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世界征服編
母は強い
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「そーちゃん!」
椅子に座る俺に話しかけてくる母。
「これ見て?
そーちゃん小さい頃から好きだったビスケットよ!」
やめてくれ。
確かに今何が食べたい?って聞かれたからさ。
まぁ答えたわけなんだけども。
「ほら、こっちはそーちゃんが好きなピラフもあるわよ!」
俺、一応こう見えても万物の王でさ?
こう、今の今まで結構シリアスだったはずなのよ。
なのに今は、目の前に並ぶ華国の料理と周囲のドン引いた視線。
「あ、あの毒物女王が」
「まともな料理を作っている⋯⋯だと?」
母って、料理は凄い上手い人だったはずだけど。
アイツらの喋りを察するに、昔は違うみたいだが。
「か、母さん」
「どうしたの?
別に変わりはないでしょう?」
⋯⋯いや。
だいぶ思うところはあるんだけれども。
「食べなさい」
いつぶりだろうな。
手料理は。
「いただきます」
両手を合わせてスプーンで掬う。
「美味い」
「あら、良かった」
相変わらず美味いな。
と、見上げると向かいに座って頬杖をつきながら俺を見る母。
「周りの事なんて気にしなくてもいいから、食べなさい」
だが。
何処かいつもの母とは様子が違って見える。
いや、ハッキリ違うんだろう。
長年一緒にいた母の雰囲気が違うんだから。
「ごちそうさまでした」
「はい」
皿を近くの人間に渡し、俺と母は見合う。
「そーちゃん。
ハッキリと言わなくてはなりません」
「ん?」
いつもの母とは口調も、顔つきすらも違う。
修羅を纏ったと言ってもいいくらいだ。
「そーちゃんは、私達に隠してることはない?」
意外だった。
まさか父ではなく母から言われるとは。
「隠してる事?」
「そうです。
冷静に考えて15歳であそこまで大企業と会長さんの伝手が出来るのも、突然ありえないほどのお金を用意するのも──通常の子供では出来ません。
私達の子供でもあるからその可能性は否定しませんが、そーちゃんは私達に間違いなく隠していることがあるわね?」
何かを探るような感情だ。
確信しているわけでもなさそうだ。
どういう事なんだ?
俺が異世界に行ったこと。
そんで過去に帰ってきたこと。
何を知りたいんだ?
いや、全部か。
だが、母の感情から見るに、要素的にはそんな感じには考え辛い。
「眼の能力は使いましたか?」
「眼?」
「はい」
なんのことだ?
俺は全く何も知らないのだが。
だが、母の感情に確信が加わった。
とりあえず合わせておくか。
「まだ使ってはないです」
「正直に言いなさい」
「知識だけは使いました」
これならそこまで大きく外れないだろう。
何かしら現実に起こすっぽいニュアンスはあるものの、知識として頭にあることは咎められないからこのチョイスで間違いないはずだ。
何を言いたいのかは理解できないが、文脈的にこうだろう。
「⋯⋯そうですか」
何処か儚げに俯いた母は深い溜息をついた。
「私達の為に──代償を払うなんて」
⋯⋯代償?
「どれくらい使ったの?」
俺の手を握り、母は今にも泣きそうに言う。
「少しだよ」
「眼の能力はできるだけ使わないと誓うこと」
「うん」
「良いわね?」
眼の能力?
どういう事?
マジで何もわからないんだが。
「うん、分かったよ」
「それとね、そーちゃん」
あぁ。
「私達はあなたの本当の両親ではないの」
分かっていた。
あの占いババァの能力は本物だ。
だから、やっぱり聞くんじゃなかった。
「そうなの?」
「私達はバレないように必死だったのよ?
聡いそーちゃんにバレまいと必死に」
修羅のような面を被る母、いつもの母の顔に戻ってはいたが、今はどこかスッキリしたような顔になっていた。
「でも俺の親だよ」
「やっぱり嫌よね⋯⋯え?」
「何よ。
そんな事言われると思ってもなかったみたいな顔」
「いや。
だって普通、自分の親が違かったら嫌でしょ?
しかもそれをそーちゃんに隠して生きてきたから尚の事と思ってるから」
一体。
何を隠して生きてきたんだ?
どうやったら、そんな顔になるくらいまで思い詰めることがあるんだ。
「ねぇ、母さん」
そう。もう悩ませないようにしないと。
握っている俺の手を返して、握り返す。
「母さんは一人じゃないよ。
俺もいる。"何でもやる"」
ーーそーちゃん、そんなに勉強して⋯⋯何かなりたいものができたの!?
あなた!
そーちゃんがテストで100点取ったのよ!!
リビングで寝ている父に母がテスト用紙を持ってピョンピョン飛び跳ねている。
ーー何!?
俺の息子なのに出来がいいだと!?
"うん!"
ーー何かやりたい事とか出来たのか?
ーーそうよ?
ママ、いくらでも頑張れちゃうわ!
"僕、将来お金持ちになる!"
ーーお金持ち?
"頭が良くなれば、いっぱいお金が稼げるようになるでしょ!?"
ーーまぁそうだな
"そしたらみんなでずっと⋯⋯この家でご飯を食べて、みんなでテレビを見て、みんなで人生ゲームをやるの!
遊んだらお菓子を食べて、夕方になったらみんなで手伝いながらご飯を作るの!
ママが野菜を剥いてる隣でパパが怒られてて、僕も上手く行かなくて怒られるんだ!"
ーー何よそーちゃん、ママが怒ってばっかりみたいじゃない?
"でも、僕はそんな時間が欲しい!"
ーーそーちゃん?
"頭が良くなれば、お金もいっぱい貰えるし、時間も増やせるって本に書いてあったんだ!
そうすれば僕の夢は叶う!
僕の将来の夢は、家族みんなで──ご飯を作って、遊んで、笑って、映画を見て泣いたりする毎日を送ること!
頭が良くなればそうなれると思う!
だから待ってて!いつか⋯⋯
「だから教えてよ。
今、二人に何が起こってるのか。
知りたいんだ。
もしかしたら⋯⋯昔の俺だったら無理かもしれないけど、"今の俺なら"──できるかも知れないから」
なんでそんな泣きそうな顔してるんだよ、母よ。
ていうかあれ、俺も泣いてたわ。
椅子に座る俺に話しかけてくる母。
「これ見て?
そーちゃん小さい頃から好きだったビスケットよ!」
やめてくれ。
確かに今何が食べたい?って聞かれたからさ。
まぁ答えたわけなんだけども。
「ほら、こっちはそーちゃんが好きなピラフもあるわよ!」
俺、一応こう見えても万物の王でさ?
こう、今の今まで結構シリアスだったはずなのよ。
なのに今は、目の前に並ぶ華国の料理と周囲のドン引いた視線。
「あ、あの毒物女王が」
「まともな料理を作っている⋯⋯だと?」
母って、料理は凄い上手い人だったはずだけど。
アイツらの喋りを察するに、昔は違うみたいだが。
「か、母さん」
「どうしたの?
別に変わりはないでしょう?」
⋯⋯いや。
だいぶ思うところはあるんだけれども。
「食べなさい」
いつぶりだろうな。
手料理は。
「いただきます」
両手を合わせてスプーンで掬う。
「美味い」
「あら、良かった」
相変わらず美味いな。
と、見上げると向かいに座って頬杖をつきながら俺を見る母。
「周りの事なんて気にしなくてもいいから、食べなさい」
だが。
何処かいつもの母とは様子が違って見える。
いや、ハッキリ違うんだろう。
長年一緒にいた母の雰囲気が違うんだから。
「ごちそうさまでした」
「はい」
皿を近くの人間に渡し、俺と母は見合う。
「そーちゃん。
ハッキリと言わなくてはなりません」
「ん?」
いつもの母とは口調も、顔つきすらも違う。
修羅を纏ったと言ってもいいくらいだ。
「そーちゃんは、私達に隠してることはない?」
意外だった。
まさか父ではなく母から言われるとは。
「隠してる事?」
「そうです。
冷静に考えて15歳であそこまで大企業と会長さんの伝手が出来るのも、突然ありえないほどのお金を用意するのも──通常の子供では出来ません。
私達の子供でもあるからその可能性は否定しませんが、そーちゃんは私達に間違いなく隠していることがあるわね?」
何かを探るような感情だ。
確信しているわけでもなさそうだ。
どういう事なんだ?
俺が異世界に行ったこと。
そんで過去に帰ってきたこと。
何を知りたいんだ?
いや、全部か。
だが、母の感情から見るに、要素的にはそんな感じには考え辛い。
「眼の能力は使いましたか?」
「眼?」
「はい」
なんのことだ?
俺は全く何も知らないのだが。
だが、母の感情に確信が加わった。
とりあえず合わせておくか。
「まだ使ってはないです」
「正直に言いなさい」
「知識だけは使いました」
これならそこまで大きく外れないだろう。
何かしら現実に起こすっぽいニュアンスはあるものの、知識として頭にあることは咎められないからこのチョイスで間違いないはずだ。
何を言いたいのかは理解できないが、文脈的にこうだろう。
「⋯⋯そうですか」
何処か儚げに俯いた母は深い溜息をついた。
「私達の為に──代償を払うなんて」
⋯⋯代償?
「どれくらい使ったの?」
俺の手を握り、母は今にも泣きそうに言う。
「少しだよ」
「眼の能力はできるだけ使わないと誓うこと」
「うん」
「良いわね?」
眼の能力?
どういう事?
マジで何もわからないんだが。
「うん、分かったよ」
「それとね、そーちゃん」
あぁ。
「私達はあなたの本当の両親ではないの」
分かっていた。
あの占いババァの能力は本物だ。
だから、やっぱり聞くんじゃなかった。
「そうなの?」
「私達はバレないように必死だったのよ?
聡いそーちゃんにバレまいと必死に」
修羅のような面を被る母、いつもの母の顔に戻ってはいたが、今はどこかスッキリしたような顔になっていた。
「でも俺の親だよ」
「やっぱり嫌よね⋯⋯え?」
「何よ。
そんな事言われると思ってもなかったみたいな顔」
「いや。
だって普通、自分の親が違かったら嫌でしょ?
しかもそれをそーちゃんに隠して生きてきたから尚の事と思ってるから」
一体。
何を隠して生きてきたんだ?
どうやったら、そんな顔になるくらいまで思い詰めることがあるんだ。
「ねぇ、母さん」
そう。もう悩ませないようにしないと。
握っている俺の手を返して、握り返す。
「母さんは一人じゃないよ。
俺もいる。"何でもやる"」
ーーそーちゃん、そんなに勉強して⋯⋯何かなりたいものができたの!?
あなた!
そーちゃんがテストで100点取ったのよ!!
リビングで寝ている父に母がテスト用紙を持ってピョンピョン飛び跳ねている。
ーー何!?
俺の息子なのに出来がいいだと!?
"うん!"
ーー何かやりたい事とか出来たのか?
ーーそうよ?
ママ、いくらでも頑張れちゃうわ!
"僕、将来お金持ちになる!"
ーーお金持ち?
"頭が良くなれば、いっぱいお金が稼げるようになるでしょ!?"
ーーまぁそうだな
"そしたらみんなでずっと⋯⋯この家でご飯を食べて、みんなでテレビを見て、みんなで人生ゲームをやるの!
遊んだらお菓子を食べて、夕方になったらみんなで手伝いながらご飯を作るの!
ママが野菜を剥いてる隣でパパが怒られてて、僕も上手く行かなくて怒られるんだ!"
ーー何よそーちゃん、ママが怒ってばっかりみたいじゃない?
"でも、僕はそんな時間が欲しい!"
ーーそーちゃん?
"頭が良くなれば、お金もいっぱい貰えるし、時間も増やせるって本に書いてあったんだ!
そうすれば僕の夢は叶う!
僕の将来の夢は、家族みんなで──ご飯を作って、遊んで、笑って、映画を見て泣いたりする毎日を送ること!
頭が良くなればそうなれると思う!
だから待ってて!いつか⋯⋯
「だから教えてよ。
今、二人に何が起こってるのか。
知りたいんだ。
もしかしたら⋯⋯昔の俺だったら無理かもしれないけど、"今の俺なら"──できるかも知れないから」
なんでそんな泣きそうな顔してるんだよ、母よ。
ていうかあれ、俺も泣いてたわ。
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