食い入るように僕を見る瞳。
だけど僕と目が合ったことを知ったとたん、凄くうれしそうな甘く蕩けるような表情になった。

「……っ、南!」
「ご、ごめ……、だって……、あっ!」

キュンとしたんだ。あまりにもロベールが幸せそうな顔をしたから。
うれしくて幸せで、思わず体が反応してしまってた。


……それからのロベールは、緩い動きを返上し、我を忘れたかのように僕をむさぼり続けた。


おかげで僕は、しっかりと意識を飛ばしてしまったんだ……。



「南……、南」
「ん……」

肩をゆすりながら僕を呼ぶ声に、重い瞼を開けた。ロベールの綺麗な顔が至近距離にある。
甘えたくなって、抱き着くとキュッと力を込めて抱きしめてくれた。

「そろそろ下に戻るからな」
「……ん」

ああ、そうだった。
下宿が決まってロベールの部屋は一階だった。
母さんたちが起きてきたら拙いものな。

名残惜しいけどそっと離れると、ロベールが髪を撫でてくれた。

「……ロベール、顔色すごく良いみたい。よく眠れたの?」
「ああ……」

僕の問いかけに、ロベールが妖艶に笑う。

「南の甘いフェロモンのおかげだろ。……昨日のあれは、半端なかった」
「ええっ!?」

ボムッと赤くなる僕を楽しそうに一瞥し、ロベールは部屋を出て行った。
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