ドラゴンアース anotherstory ‐死の魔女‐

とと

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ミレアの謎

6.

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「タンク、もうこんな場所逃げましょうよ…」

涙目でペテンが、傷ついたタンクの身体に包帯を巻きながら言った。

先程、黒毛の馬シャムが気絶したタンクを乗せ、木の上に隠れていたペテンが気付き、今、手当をしているところだった。

ペテンが恐怖している理由は、野原の方で、巨大な人型の肉の固まりを目にした為だった。

恐怖しているのはペテンだけでなく、負傷した爬虫類系亜人達もだった。

それぞれの爬虫類系亜人達は、どうする事も出来ず、王国へと逃げていく。

「怖いよ~、怖いよ~」

ペテンは相棒の手当で逃げる事が出来ない。

肉の固まりの巨大な怪物、この上ない恐怖、しかしペテンにとって別の恐怖も感じた。

「えっ?こんな時に地震がくるのかよ~」

天候予知能力をもつペテンが叫ぶように言った。

「えっ、あ、嵐もくるのか~?」

耳長長寿のエルフにとって初めての重なる予知だった。

「ふ、吹雪も?どうなってるんだ~!」

ペテンが狂ったように叫ぶと、突然その場にいたシャムが野原の戦場へと走りだした。

「何処に行くんだよ~」
ペテンの声はシャムに届かなかった。




「こんな奴とどう戦えというんだ…」

死肉の集合体像フレッシュゴーレムを目にし、アストは絶望に恐怖した。

フレッシュゴーレムは、キーカンバーの五倍あり、人型の脚の部分の死体達は、上の重さに耐えれず、血を流しながら潰れてく状態が、まざまざとアスト達に生々しくうつっていた。

キーカンバーはすでにパラガスの魔法により、骨は粉砕され活動を停止しており、ミレアの死の奴隷として使われることは、もうないだろう。

どんなふうに殺されるのだろう。生き残るアストや亜人達は、そんなふうに絶望していた。

「ミレア、これ以上死者達を冒涜するなっ!」

アストは上空に浮くミレアに向かって、怒鳴った。

しかしミレアからは返事はなく、微笑みだけが返ってきた。

そして、フレッシュゴーレムが突如、行動を開始した。

「逃げろ貴様らっ!力の限り逃げろーっ!」

ロッツロットが生き残る部下達に叫ぶ。

しかし、肉の巨像が次々と生き残る爬虫類系亜人を捕らえ、捕まった者達が絶叫しながら、肉の巨像の一部となる。

「止めろミレアーッ!」

「何をしてるアスト、オレの馬に乗れっ!」

「パラガス様っ!」

アストは言われるまま、パラガスの後ろへと乗馬した。

「触れるだけでもやばいな」

「パラガス様、何か方法はないのですか?」

馬をジグザグに走らせながら、二人は逃げている。

「……ある、ミレアを殺せばいい」

「その女は空にいる、貴様の魔法で撃ち落とすか?」

パラガスの答えに口を挟んだのは、ロッツロットだった。

ロッツロットは巧みに蜥蜴馬を操り、パラガスらの元へ近付いてきた。

その時、巨像の脚が血を流しながらも、二つの馬を襲ってきた。

パラガスとロッツロットは瞬時に避け、なんとか危機を回避した。

「ちっ、でかいわりに、素早い…」

アストが舌打ちする。

「アスト、貴方の馬が戻ってきた」

「えっ、シャムが?」

前方よりシャムが駆けて来る。

シャムはアストに気付き、アストとパラガスの乗る馬へと近付いてきた。

「パラガス様、二人乗りはいつかあの怪物に捕まります、ボクはシャムに乗り移ります」

二人の乗る馬が、バテるのは時間の問題だった。

パラガスはその案を承知し、「気をつけろ」とだけ忠告した。

疾走する馬から馬への綱渡り、落ちれば怪我はまのがれない。

二頭の馬は疾走の速度を合わせた。

その時、後ろから肉の巨像の腕が迫ってきた。

「避けろーっ!」

離れた場所でロッツロットが叫ぶ。

慌てて、二頭の馬が離れる。

巨像の腕が大地をえぐる。

「危なかった…」

パラガスがため息をつき、そして再び、二頭の馬が近付く。

「行くぞ、アスト!」

「はいっ!」

アストは近付くシャムに跨がるタイミングを待ち、そしてシャムの背へジャンプした。

しかし突如、シャムとアストに悲劇が襲い掛かった。

天空よりシャム目掛けて飛来した火球が墜ちてきた為に……。

シャムは背中に強い衝撃をうけ、体制を崩し、頭から地面に衝突し、アストはシャムの体が衝撃を吸収してはくれたが、地面に身体ごと、叩きつけられた。

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