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危険な恋
29話
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次の日。
値段も手頃なホテルのベットから、起き出した。隣で寝ている奈々川さんをそのままに、私はクローゼットの自分の服を取り出した。
中にはピースメーカーより大型拳銃のS&W500を宿していた……。
「おはようございます」
奈々川さんがゆっくり起き出し、テーブルに置いてある朝食を見て喜んだ。
「夜鶴さん。これって?」
「ああ。食べよう」
私は奈々川さんと向かいの席に着くと、早速料理を吟味した。
幾つものスライスされたフランスパンにシーザーサラダ。洋ナシのヨーグルト。グレープジュース。それと、一番高かった最高級のチーズをふんだんに使ったチーズフォンデュ。
いつものコンビニ弁当ではない。……奮発した…………。
「いよいよ、今日ですね……。私、どれくらい父の顔を見てないのかしら……」
「ああ」
奈々川さんが真剣な表情で私を見つめる。
「もう、君は決して一人ではないよ……」
「……そうですね。私には夜鶴さんがいます」
「それと、島田たちもいる……。結婚を何とか成功させよう」
「そうです。ハイブラウシティ・Bがもう進行してしまっているかも知れないでしょうけど……私たちで何とかしないといけません。今から行きましょう……首相官邸へ……」
車中。
「そういえば、君のお母さんはどうしているの?」
「ええ……小さい頃に亡くなったのです……」
助手席の奈々川さんが下を向く。
「私は一人っ子でもあります」
「ああ。それは悲しいことだよね……俺も一人っ子さ」
「でも、夜鶴さんには島田さんたちがいます」
「ああ……」
車は云話事シーサイドから国道30号線を走る。
首相官邸はまだまだ先だ。
恐らく、警護が厳しく中に入ることは簡単には想像できない。けれど、奈々川さんが何とかしてくれるだろう。
「夜鶴さん。もし、私が上手くいかなかったらですけど……逃げて下さい」
奈々川さんは車の前方を見ながら語気を強めた。
「え?」
「私……父とあまり接していないのです。実は……」
「君は父親には優しいところがあると、前に言ったじゃないか?」
「ええ。嘘ではないです。でも、父は時々、私にはまったく解らない目をする時があるんです」
奈々川さんが私の方を向いた。
「怖い?」
「いえ……。とは言えないですね。正直、怖いです。父は厳しいところもあって、たまに人の命を顧みない時もあるんです。でも、きっと解ってくれるとは思いますけど……。」
彼女は箱入り娘だからか? きっと、父親を美化してしまっていたのだろうか? いや、現実を受け止める心の強さがあるはず……どちらにしても、危険を承知で行くしかないか。
途中、ガソリンスタンドで休憩をした。
電話で仕事先と島田に連絡をして、しばらく仕事は休むことにしたと言った。
「夜鶴―! 俺も連れていけー!」
と島田だ。
田場さんにも同じことを言われたが、無理だった。
ガソリンスタンドの喫茶店には、背広姿の客が二人いた。カウンター席にいる。私たちは窓際のテーブル席に落ち着いた。
ネズミを思わせる髭面のマスターにコーヒーを注文すると、私は口を開いた。
「奈々川さん。君は何時頃家出したの?」
「確か二年前です」
奈々川さんが俯いた。
「あの家は君の?」
「ええ。空き家だったので、大屋さんを呼んだら契約してしまって」
「お金は家から持って来たんだ?」
奈々川さんが頷いた。
「私……家から貯金を一億ほど父に内緒で下ろしてきたんです」
い……一億も……。か……金って、一体?
「そういえば、奈々川さんはハイブラウシティ・Bのことをどこで知ったの?」
「何年も前です。夜、父にコーヒーを淹れて、父の書斎へ行ったら机の上で父が感心していました。都市開発企画書類を見つめて、この方法なら私の目的も達成できると……」
「その都市開発企画書類が……」
「ええ……。ハイブラウシティ・Bです。それと矢多辺さんにも言われたんです。父と目的が一緒になったと言ってました。今の都市開発プロジェクトが一変するとも言っていました」
コーヒーがきた。
値段も手頃なホテルのベットから、起き出した。隣で寝ている奈々川さんをそのままに、私はクローゼットの自分の服を取り出した。
中にはピースメーカーより大型拳銃のS&W500を宿していた……。
「おはようございます」
奈々川さんがゆっくり起き出し、テーブルに置いてある朝食を見て喜んだ。
「夜鶴さん。これって?」
「ああ。食べよう」
私は奈々川さんと向かいの席に着くと、早速料理を吟味した。
幾つものスライスされたフランスパンにシーザーサラダ。洋ナシのヨーグルト。グレープジュース。それと、一番高かった最高級のチーズをふんだんに使ったチーズフォンデュ。
いつものコンビニ弁当ではない。……奮発した…………。
「いよいよ、今日ですね……。私、どれくらい父の顔を見てないのかしら……」
「ああ」
奈々川さんが真剣な表情で私を見つめる。
「もう、君は決して一人ではないよ……」
「……そうですね。私には夜鶴さんがいます」
「それと、島田たちもいる……。結婚を何とか成功させよう」
「そうです。ハイブラウシティ・Bがもう進行してしまっているかも知れないでしょうけど……私たちで何とかしないといけません。今から行きましょう……首相官邸へ……」
車中。
「そういえば、君のお母さんはどうしているの?」
「ええ……小さい頃に亡くなったのです……」
助手席の奈々川さんが下を向く。
「私は一人っ子でもあります」
「ああ。それは悲しいことだよね……俺も一人っ子さ」
「でも、夜鶴さんには島田さんたちがいます」
「ああ……」
車は云話事シーサイドから国道30号線を走る。
首相官邸はまだまだ先だ。
恐らく、警護が厳しく中に入ることは簡単には想像できない。けれど、奈々川さんが何とかしてくれるだろう。
「夜鶴さん。もし、私が上手くいかなかったらですけど……逃げて下さい」
奈々川さんは車の前方を見ながら語気を強めた。
「え?」
「私……父とあまり接していないのです。実は……」
「君は父親には優しいところがあると、前に言ったじゃないか?」
「ええ。嘘ではないです。でも、父は時々、私にはまったく解らない目をする時があるんです」
奈々川さんが私の方を向いた。
「怖い?」
「いえ……。とは言えないですね。正直、怖いです。父は厳しいところもあって、たまに人の命を顧みない時もあるんです。でも、きっと解ってくれるとは思いますけど……。」
彼女は箱入り娘だからか? きっと、父親を美化してしまっていたのだろうか? いや、現実を受け止める心の強さがあるはず……どちらにしても、危険を承知で行くしかないか。
途中、ガソリンスタンドで休憩をした。
電話で仕事先と島田に連絡をして、しばらく仕事は休むことにしたと言った。
「夜鶴―! 俺も連れていけー!」
と島田だ。
田場さんにも同じことを言われたが、無理だった。
ガソリンスタンドの喫茶店には、背広姿の客が二人いた。カウンター席にいる。私たちは窓際のテーブル席に落ち着いた。
ネズミを思わせる髭面のマスターにコーヒーを注文すると、私は口を開いた。
「奈々川さん。君は何時頃家出したの?」
「確か二年前です」
奈々川さんが俯いた。
「あの家は君の?」
「ええ。空き家だったので、大屋さんを呼んだら契約してしまって」
「お金は家から持って来たんだ?」
奈々川さんが頷いた。
「私……家から貯金を一億ほど父に内緒で下ろしてきたんです」
い……一億も……。か……金って、一体?
「そういえば、奈々川さんはハイブラウシティ・Bのことをどこで知ったの?」
「何年も前です。夜、父にコーヒーを淹れて、父の書斎へ行ったら机の上で父が感心していました。都市開発企画書類を見つめて、この方法なら私の目的も達成できると……」
「その都市開発企画書類が……」
「ええ……。ハイブラウシティ・Bです。それと矢多辺さんにも言われたんです。父と目的が一緒になったと言ってました。今の都市開発プロジェクトが一変するとも言っていました」
コーヒーがきた。
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