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食事

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いろいろ話をしていて、僕のお腹がくぅ~と鳴った。
「ずっと寝ていたのだからお腹も空くな、今用意させるから少し待ってくれ」

「クレマン、アキラに食事を、消化のいいものにしてくれ」
「かしこまりました」
クレマンさんが持ってきてくれた料理は優しい味で、たぶん気付かず張っていた気が弛み、王子様がおたおたする程、涙がとめどなく溢れていた。
「アキラどうした?口に合わなかったのか?」
僕は首を横に振った。
「美味しいです、初めて食べたのにどこか懐かしい味、、、」

食事を終えベッドで休んでいると、王子様が僕に、とても聞きにくそうに尋ねてきた。
「アキラ、言いたくなかったら無理に話さなくてもいいから」
「はい」
「アキラをここに運んだ時に医者に診てもらったのだが、、、」
「、、、?」
「アキラは、その、誰かに無理やりにされたのか?尻が少し腫れていると、医者が」
「あ、、、義父に、されました、、、」
「義父に?」
「風邪で熱を出してあまり動けなくて、身体を拭いてもらってる時に、それから毎日、何度も」
「もういいっ、辛い話をさせてすまない」
「大丈夫です、もう済んだことですから」
「っ、、、アキラ」
僕は王子様に抱き締められていた。
「お、王子様、、、」
「セオドラと呼んでくれないか?」
「それは不敬では?」
「私が許可するんだ、不敬にはならない」
「セオドラ様、、、ありがとうございます、僕を見つけてくれたのがセオドラ様で良かった」
「アキラ、ここには君を傷つける者はいない、ここでこの世界のことを知り、この先どうしたいか考えてくれ、、、もちろんここにずっといてもいいんだよ」
「ありがとうございます」
お腹が満たされて眠たくなった僕は、横になると直ぐ寝てしまった。


ーーーーーーーーーー


私はアキラに何をしてあげればいいのか。
「めいっぱい優しくして甘えさせてあげればいいのではないのですか」
「クレマン、、、」
「心の声が出てましたよ」
「そうか、アキラが寝ていてよかった」
「頭をなでたりから始めてみてはいかがですか、身体を触られるのは抵抗があると思います」
「そうだな、アキラを怖がらせてはいけないな」
「元気になられたら街を案内してみてはいかがですか」
「そうしよう、まずはこの辺境伯領を知ってもらおう、それから国のことや他国のことも、読み書きは出来るだろうか、算術は」
「旦那様、、、少しずつですよ」
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