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悪夢の一日
3.
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ラッドビード王国の近くで、死肉の集合体巨像が突如おきた大地震のせいで、体制を崩し、地面でもがいていた。
倒れた肉の巨像は、叩きつけられた衝撃により、血だらけとなっていた。
もしかしたらミレアは、ラッドビード王国の南の海を越えるのに、肉の巨像を使い横断しようと考えていたのかもしれない。
「この肉の塊は、我の敵ではない…」
突如、地下から自信に満ちた声がした。
地面はまだ激しく揺れている。
地震だけでなく、吹きすさぶ豪雨、それにまじる吹雪であり、何故か熱帯夜のように暑い。
紛れもない異常気象。
声のした地面が、いきなり異様に盛り上がる。
盛り上がった地面から、肉の巨像の五分の一ほどの土色の生命体が出現した。
身体は巨人。
全身は茶色の鱗に背中には二つの翼、そして首は長く、龍本来の顔をした巨人に似た生命体だった。
「埋めてやろう」
龍の巨人が叫ぶと、両腕を地面に叩きつけた。
龍の巨人は肉の巨像を捉え、肉の巨像の廻りの地面が地割れを起こし、陥没する。
「死体は土に還り、魂は死の国ボーライへ…」
龍の巨人は、肉の巨像の墓穴を造ったのだ。
その時、肉の巨像の廻りに緑色の気体が発生した。
「邪魔をするな!」
龍の巨人が天を向いて、威嚇した。
威嚇の先には、巨大な蜘蛛のような緑色の生命体が浮遊していた。
緑龍フォレストボイスだった。
フォレストボイスの八本脚は、ミレアの霊魂弾禁断魔法により、右前脚を失っていた。
緑龍の放った息吹は、墓穴にもがき動く肉の巨像の身体をどんどんと溶かしていく。
緑の毒息吹。
緑龍フォレストボイス最大の必殺息吹が、肉の巨像をたちまち溶かし、数分後には、バラバラになった骨だけと化した。
ミレアの不気味で最大の肉人形は、龍の巨人と緑龍があっけなく片付けた。
「緑龍よ、少しは気が晴れたか?」
「晴れるはずがない…、女を殺すまで」
龍の巨人の質問に、緑龍は穏やかな口調で殺意を示した。
「地龍よ、その女も我らの同胞の十龍だと?」
「ああ…、会うのは初だがな」
地龍と呼ばれた龍の巨人が答えた。
地龍は、フォレストボイスと同じ龍地球の子と呼ばれた、十龍の一頭であり、暗黒大陸・クーフェにある龍地球最大の面積を持つ、ガー砂漠に生息している。
名を、地龍ガー。
ガー砂漠と同じ名称の名前だった。
ガーには、今はおさまっているが、どうやら地震を起こす能力を秘めているようだ。
「他の十龍達はあの場所にいるな」
「ああ…」
「では我らも行くぞ」
地龍と緑龍は、遠くで異常気象を起こす龍達の姿を目にし、移動を開始した。
「り、龍地球の子……」
双頭の蜥蜴王ロッツロットが、闇の嵐の空を見上げて口にした。
見上げた空には六頭の龍が、ミレアを睨みつけ浮遊していた。
「月龍ムーンフェイス、炎龍デスマシン、海龍バラクーヌ、氷龍ヴァイア、金龍エルソール、そして嵐龍シックルラン…」
ミレアが謳うようにそれぞれの龍の名を口にした。
顔は龍、身体は蟷螂の姿をした紫色の嵐龍に蛸の容姿に伸びる八本の触手の先に龍の頭がある深海色の海龍。
獅子姿で縦髪が炎で燃える赤色の炎龍に、剣歯虎姿の青色の氷龍の二頭は、とても龍には思えない容姿で、かろうじて角と鱗が龍だろうという姿だった。
金龍は蛇に手脚と翼をつけた金色に輝く容姿であり、東洋の地でよく見かける竜の容姿だった。
月龍は、他の十龍の五倍の体長をもち、白銀に輝く容姿であり、これも見ただけで、龍だと解る容姿だった。
「どうやら肉の巨像も葬ったようね…」
後から飛来した地龍と緑龍を目にし、ミレアは微笑んだ。
「別行動をしていた大群の死の奴隷達も葬ったぞ…」
炎龍デスマシンが十龍を代表し、答えた。
真夏でもないのに、この異常な暑さは、炎の縦髪を持つ獅子龍の仕業だ。
盗賊都市に送った死の軍隊か、とミレアは思った。
別に気にした様子を、ミレアは見せなかった。
所詮、ゾンビやスケルトンは捨て駒に過ぎないと言った感じだ。
「命龍よ、何故、闇龍を殺した?」
氷龍ヴァイアが放った。
冬でもないのに、吹雪を降らしているのは、どうやら氷の虎龍の能力のようだ。
吹きすさぶ嵐は、次にミレアが標準と決めた蟷螂姿の嵐龍が造りだした。
彼らのミレアに対する怒りが、天候によって理解できた。
「闇龍には、死の奴隷として貴方達を葬る為、貴方達が生きていると、大きな支障をきたすのよ…」
ミレアは、八頭の龍地球の子に説明するように言い、さらに話しを続けた。
「私は絶対に死ねない龍…、ならば、太古に封印された三つの魔神、深海の帝王神、月の邪神、魔界に捕われし罪神をも倒し、この世界を消滅すれば、私は死ねる」
ミレアの野望が明らかとなった。
「龍地球の支配は遊びよ、龍地球を消滅させれば私を産んだ龍地球の魂が、私を死なせるかも…、それが私が死ねる最後の希望…」
「ははははっ」
突然、月龍が雄叫びに似た叫びをあげる。
「何が可笑しい?ムーンフェイス」
ミレアが十龍一の大きさをもつ月龍を睨みつけた。
「命龍よ、龍地球の魂が復活する事はない……、何故なら、死の国ボーライこそが龍地球の魂なのだからだ」
「な、何だと?」
月龍の発言にミレアは驚愕した。
「創造龍の死体が大地や月を造り、創造龍の魂が死の国ボーライを造ったのだ、貴様が死ねないのなら、今度は私が貴様を封印するまでだ」
ムーンフェイスが宣言した。
その一言で、他の龍達が活動の準備に入った。
ロッツロットは十龍の攻撃のとばっちりをうけないように、蜥蜴馬に乗り込み逃げだす。
「私は…、私は封印されたいのではない!私は死にたいのだ!すべてを破壊し、すべての生命を絶ち私の永遠を終わらせる!」
ミレアが初めて怒鳴った。
「貴様達が束になろうが、私は死ねない!」
ミレアは宙に浮きだした。
「私は龍地球を支配…、消滅するっ!」
ミレアが宣言すると、彼女の廻りに大量の亡霊が召喚された。
倒れた肉の巨像は、叩きつけられた衝撃により、血だらけとなっていた。
もしかしたらミレアは、ラッドビード王国の南の海を越えるのに、肉の巨像を使い横断しようと考えていたのかもしれない。
「この肉の塊は、我の敵ではない…」
突如、地下から自信に満ちた声がした。
地面はまだ激しく揺れている。
地震だけでなく、吹きすさぶ豪雨、それにまじる吹雪であり、何故か熱帯夜のように暑い。
紛れもない異常気象。
声のした地面が、いきなり異様に盛り上がる。
盛り上がった地面から、肉の巨像の五分の一ほどの土色の生命体が出現した。
身体は巨人。
全身は茶色の鱗に背中には二つの翼、そして首は長く、龍本来の顔をした巨人に似た生命体だった。
「埋めてやろう」
龍の巨人が叫ぶと、両腕を地面に叩きつけた。
龍の巨人は肉の巨像を捉え、肉の巨像の廻りの地面が地割れを起こし、陥没する。
「死体は土に還り、魂は死の国ボーライへ…」
龍の巨人は、肉の巨像の墓穴を造ったのだ。
その時、肉の巨像の廻りに緑色の気体が発生した。
「邪魔をするな!」
龍の巨人が天を向いて、威嚇した。
威嚇の先には、巨大な蜘蛛のような緑色の生命体が浮遊していた。
緑龍フォレストボイスだった。
フォレストボイスの八本脚は、ミレアの霊魂弾禁断魔法により、右前脚を失っていた。
緑龍の放った息吹は、墓穴にもがき動く肉の巨像の身体をどんどんと溶かしていく。
緑の毒息吹。
緑龍フォレストボイス最大の必殺息吹が、肉の巨像をたちまち溶かし、数分後には、バラバラになった骨だけと化した。
ミレアの不気味で最大の肉人形は、龍の巨人と緑龍があっけなく片付けた。
「緑龍よ、少しは気が晴れたか?」
「晴れるはずがない…、女を殺すまで」
龍の巨人の質問に、緑龍は穏やかな口調で殺意を示した。
「地龍よ、その女も我らの同胞の十龍だと?」
「ああ…、会うのは初だがな」
地龍と呼ばれた龍の巨人が答えた。
地龍は、フォレストボイスと同じ龍地球の子と呼ばれた、十龍の一頭であり、暗黒大陸・クーフェにある龍地球最大の面積を持つ、ガー砂漠に生息している。
名を、地龍ガー。
ガー砂漠と同じ名称の名前だった。
ガーには、今はおさまっているが、どうやら地震を起こす能力を秘めているようだ。
「他の十龍達はあの場所にいるな」
「ああ…」
「では我らも行くぞ」
地龍と緑龍は、遠くで異常気象を起こす龍達の姿を目にし、移動を開始した。
「り、龍地球の子……」
双頭の蜥蜴王ロッツロットが、闇の嵐の空を見上げて口にした。
見上げた空には六頭の龍が、ミレアを睨みつけ浮遊していた。
「月龍ムーンフェイス、炎龍デスマシン、海龍バラクーヌ、氷龍ヴァイア、金龍エルソール、そして嵐龍シックルラン…」
ミレアが謳うようにそれぞれの龍の名を口にした。
顔は龍、身体は蟷螂の姿をした紫色の嵐龍に蛸の容姿に伸びる八本の触手の先に龍の頭がある深海色の海龍。
獅子姿で縦髪が炎で燃える赤色の炎龍に、剣歯虎姿の青色の氷龍の二頭は、とても龍には思えない容姿で、かろうじて角と鱗が龍だろうという姿だった。
金龍は蛇に手脚と翼をつけた金色に輝く容姿であり、東洋の地でよく見かける竜の容姿だった。
月龍は、他の十龍の五倍の体長をもち、白銀に輝く容姿であり、これも見ただけで、龍だと解る容姿だった。
「どうやら肉の巨像も葬ったようね…」
後から飛来した地龍と緑龍を目にし、ミレアは微笑んだ。
「別行動をしていた大群の死の奴隷達も葬ったぞ…」
炎龍デスマシンが十龍を代表し、答えた。
真夏でもないのに、この異常な暑さは、炎の縦髪を持つ獅子龍の仕業だ。
盗賊都市に送った死の軍隊か、とミレアは思った。
別に気にした様子を、ミレアは見せなかった。
所詮、ゾンビやスケルトンは捨て駒に過ぎないと言った感じだ。
「命龍よ、何故、闇龍を殺した?」
氷龍ヴァイアが放った。
冬でもないのに、吹雪を降らしているのは、どうやら氷の虎龍の能力のようだ。
吹きすさぶ嵐は、次にミレアが標準と決めた蟷螂姿の嵐龍が造りだした。
彼らのミレアに対する怒りが、天候によって理解できた。
「闇龍には、死の奴隷として貴方達を葬る為、貴方達が生きていると、大きな支障をきたすのよ…」
ミレアは、八頭の龍地球の子に説明するように言い、さらに話しを続けた。
「私は絶対に死ねない龍…、ならば、太古に封印された三つの魔神、深海の帝王神、月の邪神、魔界に捕われし罪神をも倒し、この世界を消滅すれば、私は死ねる」
ミレアの野望が明らかとなった。
「龍地球の支配は遊びよ、龍地球を消滅させれば私を産んだ龍地球の魂が、私を死なせるかも…、それが私が死ねる最後の希望…」
「ははははっ」
突然、月龍が雄叫びに似た叫びをあげる。
「何が可笑しい?ムーンフェイス」
ミレアが十龍一の大きさをもつ月龍を睨みつけた。
「命龍よ、龍地球の魂が復活する事はない……、何故なら、死の国ボーライこそが龍地球の魂なのだからだ」
「な、何だと?」
月龍の発言にミレアは驚愕した。
「創造龍の死体が大地や月を造り、創造龍の魂が死の国ボーライを造ったのだ、貴様が死ねないのなら、今度は私が貴様を封印するまでだ」
ムーンフェイスが宣言した。
その一言で、他の龍達が活動の準備に入った。
ロッツロットは十龍の攻撃のとばっちりをうけないように、蜥蜴馬に乗り込み逃げだす。
「私は…、私は封印されたいのではない!私は死にたいのだ!すべてを破壊し、すべての生命を絶ち私の永遠を終わらせる!」
ミレアが初めて怒鳴った。
「貴様達が束になろうが、私は死ねない!」
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