【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏

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国内無双編

支えてるやつが一番ヤバい奴

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 「よし」

 「言うな、なんでだよ」

 震えて涙を流すよしの肩を組んで、棺桶に入っている両親を一緒に見つめる。

 「一緒に返していこうって⋯⋯何度も会って説得したじゃんか」
 
 背中をさすり。

 「お兄ちゃん、もう1時間もいるじゃない」

 花南ちゃんの声を聞き俺は振り返る。

 参列しているのは誰一人おらず、いるのは俺達三人だけ。

 親戚も株も手に入らない、遺されたものがないのを知ると他人事だ。

 「くっそ、自死って⋯⋯プライドがそんな大事かよ⋯⋯」


 ーーごめんなさい!美智に何か言われたの!?
 ーーた、担保の株式はすぐに渡す!!だ、だから!!


 「よし、大丈夫だ。これからは兄妹で生きていける」

 「そんな簡単に言うなっての。ずズッ⋯⋯くそっ」


 ーーぎゃぁぁぁ!!眼が!!眼がァァァ!!


 フラフラなよしを花南ちゃんが預かってこの場を去る。 
 
 無音となったこの場で、俺は棺桶見下ろす。


 ーーもう、もうやめてぇぇぇぇ!!皮がぁ!ァァァあぁ!!!

 「⋯⋯⋯⋯」

 ーー頼む!じゃのむ!!美智代だけは!!もう爪もない!!歯もないじゃないか!!私達が何をしたっていうんだ!!!

 「⋯⋯⋯⋯」


 ーーざっきー!俺はな?人生どんな逆境も跳ね返せるように出来てる!

 俺らみたいな奴にこそ、輝ける場所があるんだぜ!

 それを人は、人生って言うんだ!


 「⋯⋯⋯⋯」

 ーー美智代⋯⋯美智代ぉぉぉぉお!お前!人間か!?スコップで突き刺すなんてどうかしてる!!

 「⋯⋯⋯⋯」

 ーーざっきーが幸せになったら、いつかダブル夫婦でBBQとかも良いかもな!

 「⋯⋯⋯⋯」

 ーーゥェ⋯⋯ヒョ⋯⋯ヒュウ⋯⋯ピィ⋯⋯


 無言で見下ろしていた俺の頭には、あの時の夫婦の断末魔がこの棺桶から聞こえるようだ。

 だがなんとも思わない。
 むしろ心地良い。

 「契約は終わりだ。
 お前らの代価はしっかり払い終わった。
 ⋯⋯200億分のな」

 俺は背を向け。

 「逝ってらっしゃい──俺も、いつか合流するからよ」

 人は、いつか死ぬものだ。
 俺もこの運命が長く続くなんて思ってない。

 ただ、人の理から外れた者として、いつか来る終わりを。

 「ふっ。この俺が良い奴だと思ってる奴らの頭の中が気になる」

 何人殺したと思ってる。
 どれだけの断末を。
 どれだけの人生を。
 どれだけ凄惨な現場を目撃したことか。

 ん?

 スマホが鳴る。

 「俺だ」

 『城山です!伊崎さん、お時間はありますでしょうか?』

 「勿論。ちょうど親友の両親の葬式が終わったので」

 『⋯⋯なら、また掛け直しますよ!』

 「いえ。最期の挨拶も出来ましたので問題ないです。

 なんで死んだのかもわからないので」

 『⋯⋯っ。そ、そうですか!それでは遣いを送りますのでお待ちしています!』

 電話を切り、ポケットにしまう。

 「人並みに生きてれば、こんな目に遭わずに済んだのにな?」

 そう言い残して俺は、外に出るとよし兄妹を送り届け、遣いの車に乗り込んだ。






 「っ、伊崎さん!遥々お越しくださり感謝いたします!!」

 豪華な扉を通り抜けると、サミット会議のような長いテーブル。

 席は全席埋まっており、立ち上がって一斉に頭を下げてくる。

 「株式の振り分けは終わったか?」

 「勿論です!平等に⋯⋯そう仰いましたよね」

 「よいしょ。そうだ。
 財閥解体はよろしくないのは均衡的にも理解している。

 だが、誰かに偏るのは良くない⋯⋯全員理解しているな?」

 無言の眼差しだが、俺の意味を理解はしている。

 「今まで肩身の狭い人間も居ただろう。
 そして今度は自分たちが⋯⋯悪くない。
 
 だがしかしそれでは、連鎖を繰り返すだけ⋯⋯違うか?」

 「は、はい!勿論です!」

 「誰にだって能力があればそれ相応の価値を与え、享受すべきだ。

 "先代は可哀想なことに、恵まれなかったらしい"」

 全員の顔が嘘みたい真っ白だ。
 何故だ?

 「俺は関与しないが、あのビルを俺に譲渡した事を条件に好きにしてもらって構わない。

 報道関連を操作して時間差で流したのは英断だ。

 まさか被害者が増えるなんて思ってもなかった」

 「はい!それはこちらの美香の案でして!」

 「は、初めまして!!」

 キレイな女性だ。

 「奥さんか?」

 「はい!私の妻でして」

 「励むと良い。
 世の中感情でどうなるか決まる事もある。
 こうしてみんなの視線を浴びる事も、敵を作ることになりかねない」

 「そ、そのお言葉、懐にしまわせていただきます」

 「あぁ。相続だなんだと色々大変だろう。
 今度知り合いのアイドルライブでも行ってくるといい。

 "好き"だろう?」

 「は、はい!」

 「っ⋯⋯」

 妻は能力としては正直で自分の事になると頭が悪い。

 旦那は直感が鋭いし、理屈的にも理解できている。

 相性は悪くないか。

 「中々良い夫婦のようだ。
 末永く過ごせるようにビジネスは"上手く"やらないと」

 「⋯⋯勿論です!」

 "まだまだ"だな。
 隠していることが丸わかりだ。

 「そうだ。
 城山財閥では不動産をメインに行っているよな?」

 「はい!」

 「勿論良い値で払わせてもらうが、今度欲しいものがあってな。

 条件を提示するから納得したらサインをして欲しい。

 相場の3倍は出すつもりだ」

 「さ、三倍ですか!?」

 「あぁ。財閥相手に取引するのだからそれくらいは気前良く払わないとな」

 「あ、あははは⋯⋯」

 「折角招待してもらったのだから、食事をさせてもらうよ」

 マットの上に並ぶポタージュ。

 「うん。美味いな」

 「お、お気に召していただけたようで」

 ⋯⋯⋯⋯。

 「ここのシェフはいるのか?」

 「はい?」

 「シェフは?」

 「⋯⋯っ、はい」

 














 「はぁ⋯⋯清々しい程気持ち良い」

 気持ちが良い。
 いい加減うんざりしてたんだ。
 平和も。

 人生には上がり下がりがないとな。

 「@@⊃》→@→→@"⊃《《》!!!!」

 「ん?痛いか?」

 なんだ。活きがいいから結構持つかなと思ったが。

 「ほら、息子の※※だぞ?」

 「キェェェェェェェェ!!!!」

 「あー⋯⋯人が発して良い返事じゃねぇな」

 んだよ。
 折角舐めた口聞いたんだから矯正しようとしただけなのに。

 「っあ、あァ来るな!!!」

 4人。

 「お前だな?」

 「えっ?」

 撃つ。

 「ガァァァァァァァァァァアァ!」

 「な、なんだよ!!ビーム!?なんだよ!!」

 「オイオイ、木の根っこがひっくり返っちまうよ」

 下を見ると、4人の顔が真っ青になっていくのが見える。

 「嘘みたいに静かになるな?」

 あぁ。そりゃそうか。
 両親のアレがあるから当然か。

 「な、なぁ?」

 「ん?どうした?」

 「なんで⋯⋯こんな事するんだ?」

 「なんで?」

 よしの妹。
 そう。既視感があった。

 何故だろう?
 そう思った時、俺の神代ペットと一緒にいた女の中に、居た気がした。

 そう。
 よしはきっとそれを知らずに頑張っていた。
 
 「お前たちは運命論は知っているか?」

 「運命⋯⋯論?」

 「そうだ。
 俺達の人生は予め全て決まっている。 

 俺がこうしてお前たちに非人道的な事をすることも。

 お前たちが将来とんでもない化物に進化して、様々な悪行の限りを尽くすことも。

 最初から決まっている」

 「そ、そんなことないだろ。
 じゃあ俺達は既に決まっている未来を進んでいるってことかよ?」

 「結果はどうでも良い。

 ただ、俺としては、世界はこれだけ広いのに、人生に関わる人物は意外と世間が狭いということに気付いた。

 だから、そう。
 人生は刺激に満ち溢れている」

 「な、何言って⋯⋯」

 刺す。

 「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ウ゛」

 「ただの嗜虐だ。
 いや?違うか。

 俺の身内に手を出した⋯⋯それが答えか」

 「主ぃー」

 「おう、ありがとよ」

 んー。
 こうして、感情を知る事も魂に必要な事だ。

 「ガッ──ッギァァァァァァァァッハハハハハハハ」

 「痛いな?笑ってるぞ?目から何か出てる出てる」

 「ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛ハ゛」

 そう。これで良い。
 コイツも。家族も。
 全てが敵だ。

 「主ぃ?」

 「ん?」

 「これどうするの?」

 「何時でも消せる。
 喰いたきゃいくらでも喰っていい」

 「やった!食べよ!!」

 「ぁ⋯⋯なんだよ!オマ!!」

 「け⋯⋯ぁ」

 とりあえず俺の周りの敵はかなり減ったのか?

 まぁ。とりあえず何かをするような奴は全員消さないとな。
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