【1/20本編堂々完結!】自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏

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世界征服編

対面

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 この場にいた全員が、天を仰ぐ事しかできない。

 赤い夜の断末が聞こえ、世界は夜の空を取り戻す。

 貫いた赤い夜を滅した槍。

 空は黄金の煌めきと同時に電子音と物理法則を完全に無視した不可思議な軌道で、主人である白髪の男の元へと向かう。

 微動だにせずに掲げた開いた掌に槍は収まる。

 軽く回して柄をまた地面にトン、と突く。

 【VVIP★★★黄金の主:
 おい、誰だアイツを呼んだの!
 馬鹿なのか!?】

 【VVIP鉄血城主:
 やっべ!!
 久しぶりに見たわ!!
 アイツ何してんだよ!!】

 【コインが100万コイン投げられます】

 【多数のVVIPランクを有しているお客様たちにお知らせ】

 【現在クラス1ランクであるため過度な支援はご遠慮願います。】

 【100万コインを返却します】

 【VVIP★★赤剣透羅:
 マジで?
 100万コインが無に帰すだと!?】

 【VIP2鉄山登った:
 100万コイン⋯⋯正気ですか⋯⋯。

 自分が貰ったらどれだけショップで買えると⋯⋯それに、この星のレベルの低さを考えるに変換すればやばいんでしょうね】

 【VIP1タウラス:
 今調べたら100万コインを仮にこの星に変換した場合、1不可思議とか言う訳わかんない単位が出てきて笑ってしまった】

 【VIP2鉄山登った:
 まじですか。
 てなるとどれだけ離れてるかがすぐにわかるレベルですね。

 因果の計算もあるでしょうから】

 【VIP1シフォン:
 この白髪の人って凄いんですか?
 誰か教えてくれませんか?
 無知でごめんなさい】

 【VVIP★不遜な王:
 今時知らねぇやついるんだな。
 無知にもほどがあるだろ。

 とまぁ、ざっくり言えば、クラス表記がないって言えば伝わるか?】

 【VIP1シフォン:
 ちょっと分かるようなわからないような】

 【VVIP★不遜な王:
 まじかよ。
 仕方ねぇから教えてやる。

 塔という世界でクラスは絶対だ。
 どんなに強い奴も力を持ってるやつも、全員がクラスという評価単位を受けることになる。

 だが、その中でもクラス評価を持たない存在がいる。

 奴らの種類は二種類ある。
 一つは外なる神々。

 塔の中で生まれた怪物達のことだ。
 存在そのものが理外の存在で、生きる災害。

 多分VIPで知らねぇってことは相当馬鹿だろうから一応説明してやるが、塔は選別者と非選別者、既選別者がいる。

 非選別者は塔の中で生まれた存在だ。
 外なる神々と一緒だが、こいつらですら選別の対象でクラス付与がある。

 外なる神々はその中でも特別枠。
 ここまでは理解できたか?
 そして、もう一つ。

 それが"玉座に座った者"だ。
 これでわからねぇなら塔の側として失格だ】

 【VIP1シフォン:
 え?つ、つまり⋯⋯塔の100層に】

 【VVIP★不遜な王:
 そうだよ。
 この創世記からあるって言われてる塔の果てしない時間軸の中で誰一人としてその座に座るものはいなかった。

 どんなに高名な人間でも、強い人間でも、スキルを持ってても、何もかも持ってる奴らでもな。

 しかも、それが元はクラス1のちっせぇ星の元で産まれたバグ。

 それが神城仁っていう10番目の宇宙の塵の端に住んでいる奴だった。

 一説によれば、本名は別にあるらしいがな】

 【ヲタク錬金術の端くれ:
 えっ!?待って!!
 アレは絶世の美女ハイエルフのリーヴァン!?

 マジで!?クラス10だよ!?
 なんでこんなところに!?
 絶対に歌わないことで有名なあの子が⋯⋯なんでこんな星で!?

 クラス8の僕のところですら目も合わせてくれなかったのに!】

 【VVIP:破滅の指:
 てかこれ、全員ほぼクラス10じゃねぇ!?
 クラス8が少ないとかいう意味不現象】

 【VVIP★太陽を宿し者:
 それはそうだろう。
 これは玉座の軍勢だぞ?
 90から100層地帯を占める塔において絶対の集団だぞ】

 【VVIP★星劉景:
 現在塔の中でも高レートの軍勢は"黄金の軍勢"、"地獄の軍勢"、そして"万物の軍勢"、玉座の軍勢の四つだ。

 他の軍勢は確かにすごいし、桁違いなのも理解してるが、この四つだけは頭が一つ抜けている。

 ⋯⋯が、玉座の軍勢だけは比較対象にもならない。

 それだけは忘れるな】







 「なんでこんなところに空の玉座が!!」

 「空の玉座って?」

 「塔において初めて玉座に座った者の事だ。
 クラス対象外⋯⋯外なる神々とほぼ一緒の扱い。

 ただ違うのは、もしアレが本当だとしたら⋯⋯」

 エリマの眼光はキマってるようにバッキバキ。

 「全てのステータスが常識の外の外の外くらいはある」

 なるほど?
 そういう事か。
 草薙アレが以前言っていたのは。

 「頭を下げろ!!」

 一斉に全員がその言葉に従う。
 従わざるを得ない。

 数百人どころではない規模の人間たちが振り返るその男に頭を下げる。

 「⋯⋯⋯⋯」

 【ペナルティを受けない代わりに】

 ウインドウが男の横目に現れるが、横を通り抜ける。

 無視し。
 音を立てる。

 ⋯⋯男が、歩き出す。

 一歩。
 
 ドクン──!!!
 その鼓動の重さたるや。

 これはケルビンでも理解できる。

 "常識の外っていうのは本当だな"

 誰も見ることすらしない。
 ただその男が目の前に来た瞬間、そのボルテージは最高潮にまで昇る。

 「そんな事をする必要はない」

 「⋯⋯っ!?」

 エリマが思わず見上げた。
 
 出たのは、口から漏れでる吐息。
 吸い込まれそうなその神々しい男の顔。

 両耳には謎のピアスがぶら下がり、一人だけ作画が違うのではないか?

 そう思わせる美麗な全てのステータス。
 瞳は黄金。ほかは全てが純白。

 それらが、満月を浮かべる夜空に全てが輝く。
 
 ──"異質"。
 それ以外に形容する言葉すら浮かばない。
 天上人と言ってもまだ生易しい。

 言葉が出ない。

 「⋯⋯卿らは私にそのような行いをするべきではない。

 面を上げよ」

 ゆっくりと全員が姿勢を正して見上げてしまう。

 見上げるのではなく、自然に吸い込まれる。

 「⋯⋯⋯⋯」

 男の瞳には。

 「私の人格が若い時であるから卿に会ったのは恐らくかなり昔のはずだが、よく育った」

 「創⋯⋯」

 人差し指を立て、男は少し口角を上げて止める。

 その姿ですら全員の呼吸が止まっている。
 
 「⋯⋯⋯⋯」 

 「大きくなったな。
 私の予測していた時の流れとは大きく外れてしまったのだが、これはこれで良いものだ。

 力があれば少なくともこの文明間では捕食者の生を歩めるだろう」

 その瞳は、今度は。

 「⋯⋯⋯⋯」

 すげぇな。
 
 ケルビンと目が合う。

 初めてだ。
 人を美しいと感じるのは。

 「⋯⋯⋯⋯ふっ」

 「⋯⋯?」

 笑った?

 【VVIP★★★万物の御手:
 てめぇ恥ずかしいからさっさと退けよ!!
 ありがてぇけどさ!!】

 「⋯⋯"若いな"」

 「⋯⋯?」

 なんの事だ?

 そして。その視線は石田と銀譲へ。

 「「⋯⋯⋯⋯」」

 や、やべぇ!!

 目が離せない。
 なんだ?すげぇ。
 これが、とんでもなくヤバイっていうのはよくわかるんだけど、なんか──

 「⋯⋯⋯⋯」
 
 なんて言うんだろう?
 深海のような静けさと津波の激情さが混じり合ったような。

 「⋯⋯⋯⋯これで"一回"だ」

 銀譲の方を見ながらそう一言吐き捨てると、男は背を向けた。

 「もう塔と関わることはもうないであろう。
 故、卿らは己の文明を進め、築き上げる事を願う」

 その一言を言うと空には黄金のガラスで出来た階段。

 それが何層にも渡って天に続いている。

 すると、上空に大量の人影。

 「⋯⋯っ!?」

 エリマが完全に目を奪われている。

 「す、すげぇ⋯⋯!」

 「何がだ?」

 「星一つを息をしただけで破壊した黒龍であり覇龍──ロイヤード・ボルニカス。

 剣一本で星を斬ったエンデカン・フリン・ガルガン。

 詩神──リーヴァン・リン・ロイルファロメオ。

 見えるだけでも数十人のクラス10集団。

 玉座の軍勢だけはやばい!
 ファンの数だって半端じゃない!

 あーやべぇ!
 語りてぇけど知らねぇやつらしかいねぇ!!
 ヤバすぎる!!

 そこの大柄、どうやったらこの面子がこの世界に降りてくるんだよ!

 しかも、空の玉座なんて⋯⋯偉業が多すぎるような奴まで呼ぶなんてどんなツテがあれば出来んだよ」

 パリン、と。
 男が階段を登っていく。

 その時、龍の咆哮が世界を揺らす。

 「■■■■■■■■■■■ー!!!」

 圧倒的。
 その龍は男を背に乗せ、一つの裂け目の中へ入っていく。

 そのまま流れで他の集団もその裂け目へと入り⋯⋯その瞬間だ。

 【権限により塔のサービスは査定により無効となります】

 【配信サービスは中止になりますのでご留意ください】

 【権限により今後はこの星に塔が関与することはありません】

 と、それっきり、ウインドウが現れる事はなかった。

 だが、全員、その圧倒する光景がなくなっても、見上げることをやめることはなかった。

 それは神に祈りを捧げるように。
 その中で唯一、祈らなかったのは、ケルビンと草薙だけだった。




ーーーー
あとがき!

もしかしたら考察の人が賑わうかもしれない。
塔を出した意味がなんとなく。
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感想 14

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