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世界征服編
侵
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「伊崎さん、最近何処かへよく出かけますね」
朝風呂上がり、着替えていると通訳に声をかけられる。
「ん、ドライヤー頼む」
「はい」
溜息を吐きながらも嫌々俺の髪を乾かしだす。
「また変な事してないですよね?」
「⋯⋯それはどういう事だ?」
おぉ。
石田の野郎、イベント頑張ってんじゃないの。
俺ももっとやっていかないとな。
「おぉ」
しかも、狂人会がドンドン伸びてんな。
俺の総合力は1000万で、アイツが680万。
⋯⋯結構縮めてきてるじゃないの。
「聞いてます?」
「ん?なんて?」
「また面倒事を増やしてるなんてことはないですよね?」
「何を言ってるんだ。
面倒事なんて増やすわけないだろ」
メールを覗くと、澪奈から自撮り。
"今海外なんでしょ?お土産よろぴ"
「⋯⋯んん。黒か」
あれ?千紘たちも送ってくるな。
なんか合わせて送ってくれるなんて⋯⋯俺はツイてるな。
なんだ、発情しちゃうんだが?
「え?何が黒ですって?」
「黙って乾かしとけ」
*
「それで今日は?」
「ん?」
「いや、珍しくしっかりとした服装じゃないですか」
全身鏡の前で襟を正す。
そんな今日、俺はしっかりオーダーメイドスーツだ。
「あぁ、これね。
今日はこの間の礼をしに行くんだよ」
「⋯⋯この間?」
「あぁ。
警察が手薄だったのも、ギャングたちが何をしてもアクションがなかったのも。
⋯⋯いやはて、何があったんだかねぇ」
「伊崎さん?
ギャングなんかと関わっていいことないんですからね?
冗談ですよね?
⋯⋯ですよね!?」
何かにハッとしたコイツ、石田の後輩なだけあって心配性だな。
「ほら、行くぞ」
「ええっ!?」
首根っこを掴みながら引きづって外に連れ出して到着したのは、都市部に立ち並ぶあるビル。
ある階まで上がり、一度そこで降りると案内人がこちらですと言って近くの非常扉を開けると、そこには別のエレベーター。
思わず仕掛けが良すぎて俺と通訳二人で少年心が蘇る。
⋯⋯いや、まぁ俺は10代なんだが。
乗り換えて降りると、アンティーク風な静けさを感じる廊下。
薄暗くて、でも何かを感じるミステリアスさみたいなのが味になるタイプ。
歩いていると隣で通訳が「壺なんて割ったら幾らするんだか」なんて震えている。
「こちらです」
ガチャリと開いた部屋の奥に座っているのは。
「初めまして、ミスター伊崎」
「おや?日本語が堪能で?」
フラア・ラドベルト議員。
⋯⋯情報では保守である。
ただ実際のとこら、海外事情に詳しい訳ではないから鵜呑みにはしない。
立ち上がってくるフラア議員と堅い握手を交わす。
「そんな事よりも」
慣れたが、海外らしい表情筋で座れと言ってくる。
「中々良いソファだな」
両腕を広げてバフンと座る。
「かなり値が張ったものさ」
「そうか」
と、隣を見ると通訳が今にも緊張で死にそうなので、軽く蹴ってやる。
「後ろで本でも読んどけ」
「へっ?あ、あぁ!」
「えぇ。
私は構いませんからどうぞ」
通訳の視線を受け流し、笑って提案するフラア議員。
「⋯⋯そうだ。
手土産は何がいいかなと思ったんだが、とりあえず」
そう言って4つ折にしたメモをスッと差し出す。
「⋯⋯っ!!本当か!?」
「まぁ遠目だったんでね。
⋯⋯恐らく合ってると思う」
たかがどこが悪いかを正確に理解しているだけで、こんなに世界が変わるなんて──世の中は便利だ。
「感謝する!!」
「全然。
娘さんに良いことがありますように。
それで、来年の政権はどういう運びになってるんだ?」
なんとなく概要でも分かりゃいいんだが。
「これは内密な情報なんだが」
「あぁ」
神妙な面持ちで針の音が流れる。
「どうやら、我が国が実質的に華国に乗っ取られる可能性が見えてる」
「⋯⋯華国?」
「あぁ。
君は何も知らないか?
私も個人的にかなり動いてはいるのだが、最近の華国は凄まじいほどの勢いで勢力を伸ばしてる」
「こっちでも色々あったらしい」
「日本もか。
⋯⋯やはりそうか」
「あぁ。
水道の法律を変えようと画作しているようだったんで俺が止めた。
保守の人間に理解ある志が似たやつがいたんでそっちに投げている」
「私達も胡座をかいている場合ではないのだがな」
「具体的にはどうなってるんだ?
あ、煙草は」
「吸いなさい」
火をつけ、上に向かって煙を吐きながら訊ねる。
「ふぅ⋯⋯それで?」
「かなり金を積まれて吐かされてるみたいでな。
そのおかげで金融方面から侵食が始まり、今では政権に口を出そうとしている層がいる始末だ」
⋯⋯まぁ確かにそうなる感じだが、こんな早かったか?
「保守派だろう?
動きはどうなんだ?」
そう言うとフラア議員も思うところがあるのか、ワインを開けてトクトク高級ワイングラスにビンテージもんの薫りが一気に広がる。
「私もそうしたいのは山々なんだが、どうやら──かなり制限が既にかかっている」
「ん?」
「周りが買収されだしてる」
儚げに語る姿は、未来の日本を見ているような気がしてなんとも言えなかった。
グラスを回しながら呑む姿はどこか切ない。
「そうか」
「そっちも既にだろう?
お互いにやれる事をやろう」
「だから、とりあえずそちらの問題を先に少しで緩和できるようにしてやったんだ。
──この間は」
「ハハハ。それで感触の方どうだ?
多少手荒でも構わんが」
「上々だ。
とりあえず学校とは言い放ったが、趣味の話をさせている」
「趣味?」
「見た目が違おうとも、意外と同じ曲を聞いたり同じ時間を語っている内に、攻撃出来なくなるというのが人間というものだ。
心理的なものと、善性に訴えた訴求の仕方だな」
「ふっ、子供だと思っていたが、最近の日本人の子供は凄いな。
アジアなど差別の質でいえば最下位だろうに」
「まぁな。
そもそも島国の日本なんざ差別と言われてもあんまピンときていないのが現実だしな」
「独特な観点だからこそ、意外とまとめられるのかもしれないな。
ところでどうだ?今夜」
舌を出してペロペロ。
40半ばでいいねぇ。
俺は好きだぞ、おっさんよ。
「お?
こんなガキは気に入ってくれたのか?」
「ハハッ!もちろんさ!
女は好きか?」
オイオイ、誰に物を言ってるんだ?
「俺は10人くらい侍らせてやっとスタート地点の発情期の猿だぞ?」
「私は妻がいるんだがね」
足を組み直し、俺は指で女を弄ぶ仕草を見せる。
ちゃんとした女を用意しろよという俺の合図だ。
「それも男らしくいいじゃないか。
俺は一人に収まるような⋯⋯」
ーーねぇ、将来!
「どうした?」
「ん?
あぁ、そんな器じゃないって話だ。
日本にいた時も暴れてたしな」
思わずそっぽ向いてしまったな。
⋯⋯はぁ。
俺も、存外人間を絶妙に辞めれてないようだ。
窓の外はなんて晴れやかなんだ。
雲が輝いてるのに、俺の気持ちは曇天のようだよ。
朝風呂上がり、着替えていると通訳に声をかけられる。
「ん、ドライヤー頼む」
「はい」
溜息を吐きながらも嫌々俺の髪を乾かしだす。
「また変な事してないですよね?」
「⋯⋯それはどういう事だ?」
おぉ。
石田の野郎、イベント頑張ってんじゃないの。
俺ももっとやっていかないとな。
「おぉ」
しかも、狂人会がドンドン伸びてんな。
俺の総合力は1000万で、アイツが680万。
⋯⋯結構縮めてきてるじゃないの。
「聞いてます?」
「ん?なんて?」
「また面倒事を増やしてるなんてことはないですよね?」
「何を言ってるんだ。
面倒事なんて増やすわけないだろ」
メールを覗くと、澪奈から自撮り。
"今海外なんでしょ?お土産よろぴ"
「⋯⋯んん。黒か」
あれ?千紘たちも送ってくるな。
なんか合わせて送ってくれるなんて⋯⋯俺はツイてるな。
なんだ、発情しちゃうんだが?
「え?何が黒ですって?」
「黙って乾かしとけ」
*
「それで今日は?」
「ん?」
「いや、珍しくしっかりとした服装じゃないですか」
全身鏡の前で襟を正す。
そんな今日、俺はしっかりオーダーメイドスーツだ。
「あぁ、これね。
今日はこの間の礼をしに行くんだよ」
「⋯⋯この間?」
「あぁ。
警察が手薄だったのも、ギャングたちが何をしてもアクションがなかったのも。
⋯⋯いやはて、何があったんだかねぇ」
「伊崎さん?
ギャングなんかと関わっていいことないんですからね?
冗談ですよね?
⋯⋯ですよね!?」
何かにハッとしたコイツ、石田の後輩なだけあって心配性だな。
「ほら、行くぞ」
「ええっ!?」
首根っこを掴みながら引きづって外に連れ出して到着したのは、都市部に立ち並ぶあるビル。
ある階まで上がり、一度そこで降りると案内人がこちらですと言って近くの非常扉を開けると、そこには別のエレベーター。
思わず仕掛けが良すぎて俺と通訳二人で少年心が蘇る。
⋯⋯いや、まぁ俺は10代なんだが。
乗り換えて降りると、アンティーク風な静けさを感じる廊下。
薄暗くて、でも何かを感じるミステリアスさみたいなのが味になるタイプ。
歩いていると隣で通訳が「壺なんて割ったら幾らするんだか」なんて震えている。
「こちらです」
ガチャリと開いた部屋の奥に座っているのは。
「初めまして、ミスター伊崎」
「おや?日本語が堪能で?」
フラア・ラドベルト議員。
⋯⋯情報では保守である。
ただ実際のとこら、海外事情に詳しい訳ではないから鵜呑みにはしない。
立ち上がってくるフラア議員と堅い握手を交わす。
「そんな事よりも」
慣れたが、海外らしい表情筋で座れと言ってくる。
「中々良いソファだな」
両腕を広げてバフンと座る。
「かなり値が張ったものさ」
「そうか」
と、隣を見ると通訳が今にも緊張で死にそうなので、軽く蹴ってやる。
「後ろで本でも読んどけ」
「へっ?あ、あぁ!」
「えぇ。
私は構いませんからどうぞ」
通訳の視線を受け流し、笑って提案するフラア議員。
「⋯⋯そうだ。
手土産は何がいいかなと思ったんだが、とりあえず」
そう言って4つ折にしたメモをスッと差し出す。
「⋯⋯っ!!本当か!?」
「まぁ遠目だったんでね。
⋯⋯恐らく合ってると思う」
たかがどこが悪いかを正確に理解しているだけで、こんなに世界が変わるなんて──世の中は便利だ。
「感謝する!!」
「全然。
娘さんに良いことがありますように。
それで、来年の政権はどういう運びになってるんだ?」
なんとなく概要でも分かりゃいいんだが。
「これは内密な情報なんだが」
「あぁ」
神妙な面持ちで針の音が流れる。
「どうやら、我が国が実質的に華国に乗っ取られる可能性が見えてる」
「⋯⋯華国?」
「あぁ。
君は何も知らないか?
私も個人的にかなり動いてはいるのだが、最近の華国は凄まじいほどの勢いで勢力を伸ばしてる」
「こっちでも色々あったらしい」
「日本もか。
⋯⋯やはりそうか」
「あぁ。
水道の法律を変えようと画作しているようだったんで俺が止めた。
保守の人間に理解ある志が似たやつがいたんでそっちに投げている」
「私達も胡座をかいている場合ではないのだがな」
「具体的にはどうなってるんだ?
あ、煙草は」
「吸いなさい」
火をつけ、上に向かって煙を吐きながら訊ねる。
「ふぅ⋯⋯それで?」
「かなり金を積まれて吐かされてるみたいでな。
そのおかげで金融方面から侵食が始まり、今では政権に口を出そうとしている層がいる始末だ」
⋯⋯まぁ確かにそうなる感じだが、こんな早かったか?
「保守派だろう?
動きはどうなんだ?」
そう言うとフラア議員も思うところがあるのか、ワインを開けてトクトク高級ワイングラスにビンテージもんの薫りが一気に広がる。
「私もそうしたいのは山々なんだが、どうやら──かなり制限が既にかかっている」
「ん?」
「周りが買収されだしてる」
儚げに語る姿は、未来の日本を見ているような気がしてなんとも言えなかった。
グラスを回しながら呑む姿はどこか切ない。
「そうか」
「そっちも既にだろう?
お互いにやれる事をやろう」
「だから、とりあえずそちらの問題を先に少しで緩和できるようにしてやったんだ。
──この間は」
「ハハハ。それで感触の方どうだ?
多少手荒でも構わんが」
「上々だ。
とりあえず学校とは言い放ったが、趣味の話をさせている」
「趣味?」
「見た目が違おうとも、意外と同じ曲を聞いたり同じ時間を語っている内に、攻撃出来なくなるというのが人間というものだ。
心理的なものと、善性に訴えた訴求の仕方だな」
「ふっ、子供だと思っていたが、最近の日本人の子供は凄いな。
アジアなど差別の質でいえば最下位だろうに」
「まぁな。
そもそも島国の日本なんざ差別と言われてもあんまピンときていないのが現実だしな」
「独特な観点だからこそ、意外とまとめられるのかもしれないな。
ところでどうだ?今夜」
舌を出してペロペロ。
40半ばでいいねぇ。
俺は好きだぞ、おっさんよ。
「お?
こんなガキは気に入ってくれたのか?」
「ハハッ!もちろんさ!
女は好きか?」
オイオイ、誰に物を言ってるんだ?
「俺は10人くらい侍らせてやっとスタート地点の発情期の猿だぞ?」
「私は妻がいるんだがね」
足を組み直し、俺は指で女を弄ぶ仕草を見せる。
ちゃんとした女を用意しろよという俺の合図だ。
「それも男らしくいいじゃないか。
俺は一人に収まるような⋯⋯」
ーーねぇ、将来!
「どうした?」
「ん?
あぁ、そんな器じゃないって話だ。
日本にいた時も暴れてたしな」
思わずそっぽ向いてしまったな。
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