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1章 殺し屋とまがい物(偽人:ギジン)
3話 心身ともにボロボロです
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俺は高校1年まで陸上1本。
長距離一本でやってきたんだ。山道を素早い勢いで降りていく。
と、巨木の根につまずいて転げ落ちるようにものすごい速さで下っていった。
「わぁァァァァァ!!!!!」
もう、速くて止められない。目がぐるぐる回る。こんなの木にあたったら、ひとたまりもない。
ドンっっ
腰と背中に硬いものがぶつかった。
「がはっ…」
止まったものの、腰、背中に激痛が来る。おまけに右ふくらはぎも痛い。災厄だ。
でも、まだ…まだまだ…
起き上がろうと腕に力を入れようとしたとき、激痛が走った。
「いっっ…」
右腕から温かい液体が流れている感触がする。
血だ…
俺、もしかして絶体絶命…いや、そんなことない。まだ‥っ
「あぁ!やっと見つけたよ君ぃ!足はやいね。でも、残念。捕まっちゃったね。君が嘘をつくから。捕まえたんだよ。残念だねぇ。」
聞いたことのあるあのナイフやろう。
後ろからもう一人の足音が聞こえる。
「もう…やっと見つけたの?逃げ足が早いこと。逃げても無駄なのにどうして逃げるのかしら。滑稽ねぇ。フフフ」
「動物の命を粗末にしやがって。六助ちゃんはお前の犬じゃねぇーだろう!てめぇこそ嘘つきやがって、」
息を荒げながら女を見る。
「まぁ、なんて口の聞き方なの!?」
女は怒った。しかし、その怒りは俺の心が傷つくことはなかった。
「はぁ、まだそんな生意気な口聞けたもんだ。」
中年のおっさんは、足を振り子のように振ると、1発2発俺の腹にぶち込んだ。
「うぅ…」
流石に腹が痛すぎてやばい。
ここで終わるのか。
あいつらに俺は何されるんだ。
お父さん、お母さん、勝利…
会いたい ーー
涙がボロボロと出てきた。
あのとき、あの男と出会ったときに俺が早く逃げていれば…
足がゆうこときいてくれれば…
悔しい
悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい‥
「あぁぁぁあ!!」
誰か、誰か俺が死んでもこの、こいつらを誰かやってくれ!
「うるっゼェなぁ。このガキ。」
おっさんは、俺を地面に叩きつけると、俺のお腹を踏みつけた。
俺はそこで意識がぼやぼやとしていた。叫ぶ元気も抵抗する元気もない、
「じゃあ、家まで運んでちょうだい。」
「わかったよ。全く、雑用にもほどがある」
浮いてる。持ち上げられたのか。
ここからどこに行くのかな。
意識が遠のく中、森の奥から光が見えた。
なんだ、あれ。その光はまっすぐこちらに向かってくる。
鋭く、鈍るような輝き。
矢だ。
その矢は、まっすぐと、男の頭に向かってとんで刺さった。俺の10センチ。
目の先‥俺は、少し意識が戻ったと同時にぐらっと地面に叩きつけられた。
男は崩れるのように俺の下敷きになって倒れた。
「…?」
女は慌てふためくと
「誰なの!誰かいるの?!ねぇ!あんた!起きなさいよ。」
続けざまに女の頭にも矢が刺さる。足元をふらつかせた女は山道を転げ落ちて行った。
「助かった。」
心から安心した。
「ねぇ…大丈夫僕?」
暗い森の中懐中電灯の光だけを頼りにしているため、顔がよく見えない。方言なまりの男が何度呼びかけている。
よく見えないけど、色白で、紫の毛先が見える。
声を出したくても声が出ない。目をパチパチとアピールをする。
「まだ死んでない‥頑張ったね。」
男はそう言うと、
俺のボタンをぱちぱちと取り始めた。
「はへっ‥」
変な声が出て、
俺は恥ずかしくなってぐっと腕に力を込める。男は、目をぱちぱちさせて俺の方を見る。そして少し微笑む。
「大丈夫。やましいことはしないから。怪我を見るだけだから。」
服を脱がせようとする。俺は抵抗を続ける。と、首に何かを入れられた気がした。
徐々に眠気が来て…
男はずっと俺を見つめるようにながめて‥
怪我をしていないかくまなく診る。
「後部がほとんど打撲しとってるな。でも、骨折せんやって良かったぁ。内臓は無事みたい。ばってん、数週間は安静と。」
方言なまりの男は、ほっと安心した顔を見せた。
「そうか…」
長髪でストレートの青髪の男はそう言うと、翔太を担いだ。
「ほんと、丁寧にと。誉さんが山道慣れてなくてズゴズココケてっから遅くなっと。」
「ハイハイ」
そう誉は言うとため息を一つついて山道を下っていった。
「というか、わざわざ薬入れる必要あったか?」
「ええ、抵抗するので、」
こいつ、いつになく、人間を見る目してないな。毎回思う。いつか、いや、多分。
絶対後ろからナイフでも刺されてやっと人間を理解するんだろう。と思って毎回こいつを見ている。
「間に合ってよかった。」
「え?なんです?」
誉はそっぽを向いて山道を下っていく
ピロリン…
一通のメールが俺の携帯に届いた。
静かな山に不気味に電信音と2人の黒い影がザグザグと山を降りる音が静かに響いた。
(ミッション成功のお知らせ)
この件以降、俺は普通の仕事に戻れなくなった。いや、戻れなくなっていた。
普通の暮らしを守るための見えない影の仕事。なんてかっこよく言ってるけど、実際は人殺しだなんて‥
戻れないよ。普通の暮らしには。
なんでこんなよくわからないバイトなんてしたんだろうか‥
小さな男の子の声が聞こえる
ゆっくりと目を開くとまだ3つか2つの男の子が子供には大きすぎるベットで横になってうなされていた。
「ままぁ…ままぁ…痛いよぉ。熱いよぉ」
顔が真っ赤で、体中汗だくだ。
どうやら熱で体が起こせないらしい。
ベッドの周りを手で探るようにあちらこちらに手を動かしている。
眠っているのではない。この子は目が失明していた。目が混濁している。熱でやられてしまったのだろう。可哀想に‥
もし、俺がこの子に触れることができたのならこの子を起き上がらせてベッドの横に座らせてやりたい。
足を動かしたその時
ガチャ
その子の部屋のドアがゆっくりと開いた。女性と白衣をまとった男性が入ってきた。
その二人は俺の横を通り抜けていった。
「‥!」
俺は透明人間で誰にも見られていないみたいだ。俺は、窓に映った自分を見る。
人間だ。なんと俺は犬から人間になっていた。手も、足も動く。
俺は、手や足をぶらぶらさせて動かしてみた。そして、自分の頬をつねってみる
痛くない‥
俺は誰かにこの夢を見せられているみたいだった
「ままぁ…」
男の子が呼ぶ。女が不機嫌そうにそちらを見た。
母親と医者だろうか。何か深刻な話をしている。
「すみません。色々手を尽くしたのですが…
熱の影響で目が失明したかもしれません」
医者はそう言うと下を向いて静かに泣き出した。医者の涙は暖かくて人情にあふれていた。
「ええ…そう。それは仕方がないわね。残念だけど、私の家で障害者の面倒を見るなんでゴメンなんだわ。…」
女は深いため息をつくと髪をくしゃくしゃと髪を触った。そして、さっきまでの貧乏ゆすりがひどくなる。苛立ちを隠せない様子だった。
…!?
母親らしき女はそう言い残すと眠たそうに目をこすって部屋を出ていった。
医者は突っ立っている。
なんて女、母親なのか?
もし母親ならばありえない
腹を痛めて産んだ子ども横目にそんなに眠気の方が強いのか
医者の方に目をやると、
医者は、数秒突っ立っていた。
すると医者は哀れんだ目で青髪の子供を見た。
すまないね…
そう言い残すとゆっくりとした足取りで立ち去っていった。足が重いようでできればこの青髪の子のそばにいたいが何もできない医者として無念で‥その場にいるのでも精一杯だったのだろう。
そんな目で見ないであげてくれ。
男の子は、一人になった部屋で静かに涙を流して泣いていた。
「のぞくな」
男の子とは思えないほどの低い声が響いた。
「っ…?!」
後ろに殺気立った気配がした。後ろを振り向いたら死んでしまう気がする。
「僕が見えるのかな…」
「…」
「ごめん。これは君の隠したい過去であって触れられたくないんだよね、きっと。」
体中から経験したことのない冷や汗がじわじわ湧いてくる。
こんな経験きっとない。こんな自分よりも強そうな人に歯向かう覚悟を。
体は素直だった。だんだん呼吸は荒くなり、過呼吸になってきた。
窓ガラスに写った自分を見る。自分の背後には青髪の長髪の男性が写っていた。
ベッドに眠る子も青髪…
同一人物なのか?…
「なんで俺の核に入ることができたんだ。」
「なんでだろう。よくわからないや。僕は犬だし…」
よく考えてみれば本当によくわからないことだ。僕は人間だったけど思うけど、何者かによって殺されて、人間の脳が犬に置き換わった犬。
そんな僕が人間の核に迫っている。
人間の核は人の心の中のことだ。普通の人間ならば入ることはできないが…
「ぼく、死んだのかな…」
まあ、そんなことはどうでもいい。入ってしまったものはしょうがない。この青髪の人は、きっと過去に触れられたくないんだ。
僕だって触れられたくない過去なんで一つや二つある。
「お前は誰なんだ。」
「…?僕は犬なんだから六助だよ。」
「犬…?二足歩行の犬がいるのか?」
…
「さぁ?」
青髪の男はため息をついた。
「自分のことがわからないのか?俺は犬の名前を聞いてるんじゃない。俺は人間だったころの名前を聞いてるんだ。」
「人間…」
僕はうーんとうなりながら顎をさわった。
あっ、髭そってないな。
また剃らないと…
いや、もう死んだはずなのに…
誰の目を気にすることもないんだ。
なんで髭を剃るんだ?
誰の目を気にして…
ーーー
「お父さん、おかえり!」
「長かったね。今日はどこを散歩してたの?」
誰…なんだ?この子供たちは…
非常に僕に似ている顔の子供だ。
「お父さん?」
「パパ?」
「…!?」
「何か思い出したのか…」
青髪の男は少し驚いた顔をしていた。
俺はなみだ涙を流していた。
あぁ、思い出した。
「俺の名前は幾田智。2児の父親だったんだ。」
長距離一本でやってきたんだ。山道を素早い勢いで降りていく。
と、巨木の根につまずいて転げ落ちるようにものすごい速さで下っていった。
「わぁァァァァァ!!!!!」
もう、速くて止められない。目がぐるぐる回る。こんなの木にあたったら、ひとたまりもない。
ドンっっ
腰と背中に硬いものがぶつかった。
「がはっ…」
止まったものの、腰、背中に激痛が来る。おまけに右ふくらはぎも痛い。災厄だ。
でも、まだ…まだまだ…
起き上がろうと腕に力を入れようとしたとき、激痛が走った。
「いっっ…」
右腕から温かい液体が流れている感触がする。
血だ…
俺、もしかして絶体絶命…いや、そんなことない。まだ‥っ
「あぁ!やっと見つけたよ君ぃ!足はやいね。でも、残念。捕まっちゃったね。君が嘘をつくから。捕まえたんだよ。残念だねぇ。」
聞いたことのあるあのナイフやろう。
後ろからもう一人の足音が聞こえる。
「もう…やっと見つけたの?逃げ足が早いこと。逃げても無駄なのにどうして逃げるのかしら。滑稽ねぇ。フフフ」
「動物の命を粗末にしやがって。六助ちゃんはお前の犬じゃねぇーだろう!てめぇこそ嘘つきやがって、」
息を荒げながら女を見る。
「まぁ、なんて口の聞き方なの!?」
女は怒った。しかし、その怒りは俺の心が傷つくことはなかった。
「はぁ、まだそんな生意気な口聞けたもんだ。」
中年のおっさんは、足を振り子のように振ると、1発2発俺の腹にぶち込んだ。
「うぅ…」
流石に腹が痛すぎてやばい。
ここで終わるのか。
あいつらに俺は何されるんだ。
お父さん、お母さん、勝利…
会いたい ーー
涙がボロボロと出てきた。
あのとき、あの男と出会ったときに俺が早く逃げていれば…
足がゆうこときいてくれれば…
悔しい
悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい‥
「あぁぁぁあ!!」
誰か、誰か俺が死んでもこの、こいつらを誰かやってくれ!
「うるっゼェなぁ。このガキ。」
おっさんは、俺を地面に叩きつけると、俺のお腹を踏みつけた。
俺はそこで意識がぼやぼやとしていた。叫ぶ元気も抵抗する元気もない、
「じゃあ、家まで運んでちょうだい。」
「わかったよ。全く、雑用にもほどがある」
浮いてる。持ち上げられたのか。
ここからどこに行くのかな。
意識が遠のく中、森の奥から光が見えた。
なんだ、あれ。その光はまっすぐこちらに向かってくる。
鋭く、鈍るような輝き。
矢だ。
その矢は、まっすぐと、男の頭に向かってとんで刺さった。俺の10センチ。
目の先‥俺は、少し意識が戻ったと同時にぐらっと地面に叩きつけられた。
男は崩れるのように俺の下敷きになって倒れた。
「…?」
女は慌てふためくと
「誰なの!誰かいるの?!ねぇ!あんた!起きなさいよ。」
続けざまに女の頭にも矢が刺さる。足元をふらつかせた女は山道を転げ落ちて行った。
「助かった。」
心から安心した。
「ねぇ…大丈夫僕?」
暗い森の中懐中電灯の光だけを頼りにしているため、顔がよく見えない。方言なまりの男が何度呼びかけている。
よく見えないけど、色白で、紫の毛先が見える。
声を出したくても声が出ない。目をパチパチとアピールをする。
「まだ死んでない‥頑張ったね。」
男はそう言うと、
俺のボタンをぱちぱちと取り始めた。
「はへっ‥」
変な声が出て、
俺は恥ずかしくなってぐっと腕に力を込める。男は、目をぱちぱちさせて俺の方を見る。そして少し微笑む。
「大丈夫。やましいことはしないから。怪我を見るだけだから。」
服を脱がせようとする。俺は抵抗を続ける。と、首に何かを入れられた気がした。
徐々に眠気が来て…
男はずっと俺を見つめるようにながめて‥
怪我をしていないかくまなく診る。
「後部がほとんど打撲しとってるな。でも、骨折せんやって良かったぁ。内臓は無事みたい。ばってん、数週間は安静と。」
方言なまりの男は、ほっと安心した顔を見せた。
「そうか…」
長髪でストレートの青髪の男はそう言うと、翔太を担いだ。
「ほんと、丁寧にと。誉さんが山道慣れてなくてズゴズココケてっから遅くなっと。」
「ハイハイ」
そう誉は言うとため息を一つついて山道を下っていった。
「というか、わざわざ薬入れる必要あったか?」
「ええ、抵抗するので、」
こいつ、いつになく、人間を見る目してないな。毎回思う。いつか、いや、多分。
絶対後ろからナイフでも刺されてやっと人間を理解するんだろう。と思って毎回こいつを見ている。
「間に合ってよかった。」
「え?なんです?」
誉はそっぽを向いて山道を下っていく
ピロリン…
一通のメールが俺の携帯に届いた。
静かな山に不気味に電信音と2人の黒い影がザグザグと山を降りる音が静かに響いた。
(ミッション成功のお知らせ)
この件以降、俺は普通の仕事に戻れなくなった。いや、戻れなくなっていた。
普通の暮らしを守るための見えない影の仕事。なんてかっこよく言ってるけど、実際は人殺しだなんて‥
戻れないよ。普通の暮らしには。
なんでこんなよくわからないバイトなんてしたんだろうか‥
小さな男の子の声が聞こえる
ゆっくりと目を開くとまだ3つか2つの男の子が子供には大きすぎるベットで横になってうなされていた。
「ままぁ…ままぁ…痛いよぉ。熱いよぉ」
顔が真っ赤で、体中汗だくだ。
どうやら熱で体が起こせないらしい。
ベッドの周りを手で探るようにあちらこちらに手を動かしている。
眠っているのではない。この子は目が失明していた。目が混濁している。熱でやられてしまったのだろう。可哀想に‥
もし、俺がこの子に触れることができたのならこの子を起き上がらせてベッドの横に座らせてやりたい。
足を動かしたその時
ガチャ
その子の部屋のドアがゆっくりと開いた。女性と白衣をまとった男性が入ってきた。
その二人は俺の横を通り抜けていった。
「‥!」
俺は透明人間で誰にも見られていないみたいだ。俺は、窓に映った自分を見る。
人間だ。なんと俺は犬から人間になっていた。手も、足も動く。
俺は、手や足をぶらぶらさせて動かしてみた。そして、自分の頬をつねってみる
痛くない‥
俺は誰かにこの夢を見せられているみたいだった
「ままぁ…」
男の子が呼ぶ。女が不機嫌そうにそちらを見た。
母親と医者だろうか。何か深刻な話をしている。
「すみません。色々手を尽くしたのですが…
熱の影響で目が失明したかもしれません」
医者はそう言うと下を向いて静かに泣き出した。医者の涙は暖かくて人情にあふれていた。
「ええ…そう。それは仕方がないわね。残念だけど、私の家で障害者の面倒を見るなんでゴメンなんだわ。…」
女は深いため息をつくと髪をくしゃくしゃと髪を触った。そして、さっきまでの貧乏ゆすりがひどくなる。苛立ちを隠せない様子だった。
…!?
母親らしき女はそう言い残すと眠たそうに目をこすって部屋を出ていった。
医者は突っ立っている。
なんて女、母親なのか?
もし母親ならばありえない
腹を痛めて産んだ子ども横目にそんなに眠気の方が強いのか
医者の方に目をやると、
医者は、数秒突っ立っていた。
すると医者は哀れんだ目で青髪の子供を見た。
すまないね…
そう言い残すとゆっくりとした足取りで立ち去っていった。足が重いようでできればこの青髪の子のそばにいたいが何もできない医者として無念で‥その場にいるのでも精一杯だったのだろう。
そんな目で見ないであげてくれ。
男の子は、一人になった部屋で静かに涙を流して泣いていた。
「のぞくな」
男の子とは思えないほどの低い声が響いた。
「っ…?!」
後ろに殺気立った気配がした。後ろを振り向いたら死んでしまう気がする。
「僕が見えるのかな…」
「…」
「ごめん。これは君の隠したい過去であって触れられたくないんだよね、きっと。」
体中から経験したことのない冷や汗がじわじわ湧いてくる。
こんな経験きっとない。こんな自分よりも強そうな人に歯向かう覚悟を。
体は素直だった。だんだん呼吸は荒くなり、過呼吸になってきた。
窓ガラスに写った自分を見る。自分の背後には青髪の長髪の男性が写っていた。
ベッドに眠る子も青髪…
同一人物なのか?…
「なんで俺の核に入ることができたんだ。」
「なんでだろう。よくわからないや。僕は犬だし…」
よく考えてみれば本当によくわからないことだ。僕は人間だったけど思うけど、何者かによって殺されて、人間の脳が犬に置き換わった犬。
そんな僕が人間の核に迫っている。
人間の核は人の心の中のことだ。普通の人間ならば入ることはできないが…
「ぼく、死んだのかな…」
まあ、そんなことはどうでもいい。入ってしまったものはしょうがない。この青髪の人は、きっと過去に触れられたくないんだ。
僕だって触れられたくない過去なんで一つや二つある。
「お前は誰なんだ。」
「…?僕は犬なんだから六助だよ。」
「犬…?二足歩行の犬がいるのか?」
…
「さぁ?」
青髪の男はため息をついた。
「自分のことがわからないのか?俺は犬の名前を聞いてるんじゃない。俺は人間だったころの名前を聞いてるんだ。」
「人間…」
僕はうーんとうなりながら顎をさわった。
あっ、髭そってないな。
また剃らないと…
いや、もう死んだはずなのに…
誰の目を気にすることもないんだ。
なんで髭を剃るんだ?
誰の目を気にして…
ーーー
「お父さん、おかえり!」
「長かったね。今日はどこを散歩してたの?」
誰…なんだ?この子供たちは…
非常に僕に似ている顔の子供だ。
「お父さん?」
「パパ?」
「…!?」
「何か思い出したのか…」
青髪の男は少し驚いた顔をしていた。
俺はなみだ涙を流していた。
あぁ、思い出した。
「俺の名前は幾田智。2児の父親だったんだ。」
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