【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏

文字の大きさ
173 / 247
世界征服編

真我

しおりを挟む
 そもそも。
 どうやって連れてきたのか?って話になるのだが。

 実に簡単だ。
 カネをやるからという条件と、ギャングにいる下っ端を呼びつけただけだ。

 集まった人数は500人ほど。
 資源は俺の前では関係ないのでコスト面はどうでもいい。

 「ブラックwwwww」

 白人の少年。
 そこそこ美男子な彼は膝をかっぴらいて座りつつ、お隣の黒人サイドの方見ながら煽る。

 「テメェなんだと!?」

 「ブラックが調子にのんなよ」

 ガタッと両者全員が立ち上がろうとする。
 集めてすぐに喧嘩か。

 ──だが。
 
 「座れ」

 「「⋯⋯ッ!?」」

 感知もできない俺の威圧感に二人はビビって座り直した。

 「なんだ?
 金も稼げなければ人種や肌の色でしか人を中傷出来ないガキが──一丁前に偉い態度じゃないか」

 「あ? 
 こんだけ集めておいてなんの用だよアジア人」

 足を組み、髪をいじりながら言うと。

 「威張って年上だからああ言えばいいんだって思ってるんだろ」
 「だからムカつくんだよなああいう奴って」

 同調する白人の子供。
 一瞬で燃え上がり、スピーカーかと勘違いするほどだ。
 
 なるほど。あのガキがリーダー格か。

 人相からしてそうか。
 あんだけドヤ顔で座っていれば、誰でも分かるか。

 「今日はディベートとは言ったが、実のところ俺は知りたくてこんな真似をした」

 どっちサイドも俺の言葉を聞いた瞬間、一気に静まり、俺に視線は集中する。

 「へぇ?
 アジア人がこんな真似して平気な力を持ってるから何を言うのかと思えば──なんだよ、その知りたいってのは」

 拒否権もねぇんだからな、と少年は嘲笑混じりに指を弄っている。

 「⋯⋯まずは形式上呼ばせてもらうが、白人である君達は何をもって黒人を差別する?」

 分かりやすくそう訊ねると。

 「ハッ、オイあのアジア人⋯⋯頭が悪いらしいぜ」
 
 「⋯⋯っ」

 白人サイドはエラい盛り上がっている。
 黒人サイドの方はだんまり。

 「頭が悪い。なるほど?
 お前が俺より頭が良いとは到底思えないが、一応聞こう」

 「そういう生き物だろう?
 歴史がそう言ってるらしいじゃん?

 それに、映画やそこら中で犯罪をしているほとんどは黒人だ。

 それがわかったら問題ないんじゃないのか? 

 だから差別されて当然なんだよ」

 聞いた俺は黒人の子供たちへと向き、問う。

 「何か言いたいことがある者は。
 あくまで感情的ではなく、言葉で戦え」

 「それを言ったら白人も変わらないと思う」

 手を上げながら発言を始めたのはヴェンルヒ。

 「あ!?」

 「話が終わるまでは黙ってろ」

 「⋯⋯チッ」

 俺が言うまで聞く耳を持たない。
 コイツ、一々突っかかってくるな。

 「白人だって差別されて当然と言いながら差別されても良いことをしているし、犯罪者特集で見る時も、白人の数も相当数いる。

 大きく俺達黒人が劣ってたり手を染めている可能性は低いよ。

 それでももしいるんだとしたら、それは白人が差別しているから這い上がれないようにしてるだけだ!

 俺達にビビってるんだ!!」

 中々饒舌に語るヴェンルヒが言い放つと、周りにいる黒人達は大盛り上がり。

 対してあのリーダー格は今にもキレそうな勢いでこめかみに血管が浮き出ている。

 「なるほど」
  
 俺は別にどちらの味方でもないなら、挟まないとな。

 「つまりどちらもそこまで変わらないということか?」

 「あァ!?
 変わるって言ってんだよ!
 ブラックがほとんどの悪さを占めてるのは明白だ!」

 「でも事実、白人の圧力によって黒人が割りを食っているという話は別に今に始まったことではない」

 「っ。だから、俺の親は黒人の男たちに犯されて病んでドラッグに走ったんだよ!!」

 自分の座る椅子を蹴り飛ばし、俺の方へ近づいてくるリーダー格。

 「⋯⋯それで?」

 「ァ?理由は明白だろうが。
 今でも黒人を見ると泣き叫んであんな人種いなければ良かったのにって言ってんだよ!!!

 そんな奴らゴマンといる!」

 「ふざけんなよ!!」

 割って入るのはヴェンルヒとオルフ。

 「俺達だって白人の連中に一生生きていけないようにされるような子供がいるんだぞ!!

 大多数の大人たちが俺達黒人を見る度にこう言うんだ!

 お前らみたいなのが存在してるから世の中犯罪者が湧くんだってな!!!」

 「そうだ!ヴェンルヒの言う通りだ!

 白人の女を犯している面もあるのは事実だが、それは世界中の人間が同じことをしている!!

 ──俺達黒人に限ったことではない!

 それに、白人が性に使われているのだとしたら、俺達が暴力を振るわれてるのはどう考えるんだ!?

 骨を折られて泣いてる兄弟を見た奴がいる、片目を遊びで見えなくさせて歩くのが困難になったやつがいる!!

 だから何してもいいのか!?
 ふざけんな!!」

 両者を囲う声も大きくなっていく。

 「そこまで」

 発生に必要な魔力を使い、俺は口を挟む。

 一番最初に見せつけたのが良かったのか、場は嵐が過ぎ去ったようにだんまり。

 「熱くなるのは当然だ。
 まとめると、白人は黒人たちに性的に利用されている事に加えて犯罪が多い。

 そして黒人の言い分は性的以外の事で利用され犯罪に使われている。

 ⋯⋯こういう事だな?」

 アイコンタクトをとる。

 「他にもあるだろうが、一旦は大きく分けてこのように捉えられる。

 では、ここでお互いの言い分を聞いたのだが、訊ねる。

 ──誰が敵なんだ?」

 溜めに溜め、俺は重要な問いを投げる。

 「だ、だから⋯⋯っ!」

 「しかしお前の母親は被害者であると同時に、お前は加害者になった」

 「⋯⋯っ!」

 「そうしてお前の行いは黒人の行動に火をつけた。

 結果、お前の周りにいる連中の様々な理由があって連続して日々敵というぼやけて見えない敵を生んでいる、というわけだな」

 「俺達が悪いのか!?」

 「⋯⋯俺は一言でもそう言ったか?」

 「だから⋯⋯!」

 「黒人も被害者であると同時に、加害者でもある」

 視線を送ると、全員が俯く。

 「もう一度問う──敵は、どこに居る?」

 全員が沈黙。

 「そこの白人の少年。名前は」

 「⋯⋯⋯⋯アレクシア」

 ボソッと呟くアレクシアに俺は言う。

 「アレクシア、お前に問う。
 お前の行いで被害を浴びた奴らがお前への怒りや差別でお前の周りにいる大事な仲間や家族を殺されたら何と言う」

 「そ、それは」

 髪をムシャクシャしながら掻きむしっている。

 「なんなんだよ!
 知りてぇだけなんじゃねぇのかよ!」

 「そうだな。
 ただ、俺は説教や何かを説きたい訳ではない」

 「は?」

 「現実を見ろ。
 そして、本当にお前たちが安易な答えの結果──その先に待つ未来。

 ⋯⋯それはお前が、お前たちが望んだ未来なのかをよく考えろ。

 金が稼げないから人から奪う。
 結果、後に何かしらの形でお前たちの前に現れるだろう。

 その時、お前たちはこう思う。
 「あの時こうしていなければ。」

 しかし人間という醜い生き物はそれすらを肯定しようとする。

 "俺は悪くなかったと"。

 死ぬ間際になって理解したつもりになる者は多い。

 大人のほとんどが今そうだ。
 だが、そんなものはクソ喰らえだろう。

 今気づけ。
 そして、その執念を相手ではなく、自分の魂を燃やす原動力として動かせ」

 気付けば俺の言葉を聞こうとしてくれている子供たちが俺を見上げていた。

 「今の大人達はお前たちの成れの果てと知れ。

 安易な結果に走った結果──女を犯すことに躊躇がなく、人を殺すことに躊躇がなく、奪う事に必死になっている者。

 お前たちが手本となる人間が周りにいない」

 「じゃあどうすんだよ?
 金はねぇ!家はねぇ!
 学もなければ生きる希望もねぇ!!」

 「その為の一歩として、お前たちは今日、ここでお互いが敵ではないということに薄々気付いてきたんじゃないか?」

 睨みつけるだけで反論しようとしないアレクシア。

 「そうだろう?
 何度も言うが、俺は説教がしたいのではない。
 
 お前たちが差別するのはどれだけ安易で、愚かで、そして──悲しい事かを言いに来た。

 そして敵という概念をどう見ているかを知りに来たのだ」

 両サイドとも、視線をそらし、でも耳は聞いているのが分かる。

 「俺は、敵は人間の心であり、そしてそれを分からないまま利用している俺達人間のせいではないかと思うのだが」

 「「⋯⋯⋯⋯チッ」」

 「それを──今日薄々気付いた事は大きい。
 俺はこれから毎日、お前たちに最低限必要な常識と勉学を教えてやる事にする。

 上から目線は当たり前だ。
 見てられないから変えてやることにする。

 お前たちが争っている幼稚な理由を、俺がぶち壊しにきたんだからな」
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~

虎柄トラ
ファンタジー
 下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。  意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。  女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。  敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。  剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。  一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。  快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

処理中です...