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世界征服編
秦<1>
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華国には派閥というものがある。
日本にもあるだろうが、そういう意味ではない。
生活や誰と組むか。
そういう意味での話になる。
そして。その派閥は無数だ。
一つ二つではない。
それはどういう意味を持つのか?
"縄張り?"
それもあるだろう。
"先祖代々からの継承によるもの"?
それもあるだろう。
しかし。
主に派閥というのは、突き詰めれば二元論的価値を持つものだと、伊崎家に伝わる口伝で聞いた。
それは何を示すかというと当時。
俺の見解では古代には既に──"対立構造"があったという"事実"だ。
これが最も大事な事だ。
平和に過ごしていればそんな事にはならないはずだ。
縄張りを作ったところで、そこまで対立する時代でもなかろうに。
日本にはなかったのか?
そういう事にはなるのだが、あるにはあっただろう。
ただ華国と比べると数が少なすぎるし、規模が違う。
⋯⋯話が逸れた。
この派閥はやがて集団と成していくのだが、この国では大きく三つある派閥。
一つはアレイスターに堕ちた江派。
二つめは現在もどちらにも転ばないように踏ん張っている趙派。
そして三つめが──目の前に座る秦派。
コイツらはいわゆる二元論で言うところの善派に属する。
イメージでは昔から華国は酷いものだが、コイツらは普通であり、むしろ日本を好いてくれている。
そんな彼ら秦派はアレイスターに唯一敵対し、対抗した。
かつて過去にはあのアレイスターを追い払う事に成功した当時若くして当主になった秦・黎天。
まさに"最強"の二文字で説明が付くくらいの者だった。
華国には我々で言うところの氣を用いて戦うのが主流で、武侠が流行っているように、現在でも使い手は滅んでなどいない。
姿を見せずに、静かに⋯⋯国、そして身を固めてひっそりと生きているのだ。
「まぁ吉伸。
とりあえず腹を満たさないと」
懐遠は回転させ、俺の目の前にギットギトの華国料理が並ぶ。
「日本の華料理でも食うか?
本場のは凄いな」
「オイオイ。ひでぇ言いようじゃねぇか。
これでも最上級の料理人に用意させたんだぜ?」
懐遠が口を尖らせ、手はフォークで肉をぶっ刺しては口に運ぶ。
上だけまとめてるコイツの挑発姿を見るのは懐かしいな。
そうして歳を取った俺達の昔話が始まる。
昔俺がコイツらをボコった話とか。
今じゃ恥ずかしい話だが、陰陽師として伊崎家代表で選出された俺は、当時男女侍らせてたこいつらに腹が立って腕をへし折った事がある。
そのせいで、へし折りの吉伸とか過去で言われたっけ。
静音は今じゃお淑やかで非の打ち所がないような素晴らしい人間だが、昔は酷いものだった。
料理はパワーで破壊と言うようなタイプだったし、ガサツで今の影などまるでなかった。
婉清も俺と同じような形で静音に髪を引っこ抜かれて⋯⋯そっからか。
静音を見ると、婉清は速攻で鳥肌が立ってはブルブル震えるようになったのは。
「あーあったあった!
懐遠、あの時大した実力もなかったのにイキってたよなぁ!?」
「おいやめろよその話は!詩蔓!」
あったあった。
この詩蔓という女は昔、よく祓う時に緊張して屁が止まらなかった事でピーマンなんて言われてた。
ピーマンにここまで言われる懐遠も大概だが。
ある程度箸も進み、一段落。
「んで?我らが盟友」
足を組み、背もたれに尊大に背を預け──懐遠が笑う。
昔つるんでたように。
あの時と変わらないクソガキの笑みを浮かべて。
「何かあったんだろ?
力を失った時だって、俺達の援助を拒んだだろ?」
「そうよ。よし。
私達に事情すら話さなかったじゃない」
「何かあったんでしょ?」
⋯⋯話すべきなんだろうか。
あの時の事を。
「あなた?」
横にいる静音が、不安げに俺を見ている。
おいそこ、笑うのを堪えるな。
静音は怖いんだぞ!
「はぁ。あの日の事はまだ言えない。
だが、俺達はアイツを──覇旬を助ける為、現場に向かった。
だが、そこで⋯⋯」
「もういいじゃない、吉伸さん」
俺の太ももに手を置き、静音はニコリと微笑む。
「だが」
「これは私達夫婦から、のお願いです」
静音は、凛として姿勢を正し、素直に頭を下げた。
「あなた達の望む"息子"は生きてます。
覇旬から口止めされていたの」
全身がゾクッとかけ巡る。
全方向からの"""威圧"""。
「どういう事だ?吉伸?
話が違うぞ?」
全身が震える。
さすがの力を消失した俺じゃあ──この国現在最強格の威圧を生身で受けるのはギャンブルだな。
「分かってる。懐遠。
俺達だって嘘を吐きたくなかったんだ」
「そうだな?そうだよな?
俺達の仲でそんな嘘をつくには相当な理由だよなァ?」
机がただの功力だけでヒビが入ってやがる。
野郎、腕を上げたな。
「謝罪させてくれ」
俺と静音は静かに。
そして誠実に頭を下げた。
「「「⋯⋯⋯⋯」」」
「息子は息子でも。
日本に残る古来最後の一族──神功一族の直系。
そしてあのまま行けば確実に当主に成れていた男である神功覇旬。
秦派の女帝が一人、華国伝説の力を持ちながら女傑である秦・玄華。
その二人の血筋を引いているのが、俺の息子──伊崎湊翔だ」
クソッ。アレイスターの野郎共め。
こんな形で言わなくてはならないとは。
尤もらしいマシな嘘でもつけばよかったと後悔している、が。
隣の静音は胸のつっかえが取れたような顔をしてるな。
これはこれで⋯⋯良かったのだろうか。
湊翔が幸せになるなら、自分はなんだって良かったんだがなぁ。
日本にもあるだろうが、そういう意味ではない。
生活や誰と組むか。
そういう意味での話になる。
そして。その派閥は無数だ。
一つ二つではない。
それはどういう意味を持つのか?
"縄張り?"
それもあるだろう。
"先祖代々からの継承によるもの"?
それもあるだろう。
しかし。
主に派閥というのは、突き詰めれば二元論的価値を持つものだと、伊崎家に伝わる口伝で聞いた。
それは何を示すかというと当時。
俺の見解では古代には既に──"対立構造"があったという"事実"だ。
これが最も大事な事だ。
平和に過ごしていればそんな事にはならないはずだ。
縄張りを作ったところで、そこまで対立する時代でもなかろうに。
日本にはなかったのか?
そういう事にはなるのだが、あるにはあっただろう。
ただ華国と比べると数が少なすぎるし、規模が違う。
⋯⋯話が逸れた。
この派閥はやがて集団と成していくのだが、この国では大きく三つある派閥。
一つはアレイスターに堕ちた江派。
二つめは現在もどちらにも転ばないように踏ん張っている趙派。
そして三つめが──目の前に座る秦派。
コイツらはいわゆる二元論で言うところの善派に属する。
イメージでは昔から華国は酷いものだが、コイツらは普通であり、むしろ日本を好いてくれている。
そんな彼ら秦派はアレイスターに唯一敵対し、対抗した。
かつて過去にはあのアレイスターを追い払う事に成功した当時若くして当主になった秦・黎天。
まさに"最強"の二文字で説明が付くくらいの者だった。
華国には我々で言うところの氣を用いて戦うのが主流で、武侠が流行っているように、現在でも使い手は滅んでなどいない。
姿を見せずに、静かに⋯⋯国、そして身を固めてひっそりと生きているのだ。
「まぁ吉伸。
とりあえず腹を満たさないと」
懐遠は回転させ、俺の目の前にギットギトの華国料理が並ぶ。
「日本の華料理でも食うか?
本場のは凄いな」
「オイオイ。ひでぇ言いようじゃねぇか。
これでも最上級の料理人に用意させたんだぜ?」
懐遠が口を尖らせ、手はフォークで肉をぶっ刺しては口に運ぶ。
上だけまとめてるコイツの挑発姿を見るのは懐かしいな。
そうして歳を取った俺達の昔話が始まる。
昔俺がコイツらをボコった話とか。
今じゃ恥ずかしい話だが、陰陽師として伊崎家代表で選出された俺は、当時男女侍らせてたこいつらに腹が立って腕をへし折った事がある。
そのせいで、へし折りの吉伸とか過去で言われたっけ。
静音は今じゃお淑やかで非の打ち所がないような素晴らしい人間だが、昔は酷いものだった。
料理はパワーで破壊と言うようなタイプだったし、ガサツで今の影などまるでなかった。
婉清も俺と同じような形で静音に髪を引っこ抜かれて⋯⋯そっからか。
静音を見ると、婉清は速攻で鳥肌が立ってはブルブル震えるようになったのは。
「あーあったあった!
懐遠、あの時大した実力もなかったのにイキってたよなぁ!?」
「おいやめろよその話は!詩蔓!」
あったあった。
この詩蔓という女は昔、よく祓う時に緊張して屁が止まらなかった事でピーマンなんて言われてた。
ピーマンにここまで言われる懐遠も大概だが。
ある程度箸も進み、一段落。
「んで?我らが盟友」
足を組み、背もたれに尊大に背を預け──懐遠が笑う。
昔つるんでたように。
あの時と変わらないクソガキの笑みを浮かべて。
「何かあったんだろ?
力を失った時だって、俺達の援助を拒んだだろ?」
「そうよ。よし。
私達に事情すら話さなかったじゃない」
「何かあったんでしょ?」
⋯⋯話すべきなんだろうか。
あの時の事を。
「あなた?」
横にいる静音が、不安げに俺を見ている。
おいそこ、笑うのを堪えるな。
静音は怖いんだぞ!
「はぁ。あの日の事はまだ言えない。
だが、俺達はアイツを──覇旬を助ける為、現場に向かった。
だが、そこで⋯⋯」
「もういいじゃない、吉伸さん」
俺の太ももに手を置き、静音はニコリと微笑む。
「だが」
「これは私達夫婦から、のお願いです」
静音は、凛として姿勢を正し、素直に頭を下げた。
「あなた達の望む"息子"は生きてます。
覇旬から口止めされていたの」
全身がゾクッとかけ巡る。
全方向からの"""威圧"""。
「どういう事だ?吉伸?
話が違うぞ?」
全身が震える。
さすがの力を消失した俺じゃあ──この国現在最強格の威圧を生身で受けるのはギャンブルだな。
「分かってる。懐遠。
俺達だって嘘を吐きたくなかったんだ」
「そうだな?そうだよな?
俺達の仲でそんな嘘をつくには相当な理由だよなァ?」
机がただの功力だけでヒビが入ってやがる。
野郎、腕を上げたな。
「謝罪させてくれ」
俺と静音は静かに。
そして誠実に頭を下げた。
「「「⋯⋯⋯⋯」」」
「息子は息子でも。
日本に残る古来最後の一族──神功一族の直系。
そしてあのまま行けば確実に当主に成れていた男である神功覇旬。
秦派の女帝が一人、華国伝説の力を持ちながら女傑である秦・玄華。
その二人の血筋を引いているのが、俺の息子──伊崎湊翔だ」
クソッ。アレイスターの野郎共め。
こんな形で言わなくてはならないとは。
尤もらしいマシな嘘でもつけばよかったと後悔している、が。
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これはこれで⋯⋯良かったのだろうか。
湊翔が幸せになるなら、自分はなんだって良かったんだがなぁ。
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