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世界征服編
成人
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「着きましたよ伊崎さん」
「おう」
「今日は帰り、どうします?」
「多分朝帰りだな」
「了解です」
車から降りる。
目の前に見えるのは日本で有数の多分⋯⋯高級ホテル。
悪い、前から安いか高いかは理解出来ているが、高級の種類は微妙だ。
見過ぎてどれも一緒に見える。
と、入口には"本日貸し切り成応同窓会"と書かれた看板。
「ん~!」
軽く伸びをしながら、ホテルの中へ。
さて、アイツらはどうしているかな?
「招待状⋯⋯あっ」
「ん?」
「伊崎様ですね。どうぞ」
なんか顔パスなんだが。
そのまま通り過ぎてしばらく歩くと、会場に到着する。
なんか視線が凄いな。
通り抜けていくのだが、あの時より視線が鋭い。
もはやざわついてる。
こういうのは慣れっこだが、こっちでここまで注目を浴びることになるとは思わんかったな。
「⋯⋯おいイザキング!!」
いきなり腰を蹴られる。
「その声は、木下だな」
振り返ると、やっぱり。
「連絡くらい返しやがれ!」
「悪かった悪かった」
「こちとら実家の倉庫が逝きそうでよ!
イザキングの食料分取っておいたんだぜ?」
おぉ。そんな優しいことを。
「そんな準備も無駄な労力と化したわけよ!なぁ!?」
「マジで悪かった」
「よし、分かれば!」
「キノエモンと伊崎じゃん」
声の方を向くと、木下と対の。
「森下、お前のところも運送だったよな?
大丈夫だったか?」
「はぁ。マジで怖かったぜ?」
二人共スーツ姿で俺に。
「「ん」」
綺麗な所作で、なんか差し出してくると思ったら。
「名刺かよ」
「そりゃな?
実家の事をご贔屓にしてもらわんとなァ!?」
下から覗き込んでくる木下。
「はいはい。
俺、こう見えてもお宅の筆頭株主なんですけど?」
「はーいすみませぇん!!
株主様お許しをぉぉ!!」
「よろしい。
さて、次期社長さんはどのようなスローガンを掲げるのか気になりますなぁ?」
少し目を見開いてやると、すんごい引きつっている木下。
「なんの目標もありません!!」
「「──っ」」
森下と目が合う。
「「ぷっははははは」」
「くそっ、森下はいいよなぁ!?
マジでどうすんだ?院生本気か?」
「とりあえずご飯食べようよ。
お腹空かせてきたんだから」
「そうだぞ、キノエモン。
お前だけ酒じゃなくて女を食いに行きたがってるのは目に見えてる」
「なっ!?」
「行こうぜ、伊崎」
「だな」
振り返ると後ろでなんか言ってる。
⋯⋯まぁいいか。
「待てよー!!!!」
*
「ふーん。
んじゃ伊崎はマジでニートやってるのか」
「あぁ。
まぁお前らみたいにやる事があるわけでもねぇし」
「え?マジで家で引き篭もってるのか?」
「ん?あぁ」
割って入ってくるピザを咥えた木下が、唖然としている。
「ムキー!はぁ!?
俺なんて親父から死ぬほど叩き込まれて毎日4時間睡眠なんだぜ!?」
「僕も変わらないよ。
正直院生も怪しいよ?
レベルが高いのは本当だ。
全く寝れない」
「そう考えたらイザキング、実際どれくらい配当入るんだ?」
「やめときなよ、キノエモン。
僕達なら大体どれくらいか予測できちゃうんだから」
「あ、いけね」
わり!と両手を合わせる木下。
「別にいいさ。
でもどうだろ?
配当だけでも少なくとも百億はあんじゃね?」
「「え?」」
「⋯⋯え?」
「ま、まじかよ⋯⋯」
「さすがに20くらいかなとは思ってたけど」
「まぁ、俺、ファンドも任せてるし、普通に事務所もやってるし、化粧品とかお菓子とか、大手株もかなりあるしな。
それとは別に会長からお小遣いくれるから減らん」
ちなみにこれはマジだ。
外商もいくら使っても怒られんし。
クラブも一回の会計500行ったときも何も言われんかったしな。
「まぁでも納得だわ」
「確かに。
色々誘われてたのに無視するだけの事はあるよ」
「何がだ?」
「ほら、神村の事馬鹿にした秋山っていたろ?」
あーいたな。そんなやつ。
「アイツらとかも今凄いからな」
「凄いって?」
「今なんてあいつら、業界から嫌われてぼっちらしいぜ?
今日だって来れるほどのレベルじゃねぇって軽くあしらわれたらしい」
「なんだそれ、オモロすぎだろ」
「てか神村さんは?」
森下がキョロキョロ見回す。
「多分こないと思う」
木下の返答に思わず驚く。
「そうなのか?」
「俺らに成人があるように、神村の一家は潔めの儀式が一週間続くからな。
確か被るとかなんとか」
「そんな事よく知ってるね」
「知り合いに詳しい奴がいたんだよ」
「なら、もう顔見れねぇのか」
「神村なら、イザキングが行ったら喜ぶんじゃね?」
「そうだよ。
伊崎、結構酷い男だよね」
「何がだ」
「だって、卒業前もなんの連絡も取らずに別れたんでしょ?
可哀想に」
⋯⋯⋯⋯まぁ。
「行ってあげなよ。
儀式中は難しいだろうけど」
「だな」
と、しばらく色々食っていると、アナウンスがある。
まぁ成人式兼、正真正銘⋯⋯大人になった俺達の人脈交換会なのだろう。
どこどこの何とかとか、業界毎に分かれたり、なんやらもうやり出している。
俺としては結構身内で色々やるもんだと思ってたから、微妙だ。
「イザキング!俺ら行かなきゃ」
「ごめんね!」
「気にすんな」
そう言うと、木下がはにかむ。
「久しぶりに顔が見れて嬉しかったぜ!
イザキング!」
「⋯⋯っ」
意外だな。
「そういう事を言うタイプだったか?」
「うるせぇ!
もしかしたら俺らが予定合わせられなくなって頻度減るかもじゃんか!」
「⋯⋯それはそうだね。
僕も今日、たまたま大事な会だったから来れたものの、普通の予定じゃ合わせづらいしね」
皆、それぞれの人生があるもんだ。
「「本当に羨ましい」」
「ハモんなよ」
「金あって時間もあんだから、マジで無敵だろー」
「あんま僻みたくないけど、僕も同意見」
肩を竦ませて森下達は不満そうだ。
「分かった。
今度、高いとこ連れてってやるから、それまで頑張れよ」
「聞いたか森下!?」
「うん!僕も聞いた!」
「「じゃ、それまで!!」」
「──あぁ」
「「またな!イザキング!」」
「またな」
手を振り、二人が消えていくのを見届ける。
「⋯⋯⋯⋯」
森下が俺の事をイザキング呼びか。
頑張っただろうな。
上げた手をしまう。
さっさと出るとするか。
どうせ碌なやつは残ってねぇ。
遠くの方でよしが騒いでいるが、アイツも大変だろう。
ある意味、全員大人になった瞬間⋯⋯てやつか。
それぞれの時間。
それぞれの歩むべき道。
俺はそれを見届ける。
「──さっ、どうせなら」
*
ポコッて音が外から聞こえてくる中、俺は畳の上に胡座になって、目の前の男の言葉を黙って待つ。
「⋯⋯成人、おめでとさん」
「「「「「おめでとうございます!!」」」」」
「──あぁ、ありがとう」
意外だ。
極道はやっぱりこういう所はしっかりしてるのか。
「おい、持ってこい」
「ハッ!!」
そそくさと消えて行く。
「なんだ?」
「というかよ⋯⋯あるなら先に言っとけよ」
「いや。
俺だってそのつもりは無かったんだが、早く終わっちまってよ」
「⋯⋯20か」
「そう」
「まだまだ始まったばかりだな」
口の端をニヤリとしながら、煙草に火をつける草薙。
「まぁな。
でももう、始まって終わった感じはあるさ」
「だろうな。
金あるだろうし、地位も名誉もある。
人生三周した勢いだな」
「あぁ。困っちまうよ」
トン、と帰ってくる下っ端君たち。
「おーおー。
結構いいやつなんじゃねぇの?」
下っ端が持っている酒はかなり高そうだ。
「おらっ、久しぶりに注いでやるか」
こっちにやって来て、酒を注ぐ草薙。
「どうも」
チリン、とグラスを合わせる。
「かなり良いもんだな」
「まぁ60年ものだからな」
「良いのか?」
「開ける機会もあんまりねぇし、良いだろ。
めでてぇこういう時が相応しい」
獰猛に笑い、草薙は一口飲む。
「良い味だ」
残った僅かな酒が入ったグラスを回しながら、俺を見る。
「もうあれから何も音沙汰はねぇのか?」
「⋯⋯あぁ。
本当に何もねぇ」
「ふっ。
てことは、本当に塔も、災害も、起こらねぇってわけか」
「あぁ」
「⋯⋯つまんなくなるな」
間を置いてそうボヤく草薙。
「世界を終わらせてぇのかよ」
笑って訊ねる。
「多分、俺の性に合ってねぇよこの世界は」
「戦いたいのか?」
「あぁ。
そこにいる奴らも、俺の座が欲しいようだが、誰も相手にならねぇ。
弱者は弱者で、強者は強者のまま。
金だけ増えて、時間と暇は増えるだけの毎日だろ?」
「──まぁな」
俺が望んだのは、まさしくそんな世界だ。
「俺はもっと、闘争に溢れていてほしい。
拳で決めて、拳で世界が変わる⋯⋯そんな世界が」
「⋯⋯時代逆行も良いとこだな」
「だが、俺の人生はそうであってほしい」
一瞬の静寂。
俺達は目が合う。
「⋯⋯対極だな」
「全くだ」
そう言い放ち、俺達は注がれた酒を飲み干す。
「⋯⋯また来る」
「ふっ、また来い。
その訳わからん力じゃなくて、普通の喧嘩ならいつでも受けつける」
振り返って言ってやる。
「望むところだ」
「「⋯⋯⋯⋯ふんっ」」
互いに鼻で笑い、俺は電車と徒歩で秘密基地へと帰った。
石田に連絡しろと怒られたが、まぁいいだろ?
──たまにはよ。
ーーー
あとがき!
こんばんは。
ちょっと画像生成で遊んでいたら、結構総合点70点くらいの神門くんが出たので、近況ノートに貼っときます
「おう」
「今日は帰り、どうします?」
「多分朝帰りだな」
「了解です」
車から降りる。
目の前に見えるのは日本で有数の多分⋯⋯高級ホテル。
悪い、前から安いか高いかは理解出来ているが、高級の種類は微妙だ。
見過ぎてどれも一緒に見える。
と、入口には"本日貸し切り成応同窓会"と書かれた看板。
「ん~!」
軽く伸びをしながら、ホテルの中へ。
さて、アイツらはどうしているかな?
「招待状⋯⋯あっ」
「ん?」
「伊崎様ですね。どうぞ」
なんか顔パスなんだが。
そのまま通り過ぎてしばらく歩くと、会場に到着する。
なんか視線が凄いな。
通り抜けていくのだが、あの時より視線が鋭い。
もはやざわついてる。
こういうのは慣れっこだが、こっちでここまで注目を浴びることになるとは思わんかったな。
「⋯⋯おいイザキング!!」
いきなり腰を蹴られる。
「その声は、木下だな」
振り返ると、やっぱり。
「連絡くらい返しやがれ!」
「悪かった悪かった」
「こちとら実家の倉庫が逝きそうでよ!
イザキングの食料分取っておいたんだぜ?」
おぉ。そんな優しいことを。
「そんな準備も無駄な労力と化したわけよ!なぁ!?」
「マジで悪かった」
「よし、分かれば!」
「キノエモンと伊崎じゃん」
声の方を向くと、木下と対の。
「森下、お前のところも運送だったよな?
大丈夫だったか?」
「はぁ。マジで怖かったぜ?」
二人共スーツ姿で俺に。
「「ん」」
綺麗な所作で、なんか差し出してくると思ったら。
「名刺かよ」
「そりゃな?
実家の事をご贔屓にしてもらわんとなァ!?」
下から覗き込んでくる木下。
「はいはい。
俺、こう見えてもお宅の筆頭株主なんですけど?」
「はーいすみませぇん!!
株主様お許しをぉぉ!!」
「よろしい。
さて、次期社長さんはどのようなスローガンを掲げるのか気になりますなぁ?」
少し目を見開いてやると、すんごい引きつっている木下。
「なんの目標もありません!!」
「「──っ」」
森下と目が合う。
「「ぷっははははは」」
「くそっ、森下はいいよなぁ!?
マジでどうすんだ?院生本気か?」
「とりあえずご飯食べようよ。
お腹空かせてきたんだから」
「そうだぞ、キノエモン。
お前だけ酒じゃなくて女を食いに行きたがってるのは目に見えてる」
「なっ!?」
「行こうぜ、伊崎」
「だな」
振り返ると後ろでなんか言ってる。
⋯⋯まぁいいか。
「待てよー!!!!」
*
「ふーん。
んじゃ伊崎はマジでニートやってるのか」
「あぁ。
まぁお前らみたいにやる事があるわけでもねぇし」
「え?マジで家で引き篭もってるのか?」
「ん?あぁ」
割って入ってくるピザを咥えた木下が、唖然としている。
「ムキー!はぁ!?
俺なんて親父から死ぬほど叩き込まれて毎日4時間睡眠なんだぜ!?」
「僕も変わらないよ。
正直院生も怪しいよ?
レベルが高いのは本当だ。
全く寝れない」
「そう考えたらイザキング、実際どれくらい配当入るんだ?」
「やめときなよ、キノエモン。
僕達なら大体どれくらいか予測できちゃうんだから」
「あ、いけね」
わり!と両手を合わせる木下。
「別にいいさ。
でもどうだろ?
配当だけでも少なくとも百億はあんじゃね?」
「「え?」」
「⋯⋯え?」
「ま、まじかよ⋯⋯」
「さすがに20くらいかなとは思ってたけど」
「まぁ、俺、ファンドも任せてるし、普通に事務所もやってるし、化粧品とかお菓子とか、大手株もかなりあるしな。
それとは別に会長からお小遣いくれるから減らん」
ちなみにこれはマジだ。
外商もいくら使っても怒られんし。
クラブも一回の会計500行ったときも何も言われんかったしな。
「まぁでも納得だわ」
「確かに。
色々誘われてたのに無視するだけの事はあるよ」
「何がだ?」
「ほら、神村の事馬鹿にした秋山っていたろ?」
あーいたな。そんなやつ。
「アイツらとかも今凄いからな」
「凄いって?」
「今なんてあいつら、業界から嫌われてぼっちらしいぜ?
今日だって来れるほどのレベルじゃねぇって軽くあしらわれたらしい」
「なんだそれ、オモロすぎだろ」
「てか神村さんは?」
森下がキョロキョロ見回す。
「多分こないと思う」
木下の返答に思わず驚く。
「そうなのか?」
「俺らに成人があるように、神村の一家は潔めの儀式が一週間続くからな。
確か被るとかなんとか」
「そんな事よく知ってるね」
「知り合いに詳しい奴がいたんだよ」
「なら、もう顔見れねぇのか」
「神村なら、イザキングが行ったら喜ぶんじゃね?」
「そうだよ。
伊崎、結構酷い男だよね」
「何がだ」
「だって、卒業前もなんの連絡も取らずに別れたんでしょ?
可哀想に」
⋯⋯⋯⋯まぁ。
「行ってあげなよ。
儀式中は難しいだろうけど」
「だな」
と、しばらく色々食っていると、アナウンスがある。
まぁ成人式兼、正真正銘⋯⋯大人になった俺達の人脈交換会なのだろう。
どこどこの何とかとか、業界毎に分かれたり、なんやらもうやり出している。
俺としては結構身内で色々やるもんだと思ってたから、微妙だ。
「イザキング!俺ら行かなきゃ」
「ごめんね!」
「気にすんな」
そう言うと、木下がはにかむ。
「久しぶりに顔が見れて嬉しかったぜ!
イザキング!」
「⋯⋯っ」
意外だな。
「そういう事を言うタイプだったか?」
「うるせぇ!
もしかしたら俺らが予定合わせられなくなって頻度減るかもじゃんか!」
「⋯⋯それはそうだね。
僕も今日、たまたま大事な会だったから来れたものの、普通の予定じゃ合わせづらいしね」
皆、それぞれの人生があるもんだ。
「「本当に羨ましい」」
「ハモんなよ」
「金あって時間もあんだから、マジで無敵だろー」
「あんま僻みたくないけど、僕も同意見」
肩を竦ませて森下達は不満そうだ。
「分かった。
今度、高いとこ連れてってやるから、それまで頑張れよ」
「聞いたか森下!?」
「うん!僕も聞いた!」
「「じゃ、それまで!!」」
「──あぁ」
「「またな!イザキング!」」
「またな」
手を振り、二人が消えていくのを見届ける。
「⋯⋯⋯⋯」
森下が俺の事をイザキング呼びか。
頑張っただろうな。
上げた手をしまう。
さっさと出るとするか。
どうせ碌なやつは残ってねぇ。
遠くの方でよしが騒いでいるが、アイツも大変だろう。
ある意味、全員大人になった瞬間⋯⋯てやつか。
それぞれの時間。
それぞれの歩むべき道。
俺はそれを見届ける。
「──さっ、どうせなら」
*
ポコッて音が外から聞こえてくる中、俺は畳の上に胡座になって、目の前の男の言葉を黙って待つ。
「⋯⋯成人、おめでとさん」
「「「「「おめでとうございます!!」」」」」
「──あぁ、ありがとう」
意外だ。
極道はやっぱりこういう所はしっかりしてるのか。
「おい、持ってこい」
「ハッ!!」
そそくさと消えて行く。
「なんだ?」
「というかよ⋯⋯あるなら先に言っとけよ」
「いや。
俺だってそのつもりは無かったんだが、早く終わっちまってよ」
「⋯⋯20か」
「そう」
「まだまだ始まったばかりだな」
口の端をニヤリとしながら、煙草に火をつける草薙。
「まぁな。
でももう、始まって終わった感じはあるさ」
「だろうな。
金あるだろうし、地位も名誉もある。
人生三周した勢いだな」
「あぁ。困っちまうよ」
トン、と帰ってくる下っ端君たち。
「おーおー。
結構いいやつなんじゃねぇの?」
下っ端が持っている酒はかなり高そうだ。
「おらっ、久しぶりに注いでやるか」
こっちにやって来て、酒を注ぐ草薙。
「どうも」
チリン、とグラスを合わせる。
「かなり良いもんだな」
「まぁ60年ものだからな」
「良いのか?」
「開ける機会もあんまりねぇし、良いだろ。
めでてぇこういう時が相応しい」
獰猛に笑い、草薙は一口飲む。
「良い味だ」
残った僅かな酒が入ったグラスを回しながら、俺を見る。
「もうあれから何も音沙汰はねぇのか?」
「⋯⋯あぁ。
本当に何もねぇ」
「ふっ。
てことは、本当に塔も、災害も、起こらねぇってわけか」
「あぁ」
「⋯⋯つまんなくなるな」
間を置いてそうボヤく草薙。
「世界を終わらせてぇのかよ」
笑って訊ねる。
「多分、俺の性に合ってねぇよこの世界は」
「戦いたいのか?」
「あぁ。
そこにいる奴らも、俺の座が欲しいようだが、誰も相手にならねぇ。
弱者は弱者で、強者は強者のまま。
金だけ増えて、時間と暇は増えるだけの毎日だろ?」
「──まぁな」
俺が望んだのは、まさしくそんな世界だ。
「俺はもっと、闘争に溢れていてほしい。
拳で決めて、拳で世界が変わる⋯⋯そんな世界が」
「⋯⋯時代逆行も良いとこだな」
「だが、俺の人生はそうであってほしい」
一瞬の静寂。
俺達は目が合う。
「⋯⋯対極だな」
「全くだ」
そう言い放ち、俺達は注がれた酒を飲み干す。
「⋯⋯また来る」
「ふっ、また来い。
その訳わからん力じゃなくて、普通の喧嘩ならいつでも受けつける」
振り返って言ってやる。
「望むところだ」
「「⋯⋯⋯⋯ふんっ」」
互いに鼻で笑い、俺は電車と徒歩で秘密基地へと帰った。
石田に連絡しろと怒られたが、まぁいいだろ?
──たまにはよ。
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あとがき!
こんばんは。
ちょっと画像生成で遊んでいたら、結構総合点70点くらいの神門くんが出たので、近況ノートに貼っときます
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