ドラゴンアース anotherstory ‐死の魔女‐

とと

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悲しみの対峙

6.

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アストとタンクは、迫りくるゾンビ達を回避しながら、パラガスの元へと走った。

暗闇の中、辺りに燃え盛る炎が、パラガスの姿を移した。

「国王は無事だ…」

アストはパラガスの後ろの人物を見て、安堵した。

しかし…、

「あの女はなんダ、宙に浮いとるダ」

走りながらタンクが叫んだ。

「女…?」

アストは、国王とパラガスが見つめる空へと見た。

「ま、まさか…?」

アストが走るのを止めた。

「ミレア…?」

「なんダ、と?」

アストは驚愕した。

「間違いないダ」

タンクも永遠の愛の森の教会で、出会ったミレアを思いだした。

「ミレアが生きてる…」

アストは喜び、走り始めた。

何の疑いもなく…。



「貴様がキーカンバーを操っていたのか…」

国王ルイが怒りを込めて、静かに言った。

「そう…、私がキーカンバーの長き生命を絶ち、屍を操った…」

ミレアが素直に答えた。

よく見ると、闇龍の胸に風穴がポッカリと開いており、内臓らしきものが外へとはみ出していた。

「ドラゴンゾンビか…」

国王ルイを庇うように、前に立つパラガスがボソリとつぶやいた。

辺りには、人型のゾンビが何十もいる。

「ミレア、目的はなんだ?」

国王ルイが、夜空に浮かぶミレアに叫んだ。

何故、アールド王国を攻め、人々を殺害し、遺体をゾンビとしたのか?

「別に王国などどうでもいい…、死体を増やし、十龍を私の下僕としたいだけ…」

ミレアが微笑みを浮かべた。

ルイはその発言に対し、歯を食いしばった。

パラガスはミレアの発言に、放心状態になった。

知っている女性であり、ミレアがそのような発言をするなど、毛頭になかった為に…。

ましてや、かつて愛した女性だからこそ…。

「無念にも死の国ボーライに逝った者達の為にも、成敗してやる、ミレアッ!」

ルイが剣をミレアに掲げ、パラガスの前にと前進した。

「国王っ!」

我に返ったパラガスが制止する。

ミレアは微笑みながら、地へと降り立った。

「この国は、ブディスの森へと行く通り道、キーカンバーの能力を見るのと、軍隊を増やす事」

ミレアが舞う。

「国を愚弄するな、ミレア」

「ルイ、貴方は国と共に死になさい」

ルイがミレアに突進した。

ルイの突き出した剣が、ミレアに向けられた。

ミレアは舞うように剣をかわし、ルイの顔に接近した。

まるでキスを交すかのようなギリギリの距離だ。

「貴方の屍は愚弄しないわ…」

ミレアはルイに微笑んだ。

「貴様っ…」

その瞬間…。

「ぐっふ…」

国王の口から何とも言えぬ、言葉がでた。

「こ、国王!」

パラガスが叫ぶ。

国王の背中から、女性の腕が出ていた。

ミレアの右腕だった。

国王の頑丈な黄金の鎧は役に立たず、背中から大量の血が噴水の如く、噴き出した。

ミレアの手刀は、一撃にして国王の胸を貫いた。

そして…、

アストもその光景を目にした。

「ミ、ミレア…嘘だろ?…」

アストは立ち止まり、その光景を否定した。

ミレアは静かに振り返り、夫となったばかりの男に、冷たく笑みを浮かべた。
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