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世界征服編
閑話:総裁
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まず。
この世界の話をどこからするべきか。
私は考える。
これは医療で言うところの対症療法と根本治療と同じようなもので、現在こうだからこうすべき。
そう言った類の話ではない。
あちらが仕掛けたからあちらが悪いとか、そういう話ではない。
現在、世界は絶妙な均衡状態を保っている。
それはこの私──草薙業鬼という立場に置いてもであると言える。
国内の話から入りたい。
現在も未来も、多くの者がきっと頭を悩ませているだろうが、現在の権力を持っているのは中央とまで言わなくても力はほとんど偏りがあるのは事実だ。
これはどんな言い訳を並べてもそうだろう。
私も含め、能力七大家において言えば力と権力は密接にある。
これにおける理由と要因は既に確定している。
⋯⋯ではそれはなんなのか?
それは、数パターンから派生しているが、
幕府の時から力を持っていた人間。
当時戦争時の中で上役だった人間。
有名どころで言えば陸軍中央学園であるか。
あの辺りの時代、そしてその前の幕府よりも前。
言えぬ暗部の力のパターン。
この辺りが脈々と現在まで継承されている。
私達七大家は暗部の血筋からである。
元はといえばもっと過去に存在しているのではあるが、我々は好き勝手したいわけではない。
この国を外から守る為に力を得て、現在まで受け継いできている。
だが、我々も所詮人間。
欲を止められるわけではない。
ある程度の盛りは良しとしていたが、ここ数年⋯⋯思うところはある。
「し、失礼いたします!!」
暗闇が跋扈する私の空間に光が差し込む。
私の間に入れるのは安江か。
「総裁、お話が」
「申せ」
「予言のお話についてですが」
跪く安江の言葉を聞きながら思わず溜息をつく。
「進展があったということか?」
「いえ、その⋯⋯」
「モジモジするなど珍しい。
素直に申せ。
何かあったとて黙認しているではないか」
「そ、それが⋯⋯!」
扉が開く。
安江の言葉を遮り、堂満が慌てて跪く。
「総裁、巫女からの伝達です」
「申せ」
「ハッ。
霊脈、並びに華国勢力の片割れである江派が動き出しているということ。
そして、アレイスターとの直接対決が迫っていると」
「あ、アレイスターですって?」
隣で跪く安江が鉄砲でも食らった顔で傾げている。
「安江」
「し、失礼いたしました!!」
「堂満、アレイスターの件、真だな?」
「ハッ、巫女の話と現在侵食が進む華国の分断がほぼ滞りなく進めば⋯⋯」
堂満と安江の頭は上がり、視線は私に向いている。
その動きだけで、私は何が言いたいのかを理解し、言葉を発する。
「いよいよココ──日本という訳だな」
「⋯⋯⋯⋯簡潔に言えば」
アレイスター。
文献によれば、戦国時代よりも前に西洋文明に大きく根付いている現在の思想の原点であると言われている。
現在も多くの権力の根幹を担っているのは奴らだ。
華国の領土目当てに過去仕掛けたようだが、我らの祖先で"ある一族"と、華国の最強一族"秦"族によって難を逃れたという。
だが。
「今の我々で太刀打ち出来るかどうか」
「総裁?」
知っているとも。
アレイスターはまさに救世の光だといくつも文献に印されており、当時の天皇がなんとか一時的に追い払えただけの事。
倒せた訳ではない。
「予言の子についてはどうなっている」
「件の件ですが」
「よい」
顔が物語っている。
「しかし総裁!」
「この霊脈が、龍神が残したただ一人の遺物、ひいてはこの国を救うと言われている。
私はただあのお方の話を最大限活かそうとしているだけだ。
それより、華国の状況は?」
「ハッ。
華国は現状、上層部のほとんどがアレイスターに下っており、今のような秩序を根本的に崩しているのが答えかと。
差別、強者生存、調和、彼らの申す教典通り。
世界は0か100に」
「そう苦い顔をするな。
私も思うところはある」
「出過ぎた真似を⋯⋯!」
あなたはどこまで先を見通しているのか。
私に検討も付きません。
どうすれば良いのですか。
白き神よ。
「世界でも日本と華国の一部のみ⋯⋯か」
「はい。
彼らは宗教を武器に、やりたい放題です。
どうすれば⋯⋯」
「一旦この話は置いておこう。
恭司はどうしている」
「恭司坊ちゃんは⋯⋯現在海外に」
あの国内を好む恭司が?
「どういう事だ?」
「どうやら、一人の少年と何らかの契約を結び、護衛をしているかと思われます」
「予言では20に満たない異常な子供と言われておる。
⋯⋯もしや恭司が見つけた可能性があるぞ」
「っ!その可能性は見落としておりました!」
しかし、おかしい。
「その子供は一般の子か?」
「はい。伊崎という家のようです」
ーー■■!あとは頼んだ
ーー"覇旬"!!何故未来ある貴様が⋯⋯!
ーーふっ、天才の俺の事だ⋯⋯どうせ何処かで生きてるさ。
「⋯⋯待て」
「はい?」
「その伊崎という両親の顔を見たことがあるか?」
「⋯⋯いえ」
「何故だ」
「え?」
「何故誰も顔を知らないのだ?」
調べているはずなのに、なぜ誰も顔を知らない?
「あ、あれ⋯⋯?」
「確定だ。
今すぐその家の全てを調べろ。
隈なく、家の間取りから下着のサイズ、代々の血脈、過去、全て調べろ!」
何か特殊な何かが紛れている。
アレイスターの仕業か?奴らはこういう芸当においては右に出るものがいない。
ん?式神?
堂満の甲に乗り、伝えている。
「⋯⋯!
総裁!伊崎氏のご両親に動きが!」
「⋯⋯何?」
「家族全員で華国に旅行に行く模様です!」
「急いで護衛をつけろ!
何があるか分からん」
そう言うと慌てて出ていく二人。
暗闇の空間で、私は見上げる。
「⋯⋯⋯⋯」
草薙の文献には、こう書かれている。
"終焉に降りてくるは希望の光。
その光は暗闇心象に囚われている。
囚われが解けるは皆の魂の光り。
生まれにして頂点。
頂点は輝き続け、帰還す。
世界が絶望に満ちた時──皆の手が暗闇の世界にいるその黒い光を心象世界から引き摺りだす。
神性の血を引いた子は生き残りの子であり、その子を守るはたった二人。
死守せよ。
子らは呪いに掛かっておる。
子らを守り切れなかったとき──世界は終焉を迎え、全てが無に帰す。
無帰万世。
「⋯⋯⋯⋯」
あなたが言った世界の終焉。
平和と言いますが、私には理解できません。
世界は──なぜこうも混沌としているのでしょうか。
この世界の話をどこからするべきか。
私は考える。
これは医療で言うところの対症療法と根本治療と同じようなもので、現在こうだからこうすべき。
そう言った類の話ではない。
あちらが仕掛けたからあちらが悪いとか、そういう話ではない。
現在、世界は絶妙な均衡状態を保っている。
それはこの私──草薙業鬼という立場に置いてもであると言える。
国内の話から入りたい。
現在も未来も、多くの者がきっと頭を悩ませているだろうが、現在の権力を持っているのは中央とまで言わなくても力はほとんど偏りがあるのは事実だ。
これはどんな言い訳を並べてもそうだろう。
私も含め、能力七大家において言えば力と権力は密接にある。
これにおける理由と要因は既に確定している。
⋯⋯ではそれはなんなのか?
それは、数パターンから派生しているが、
幕府の時から力を持っていた人間。
当時戦争時の中で上役だった人間。
有名どころで言えば陸軍中央学園であるか。
あの辺りの時代、そしてその前の幕府よりも前。
言えぬ暗部の力のパターン。
この辺りが脈々と現在まで継承されている。
私達七大家は暗部の血筋からである。
元はといえばもっと過去に存在しているのではあるが、我々は好き勝手したいわけではない。
この国を外から守る為に力を得て、現在まで受け継いできている。
だが、我々も所詮人間。
欲を止められるわけではない。
ある程度の盛りは良しとしていたが、ここ数年⋯⋯思うところはある。
「し、失礼いたします!!」
暗闇が跋扈する私の空間に光が差し込む。
私の間に入れるのは安江か。
「総裁、お話が」
「申せ」
「予言のお話についてですが」
跪く安江の言葉を聞きながら思わず溜息をつく。
「進展があったということか?」
「いえ、その⋯⋯」
「モジモジするなど珍しい。
素直に申せ。
何かあったとて黙認しているではないか」
「そ、それが⋯⋯!」
扉が開く。
安江の言葉を遮り、堂満が慌てて跪く。
「総裁、巫女からの伝達です」
「申せ」
「ハッ。
霊脈、並びに華国勢力の片割れである江派が動き出しているということ。
そして、アレイスターとの直接対決が迫っていると」
「あ、アレイスターですって?」
隣で跪く安江が鉄砲でも食らった顔で傾げている。
「安江」
「し、失礼いたしました!!」
「堂満、アレイスターの件、真だな?」
「ハッ、巫女の話と現在侵食が進む華国の分断がほぼ滞りなく進めば⋯⋯」
堂満と安江の頭は上がり、視線は私に向いている。
その動きだけで、私は何が言いたいのかを理解し、言葉を発する。
「いよいよココ──日本という訳だな」
「⋯⋯⋯⋯簡潔に言えば」
アレイスター。
文献によれば、戦国時代よりも前に西洋文明に大きく根付いている現在の思想の原点であると言われている。
現在も多くの権力の根幹を担っているのは奴らだ。
華国の領土目当てに過去仕掛けたようだが、我らの祖先で"ある一族"と、華国の最強一族"秦"族によって難を逃れたという。
だが。
「今の我々で太刀打ち出来るかどうか」
「総裁?」
知っているとも。
アレイスターはまさに救世の光だといくつも文献に印されており、当時の天皇がなんとか一時的に追い払えただけの事。
倒せた訳ではない。
「予言の子についてはどうなっている」
「件の件ですが」
「よい」
顔が物語っている。
「しかし総裁!」
「この霊脈が、龍神が残したただ一人の遺物、ひいてはこの国を救うと言われている。
私はただあのお方の話を最大限活かそうとしているだけだ。
それより、華国の状況は?」
「ハッ。
華国は現状、上層部のほとんどがアレイスターに下っており、今のような秩序を根本的に崩しているのが答えかと。
差別、強者生存、調和、彼らの申す教典通り。
世界は0か100に」
「そう苦い顔をするな。
私も思うところはある」
「出過ぎた真似を⋯⋯!」
あなたはどこまで先を見通しているのか。
私に検討も付きません。
どうすれば良いのですか。
白き神よ。
「世界でも日本と華国の一部のみ⋯⋯か」
「はい。
彼らは宗教を武器に、やりたい放題です。
どうすれば⋯⋯」
「一旦この話は置いておこう。
恭司はどうしている」
「恭司坊ちゃんは⋯⋯現在海外に」
あの国内を好む恭司が?
「どういう事だ?」
「どうやら、一人の少年と何らかの契約を結び、護衛をしているかと思われます」
「予言では20に満たない異常な子供と言われておる。
⋯⋯もしや恭司が見つけた可能性があるぞ」
「っ!その可能性は見落としておりました!」
しかし、おかしい。
「その子供は一般の子か?」
「はい。伊崎という家のようです」
ーー■■!あとは頼んだ
ーー"覇旬"!!何故未来ある貴様が⋯⋯!
ーーふっ、天才の俺の事だ⋯⋯どうせ何処かで生きてるさ。
「⋯⋯待て」
「はい?」
「その伊崎という両親の顔を見たことがあるか?」
「⋯⋯いえ」
「何故だ」
「え?」
「何故誰も顔を知らないのだ?」
調べているはずなのに、なぜ誰も顔を知らない?
「あ、あれ⋯⋯?」
「確定だ。
今すぐその家の全てを調べろ。
隈なく、家の間取りから下着のサイズ、代々の血脈、過去、全て調べろ!」
何か特殊な何かが紛れている。
アレイスターの仕業か?奴らはこういう芸当においては右に出るものがいない。
ん?式神?
堂満の甲に乗り、伝えている。
「⋯⋯!
総裁!伊崎氏のご両親に動きが!」
「⋯⋯何?」
「家族全員で華国に旅行に行く模様です!」
「急いで護衛をつけろ!
何があるか分からん」
そう言うと慌てて出ていく二人。
暗闇の空間で、私は見上げる。
「⋯⋯⋯⋯」
草薙の文献には、こう書かれている。
"終焉に降りてくるは希望の光。
その光は暗闇心象に囚われている。
囚われが解けるは皆の魂の光り。
生まれにして頂点。
頂点は輝き続け、帰還す。
世界が絶望に満ちた時──皆の手が暗闇の世界にいるその黒い光を心象世界から引き摺りだす。
神性の血を引いた子は生き残りの子であり、その子を守るはたった二人。
死守せよ。
子らは呪いに掛かっておる。
子らを守り切れなかったとき──世界は終焉を迎え、全てが無に帰す。
無帰万世。
「⋯⋯⋯⋯」
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