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第四章
魔王城の危機
しおりを挟むズドン――と、ドアを破壊する音が魔王城に響く。
侵略者が入ってきた合図だ。
「あわわわゎゎ……なんか入ってきてる……」
「ソ、ソフィア様、落ち着いてください! こんな時こそ冷静になるのです!」
「れ、冷静になれって言われても、もう遅いよぉ! 怖い人たちが入ってきたんだよ!?」
ソフィアとレレーナは、ベッドの上で取っ組みあっていた状態から、フリーの状態に戻る。
こんなことをしている場合ではないと気付いたのだろう。
「多分戦っても勝てないことは分かります。ここは逃げるべきです!」
「う、うん! そうしよう!」
ソフィアと違って、なんとか冷静を保っていたレレーナは、今から逃げることが最善だと悟り、逃げ出す準備をする。
ソフィアもあたふたしながら、頑張ってついてきているようだった。
パジャマすら着替える暇がないため、ソフィアは動きにくそうな服装で部屋を出る。
「レレーナちゃん! 私たちってこれからどこに逃げるの!?」
「そんなの分かりません! 森の中で野宿でもするしかないです!」
「ひぇぇぇー!? 野宿なんて危ないよー!?」
「ここにいる方がもっと危ないですから! ソフィア様は黙って付いてきてください!」
「う、うん!」
ソフィアとレレーナは走っていた。
スラッとして健康的なレレーナは、素早く動くことができるが、普段から運動していないソフィアは、レレーナに付いていくだけで精一杯だ。
レレーナが何度も止まって、ソフィアに合わせているため、想像以上に時間がかかってしまう。
「あ、ここにいましたよ。マイマスター」
「お、本当だ」
「やっと見つけたのじゃ、この魔王が」
「良かったね、エルネお姉ちゃん」
ソフィアとレレーナの健闘むなしく、廊下で鉢合わせになったのは、例の侵略者たちだった。
しかも、人数は四人である。
どう戦っても勝ち目はないだろう。
「ひゃあぁぁぁ!? 見つかっちゃったよ! レレーナちゃん!」
「くっ! ソフィア様、ここは私が食い止めますから、早く一人で逃げてください!」
「そんな! レレーナちゃんを置いて逃げれるわけないよ! それに、私一人じゃ何もできないもん!」
レレーナは、ソフィアをドンと突き飛ばして侵略者たちに立ち向かう。
完全に死ぬ覚悟ができていた。
防御に徹しており、時間を稼ぐためだけの構えだ。
「マイマスター、この人たち悪い人じゃない気がするんですけど」
「リリもそう思う」
「奇遇だな、俺もだ」
「こやつらが魔王……?」
侵略者たちが襲う気配は、全くと言っていいほどなかった。
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