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世界征服編
それぞれの戦い
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ある地下の一室。
そこでは暗闇の中で映し出されるテレビ中継。
『緊急事態宣言が宣言されました!
現在、東京周辺に未確認の現象が発生しております!』
そこには、かつて平和だったと言われている日本とは思えない光景が映る。
『うわぁァァァァんん!!!』
燃え盛る炎。
その中で足が動かない一人の少女が瓦礫の下敷きに。
痛みと孤独、それらの悲痛な叫びがこれでもかというほどカメラに映っている。
しかし誰も助けない。
いや、助けられないのだ。
『現在、東京周辺の被害は想像を絶するものになっており、およそご──50万人から100万人近い国民が被害にあっているという予測があります』
一分一秒ですら危ぶまれる中、女性キャスターの近くに動きがあった。
『おいそこの害虫』
『はい?外国の方で──ヒィッ!?
ぎゃぁぁぁァァァ!!』
テレビ中継は突如としてしばらくお待ちくださいというテロップと編集がされる。
「⋯⋯⋯⋯」
無言で見つめ、黒スーツに袖を通す大男。
背中の龍虎。
それが遂に──。
*
「チッ⋯⋯!」
なんなんだよ!?
あの一撃はよ!!
煙草を落とし踏みつける懐遠。
「これはあのお方も予測していた事です」
「倅だろ?分かってるさ。
だが、少しでも耐えなければ俺達全員終わりだ!」
「懐遠、少し落ち着きなさいよ」
横にいる詩蔓が口を挟むが、お構いなしに懐遠は地団駄を踏む。
「クソが!!」
だが、すぐにその苛立ちは収まる。
既にこうなることは伊崎から直接聞いていたのだから。
「次の一手だ。
さっさと準備──」
その時。
「あら?あなた達ねぇ?」
背を向けた懐遠の上空に、浮いた謎の人影。
「お前か?
俺達を虐殺しようとしている間抜けは」
振り返らなくても感じる。
懐遠の全身が震えている。
⋯⋯分かっていると。
最初から知っていたじゃないかと。
相手は想像を絶するほどの化物だと。
抑えながら必死に煽るが。
それは死を待つ子鹿のような震えにしか見えない。
「良い男だったら殺られてあげても良いけど⋯⋯。
でも貴方は私達の探している魔導師ではなさそうね」
夜空に浮く魔女。
ゆっくりと。
脂汗と引きつりながら振り返る懐遠。
「良い下着履いてんな」
「あらエッチ。
サービスしてあげるわ?」
見せてあげているメリダと相対している一行はそれどころではない。
笑えねぇ冗談だぜ。
懐遠の目には見えている。
領域外レベルの見せつけるような嵐舞う霊力のようなものが。
くっ⋯⋯!
この圧──こんなの人間じゃねぇだろ!!
このレベルが何人いんだよ⋯⋯一体よぉ!!
「ほーんと──」
謎の棒の上で足を組み、自分の足の上で頬杖混じり⋯⋯人差し指の先に集める神聖力を懐遠たち一行に向ける。
「黒い髪は滅するべし⋯⋯アレイスターの教義において最初に習うモノなの」
「偏見の塊みてぇな奴らだな」
「私だって殺したくないわよ。
だけど私は教の人間が全てなの。
私は──私を救ってくれた相手に尽くす女なのよ。
いいでしょう?女って感じで」
「勝手に言ってろ」
片頬を釣り上げながら言い放つ懐遠。
「はぁーあ。勿体無い。
貴方顔は悪くないのに──女にモテないってよく言われない?」
「⋯⋯よく知ってるな?
俺はモテない事で有名なんだ。
女に正論ばっか言うから──なぁ!!」
両腕に集めた氣。
懐遠お得意の流星功。
燃え上がる両腕を見せつけ、地を蹴り上げる。
「この私相手に近接なんて良い度胸よ?
褒めてあげる」
今、ビルの屋上で始まる。
*
「た、助け⋯⋯」
「あァ?黙ってろよ、害虫が」
燃え盛る渋谷。
その中で怪物が一人、猟奇殺人を行っている。
「これで魂が結構入るな」
ケヒッと狂気混じりの笑みを浮かべながら、オーウェンスは死体をゴミのように横へと投げ捨てる。
「やはり駄目だな。
向こうと違ってただの人間じゃ貯まるモンも貯まらねぇ⋯⋯性欲と一緒だな?
──ケヒャ!」
だがその時。
オーウェンスは真顔になる。
「⋯⋯あァ?」
振り返るとそこには、一人の大男。
ポケットにも手を入れず、ゆっくりと、ただ進んでくる。
「こんな所に自ら来る人間がまともとは言いがてぇとは思うが?」
距離は20m程。
大男は黒スーツから煙草を取り出し、火をつけた。
「随分と余裕だなァ?
まぁ、お前は少し面白そうだ。
陛下が俺達を派遣した意味ってのも頷ける」
「⋯⋯⋯⋯」
オーウェンスが喋りかけても反応はない。
「無視か?
それともビビって声も出ねぇのかァ?」
深く一吸いすると、大男は笑ってスーツの上を勢いよく脱ぎ捨てる。
「ハハッ、オイオイ!
漢らしいって奴か?」
そこには龍虎が戦う入れ墨。
「かつて、俺も悪者だった」
「あァ?だからなんだ?」
「だが、今ではこう思う」
大男はファイティングポーズをとり。
「俺は最初から、本当はこういう仕事がしたくて強くなりたかったのだと」
「なんだなんだァ?
イキりてぇ年頃ってか?」
あの時代。
俺は強きを挫き、弱き者救うため立ち上がった。
しかし結局は上手くは行かず、極道に足を踏み入れた。
だが、少しでも救えるのなら⋯⋯。
「俺の人生を賭けてでも──ここに立てることを誇りに思う」
「ケッ!
そういうのが一番嫌いだが⋯⋯俺は一番好きだぜ?
テメェの名前は?」
「元極道、真壁銀譲」
「俺はオーウェンス・ビッグ・リックス。
騎士の称号を持つ人間だが、昔地下街のボスをやってた。
お前と似た人間だな」
「そうか。
俺は帰ってこれた。
お前はどうだ?」
「帰ってくる?
弱え人間なんざ見捨てて当然だろ?
平和ボケした連中が偉そうに」
*
東京タワーの頂上から見下ろすガイルキム。
「オーウェンス、メリダ、そしてロイド。
それぞれ戦いが始まる⋯⋯か」
思った以上に死者数と信者による捧げた魂の数が多いな。
プロヴァンハイドが完了するのも予定より遥かに早そうだ。
「⋯⋯さて、どうなるか」
陛下。
貴方様の望んだ世界。
私も見とうございます。
見上げるガイルキムの頭上に集まる⋯⋯大量の魂の残滓。
それらが一つの箱の中に入っていく。
「プロヴァンハイドが完了すれば、この忌まわしき日本も征服できる」
かつて無数に破壊した世界で唯一不可能だった国。
"今回"こそ。
そこでは暗闇の中で映し出されるテレビ中継。
『緊急事態宣言が宣言されました!
現在、東京周辺に未確認の現象が発生しております!』
そこには、かつて平和だったと言われている日本とは思えない光景が映る。
『うわぁァァァァんん!!!』
燃え盛る炎。
その中で足が動かない一人の少女が瓦礫の下敷きに。
痛みと孤独、それらの悲痛な叫びがこれでもかというほどカメラに映っている。
しかし誰も助けない。
いや、助けられないのだ。
『現在、東京周辺の被害は想像を絶するものになっており、およそご──50万人から100万人近い国民が被害にあっているという予測があります』
一分一秒ですら危ぶまれる中、女性キャスターの近くに動きがあった。
『おいそこの害虫』
『はい?外国の方で──ヒィッ!?
ぎゃぁぁぁァァァ!!』
テレビ中継は突如としてしばらくお待ちくださいというテロップと編集がされる。
「⋯⋯⋯⋯」
無言で見つめ、黒スーツに袖を通す大男。
背中の龍虎。
それが遂に──。
*
「チッ⋯⋯!」
なんなんだよ!?
あの一撃はよ!!
煙草を落とし踏みつける懐遠。
「これはあのお方も予測していた事です」
「倅だろ?分かってるさ。
だが、少しでも耐えなければ俺達全員終わりだ!」
「懐遠、少し落ち着きなさいよ」
横にいる詩蔓が口を挟むが、お構いなしに懐遠は地団駄を踏む。
「クソが!!」
だが、すぐにその苛立ちは収まる。
既にこうなることは伊崎から直接聞いていたのだから。
「次の一手だ。
さっさと準備──」
その時。
「あら?あなた達ねぇ?」
背を向けた懐遠の上空に、浮いた謎の人影。
「お前か?
俺達を虐殺しようとしている間抜けは」
振り返らなくても感じる。
懐遠の全身が震えている。
⋯⋯分かっていると。
最初から知っていたじゃないかと。
相手は想像を絶するほどの化物だと。
抑えながら必死に煽るが。
それは死を待つ子鹿のような震えにしか見えない。
「良い男だったら殺られてあげても良いけど⋯⋯。
でも貴方は私達の探している魔導師ではなさそうね」
夜空に浮く魔女。
ゆっくりと。
脂汗と引きつりながら振り返る懐遠。
「良い下着履いてんな」
「あらエッチ。
サービスしてあげるわ?」
見せてあげているメリダと相対している一行はそれどころではない。
笑えねぇ冗談だぜ。
懐遠の目には見えている。
領域外レベルの見せつけるような嵐舞う霊力のようなものが。
くっ⋯⋯!
この圧──こんなの人間じゃねぇだろ!!
このレベルが何人いんだよ⋯⋯一体よぉ!!
「ほーんと──」
謎の棒の上で足を組み、自分の足の上で頬杖混じり⋯⋯人差し指の先に集める神聖力を懐遠たち一行に向ける。
「黒い髪は滅するべし⋯⋯アレイスターの教義において最初に習うモノなの」
「偏見の塊みてぇな奴らだな」
「私だって殺したくないわよ。
だけど私は教の人間が全てなの。
私は──私を救ってくれた相手に尽くす女なのよ。
いいでしょう?女って感じで」
「勝手に言ってろ」
片頬を釣り上げながら言い放つ懐遠。
「はぁーあ。勿体無い。
貴方顔は悪くないのに──女にモテないってよく言われない?」
「⋯⋯よく知ってるな?
俺はモテない事で有名なんだ。
女に正論ばっか言うから──なぁ!!」
両腕に集めた氣。
懐遠お得意の流星功。
燃え上がる両腕を見せつけ、地を蹴り上げる。
「この私相手に近接なんて良い度胸よ?
褒めてあげる」
今、ビルの屋上で始まる。
*
「た、助け⋯⋯」
「あァ?黙ってろよ、害虫が」
燃え盛る渋谷。
その中で怪物が一人、猟奇殺人を行っている。
「これで魂が結構入るな」
ケヒッと狂気混じりの笑みを浮かべながら、オーウェンスは死体をゴミのように横へと投げ捨てる。
「やはり駄目だな。
向こうと違ってただの人間じゃ貯まるモンも貯まらねぇ⋯⋯性欲と一緒だな?
──ケヒャ!」
だがその時。
オーウェンスは真顔になる。
「⋯⋯あァ?」
振り返るとそこには、一人の大男。
ポケットにも手を入れず、ゆっくりと、ただ進んでくる。
「こんな所に自ら来る人間がまともとは言いがてぇとは思うが?」
距離は20m程。
大男は黒スーツから煙草を取り出し、火をつけた。
「随分と余裕だなァ?
まぁ、お前は少し面白そうだ。
陛下が俺達を派遣した意味ってのも頷ける」
「⋯⋯⋯⋯」
オーウェンスが喋りかけても反応はない。
「無視か?
それともビビって声も出ねぇのかァ?」
深く一吸いすると、大男は笑ってスーツの上を勢いよく脱ぎ捨てる。
「ハハッ、オイオイ!
漢らしいって奴か?」
そこには龍虎が戦う入れ墨。
「かつて、俺も悪者だった」
「あァ?だからなんだ?」
「だが、今ではこう思う」
大男はファイティングポーズをとり。
「俺は最初から、本当はこういう仕事がしたくて強くなりたかったのだと」
「なんだなんだァ?
イキりてぇ年頃ってか?」
あの時代。
俺は強きを挫き、弱き者救うため立ち上がった。
しかし結局は上手くは行かず、極道に足を踏み入れた。
だが、少しでも救えるのなら⋯⋯。
「俺の人生を賭けてでも──ここに立てることを誇りに思う」
「ケッ!
そういうのが一番嫌いだが⋯⋯俺は一番好きだぜ?
テメェの名前は?」
「元極道、真壁銀譲」
「俺はオーウェンス・ビッグ・リックス。
騎士の称号を持つ人間だが、昔地下街のボスをやってた。
お前と似た人間だな」
「そうか。
俺は帰ってこれた。
お前はどうだ?」
「帰ってくる?
弱え人間なんざ見捨てて当然だろ?
平和ボケした連中が偉そうに」
*
東京タワーの頂上から見下ろすガイルキム。
「オーウェンス、メリダ、そしてロイド。
それぞれ戦いが始まる⋯⋯か」
思った以上に死者数と信者による捧げた魂の数が多いな。
プロヴァンハイドが完了するのも予定より遥かに早そうだ。
「⋯⋯さて、どうなるか」
陛下。
貴方様の望んだ世界。
私も見とうございます。
見上げるガイルキムの頭上に集まる⋯⋯大量の魂の残滓。
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